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サウジアラビアの牛乳生産量推移(1961年~2022年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、サウジアラビアの牛乳生産量は、1961年の97,000トンから2022年の2,849,957トンに大きく増加しました。この間の生産量は右肩上がりで成長を遂げましたが、近年は若干の減少や横ばい傾向も見られ、特に2020年から2022年の伸び率は鈍化しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2022年 2,849,957
-2.34% ↓
2021年 2,918,348
0.42% ↑
2020年 2,906,284
8.54% ↑
2019年 2,677,604
12.57% ↑
2018年 2,378,542
-1.84% ↓
2017年 2,423,222
0.98% ↑
2016年 2,399,722
0.98% ↑
2015年 2,376,399
0.87% ↑
2014年 2,355,815
-0.45% ↓
2013年 2,366,423
20.89% ↑
2012年 1,957,422
1.96% ↑
2011年 1,919,744
5.05% ↑
2010年 1,827,472
6.13% ↑
2009年 1,721,877
6.91% ↑
2008年 1,610,593
17.69% ↑
2007年 1,368,452
4.51% ↑
2006年 1,309,345
1.07% ↑
2005年 1,295,517
12.21% ↑
2004年 1,154,507
2.56% ↑
2003年 1,125,735
3.04% ↑
2002年 1,092,500
8.87% ↑
2001年 1,003,500
5.35% ↑
2000年 952,500
14.13% ↑
1999年 834,600
2.5% ↑
1998年 814,282
9.14% ↑
1997年 746,103
7.63% ↑
1996年 693,183
4.69% ↑
1995年 662,100
7.04% ↑
1994年 618,563
9.18% ↑
1993年 566,565
9.44% ↑
1992年 517,717
7.44% ↑
1991年 481,870
2.85% ↑
1990年 468,508
8.85% ↑
1989年 430,429
9.71% ↑
1988年 392,317
1.01% ↑
1987年 388,399
8.37% ↑
1986年 358,414
12.32% ↑
1985年 319,099
9.81% ↑
1984年 290,584
15.01% ↑
1983年 252,667
1.02% ↑
1982年 250,104
-2.19% ↓
1981年 255,692
-2.61% ↓
1980年 262,540
3.6% ↑
1979年 253,414
4.96% ↑
1978年 241,450
7.67% ↑
1977年 224,260
10.01% ↑
1976年 203,858
17.64% ↑
1975年 173,289
19.06% ↑
1974年 145,550
3.96% ↑
1973年 140,000
4.05% ↑
1972年 134,550
1.49% ↑
1971年 132,575
1.24% ↑
1970年 130,950
4.27% ↑
1969年 125,590
1.72% ↑
1968年 123,470
2.25% ↑
1967年 120,750
5.46% ↑
1966年 114,500
2.83% ↑
1965年 111,350
3.01% ↑
1964年 108,100
5.62% ↑
1963年 102,350
2.74% ↑
1962年 99,625
2.71% ↑
1961年 97,000 -

サウジアラビアは、地理的条件と気候的制約が厳しい中で、農畜産業を中心とする食料生産の拡大に努めてきました。1961年に記録された牛乳の生産量は97,000トンでしたが、国家の農業発展政策や技術革新の影響を受け、2022年にはそのおよそ29倍となる2,849,957トンまで増加しました。特に1970年代から1980年代半ばにかけては、石油収入を背景に大規模なインフラ投資が進められ、食糧安全保障の確立を目指す方針が打ち出されました。これにより、灌漑技術や近代的な畜産技術が導入され、生産量が急激に増加する結果となりました。

1980年代後半から1990年代にかけても、さらに生産の効率化が促進され、これに伴い牛乳生産量は順調に増加しました。そして2000年代以降は、グローバル化に対応した輸出戦略に力が注がれ、国内需要を賄うだけでなく輸出可能な余剰生産を確保することが課題となりました。その結果、例えば2013年には約2,366,423トンの生産量を記録し、以降も着実に増加しています。

しかしながら、近年、2020年のパンデミック以降にいくつかの新たな課題が浮き彫りとなりました。2020年から2022年のデータを見ると、2020年には2,906,284トンとピークを迎えましたが、その後は若干の減少が続き、2022年には2,849,957トンとなりました。この減少は、新型コロナウイルスのパンデミックによる労働力不足や物流の混乱、さらに世界的な資源価格の変動が影響している可能性を示唆しています。

また、地政学的リスクも無視できません。サウジアラビアは中東地域に位置しており、周辺国との緊張や紛争リスクが農産業の安定に影響を与える恐れがあります。さらに、水資源の厳しい制約も長期的には重要な課題と言えます。同国はこれまで地下水を多く利用して来ましたが、近年では地下水の枯渇問題が注目され始めています。牛乳生産の増加に伴う水の需要はさらに高まるため、この点をどのようにクリアするかが今後の焦点です。

これらを踏まえ、サウジアラビアが取り組むべき具体的対策としては、まず効率的な水資源の管理を挙げることができます。例えば、再生可能エネルギーを活用した海水淡水化施設の拡充による新たな水資源の創出は有効です。また、農畜産業の技術革新を更に進め、より少ない資源で高い生産効率を実現する必要があります。この分野では、人工知能やデータ分析を活用したスマート農業が期待されます。

さらに、国際協力の強化も重要です。サウジアラビアは、他国との貿易関係の構築や地域協力枠組みを活用し、農畜産物流の安定化を図ることが肝心です。同時に、気候変動の影響にも備えて、持続可能な農業手法への転換を進めるべきです。

総合的に見て、サウジアラビアの牛乳生産はこれまでの成功を生かしつつ、現代の複合的な課題を克服するための多角的な取り組みが一層求められています。これによって、同国の農畜産業はさらに安定し、持続可能な形で成長を続けることが期待されます。