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サウジアラビアのキャベツ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が提供した最新データによると、サウジアラビアのキャベツ生産量は、過去50年以上にわたる推移の中で劇的な変動を見せています。特に2000年代以降、急激な生産増加が観測されましたが、近年では再び減少傾向が見られます。2022年のワンシーズンでの生産量は15,812トンに達しましたが、2018年や2019年の22,259トンに比べると減少しており、今後の課題と対策が重要です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 17,518
10.79% ↑
2022年 15,812
11.27% ↑
2021年 14,210
1.05% ↑
2020年 14,062
-36.83% ↓
2019年 22,259 -
2018年 22,259
41.85% ↑
2017年 15,692
4.61% ↑
2016年 15,000
-28.57% ↓
2015年 21,000
61.54% ↑
2014年 13,000
31.9% ↑
2013年 9,856
64.27% ↑
2012年 6,000
-47.83% ↓
2011年 11,500
32.18% ↑
2010年 8,700
18.06% ↑
2009年 7,369
10.74% ↑
2008年 6,654
7.33% ↑
2007年 6,200
77.14% ↑
2006年 3,500
94.44% ↑
2005年 1,800
50% ↑
2004年 1,200
33.33% ↑
2003年 900
28.57% ↑
2002年 700
40% ↑
2001年 500
100% ↑
2000年 250
-45.4% ↓
1999年 458
32.79% ↑
1998年 345
56.74% ↑
1997年 220
-86.53% ↓
1981年 1,633
2667.8% ↑
1980年 59
-94.34% ↓
1979年 1,042
-12.88% ↓
1978年 1,196
189.59% ↑
1977年 413
-60.59% ↓
1975年 1,048
-87.44% ↓
1974年 8,341
1497.89% ↑
1973年 522
27.01% ↑
1972年 411 -

サウジアラビアのキャベツ生産は、1970年代から徐々に記録され始め、初期には一貫性のない小規模な生産(1972年の411トン、1975年の1,048トンなど)が特徴的でした。当初の低生産量は、同国が砂漠地帯を多く含む気候条件や、水資源の不足という農業上の大きな障害を抱えていたことによるものと推察されます。この背景から、生産量の変動が非常に大きく、1974年に8,341トンに急増した一方、1980年にはわずか59トンまで減少しており、農業支援策の不在や生産効率の低迷が大きく影響を及ぼしました。

2000年代に入ると、キャベツ生産は次第に増加傾向を見せ始めます。2000年の250トンから2008年の6,654トンへの拡大は、効率的な灌漑技術の導入や、政府による農業投資の増加が要因として挙げられます。サウジアラビアは、特にこの期間において、持続可能な農業を志向し、塩害に強い農作物や砂漠農業技術の実験的な導入を進めていました。2011年には11,500トンの生産が記録され、2015年にはついに21,000トン、2018年と2019年にはそれぞれ22,259トンと、過去最高の水準に到達しました。この上昇の背景には、技術の進歩、食料自給率向上を目指す政策、ならびに国内市場への需要増加があります。

しかしながら、2020年以降の生産量の減少(2020年の14,062トン、2022年の15,812トン)は、いくつかの要因を反映しています。第一に、新型コロナウイルスの世界的な流行により、国際的なサプライチェーンが混乱し、輸入される必要資源や農業関連器具が不足したことが挙げられます。また、気象変動に伴う干ばつや極端な天候の頻発も、キャベツ生産に大きな影響を及ぼした可能性があります。特にサウジアラビアのような乾燥地域では、水資源の効率的利用が難しいため、キャベツのような水分を多く必要とする作物の栽培には重い負担となります。

以上の流れから考えると、今後の課題として、第一に水資源の持続可能な管理が挙げられます。砂漠農業における適切な灌漑方法を引き続き推進し、さらに気温上昇や塩害に強い栽培品種の導入を図ることが重要です。また、政府が農業セクターへの投資を拡大し、特に中小農家に技術支援を行うことで、生産性の向上が期待されます。さらに、国内外の市場需要について長期的な視野で計画を立て、生産過剰や市場障害を回避することも急務と言えるでしょう。

加えて、国際協力による農業技術の共有が鍵を握るでしょう。他国との比較をみると、例えば中国やインドはキャベツ生産量で世界市場をリードしています。これらの国々との技術交流を進めることで、サウジアラビアはより効率の良い農業運営に近づくことが可能となり、食品安全保障にも寄与すると考えられます。さらに、地域全体で水資源管理を強化するため、中東近隣諸国と協調した枠組み作りが求められます。

結論として、サウジアラビアにとってキャベツの生産量推移は、気候条件や資源制約、政策の影響を直接に反映しており、今後の農業運営における重要な指標といえます。データが示すように、これまで得てきた成功を維持し発展させるためには、技術的革新と地政学的安定性の両立が必須です。持続可能な農業の実現に向けた具体策として、技術革新、水資源の効率的利用、国際協力の強化を挙げ、地域的および国際的な戦略を適切に進めていく必要があります。この努力が実を結べば、サウジアラビアは将来的に農業生産のモデル国となり得るでしょう。