世界のイチゴ生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

2019年度のイチゴ生産量ランキングデータによると、世界最大のイチゴ生産国は中国で、生産量は3,203,501トンと圧倒的な規模を誇っています。2位のアメリカ合衆国が1,035,100トン、3位のメキシコが861,337トンと続き、この3か国がイチゴ生産の世界市場における主要プレーヤーとなっています。一方、日本は165,200トンで12位にランクインしており、国内外での需要や新品種の開発などに注力する必要性が示唆されます。このランキングから世界各地域の生産動向や課題が浮き彫りになります。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	中国	アジア	3,203,501
2	アメリカ合衆国	北アメリカ	1,035,100
3	メキシコ	南アメリカ	861,337
4	エジプト	アフリカ	545,284
5	トルコ	アジア	486,705
6	スペイン	ヨーロッパ	351,960
7	大韓民国	アジア	234,225
8	ロシア連邦	ヨーロッパ	208,800
9	ポーランド	ヨーロッパ	185,400
10	モロッコ	アフリカ	167,827
11	ブラジル	南アメリカ	165,440
12	日本	アジア	165,200
13	ドイツ	ヨーロッパ	143,980
14	イギリス	ヨーロッパ	143,524
15	イタリア	ヨーロッパ	125,130
16	ベラルーシ	ヨーロッパ	82,176
17	オランダ	ヨーロッパ	75,590
18	ギリシャ	ヨーロッパ	74,430
19	オーストラリア	オセアニア	68,534
20	イラン（イスラム共和国）	アジア	63,587
21	ウクライナ	ヨーロッパ	62,620
22	フランス	ヨーロッパ	60,310
23	コロンビア	南アメリカ	53,730
24	ベルギー	ヨーロッパ	48,000
25	アルゼンチン	南アメリカ	42,000
26	チリ	南アメリカ	28,236
27	ペルー	南アメリカ	28,103
28	カナダ	北アメリカ	27,270
29	イスラエル	アジア	24,622
30	ルーマニア	ヨーロッパ	22,620
31	セルビア	ヨーロッパ	19,608
32	フィンランド	ヨーロッパ	17,820
33	スウェーデン	ヨーロッパ	16,250
34	グアテマラ	南アメリカ	14,113
35	オーストリア	ヨーロッパ	13,580
36	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	12,463
37	ポルトガル	ヨーロッパ	12,270
38	モルドバ共和国	ヨーロッパ	10,700
39	ボスニア・ヘルツェゴビナ	ヨーロッパ	10,582
40	南アフリカ	アフリカ	10,296
41	チュニジア	アフリカ	10,011
42	ノルウェー	ヨーロッパ	9,185
43	中国、台湾 中国省	アジア	8,743
44	スイス	ヨーロッパ	8,545
45	ウズベキスタン	アジア	7,081
46	カザフスタン	アジア	6,800
47	デンマーク	ヨーロッパ	6,310
48	アイルランド	ヨーロッパ	5,990
49	アルバニア	ヨーロッパ	5,273
50	ハンガリー	ヨーロッパ	5,240
51	北マケドニア	ヨーロッパ	5,172
52	ブルガリア	ヨーロッパ	4,570
53	コスタリカ	南アメリカ	4,416
54	パラグアイ	南アメリカ	4,299
55	ニュージーランド	オセアニア	3,823
56	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	3,457
57	パレスチナ国	アジア	3,190
58	クロアチア	ヨーロッパ	3,030
59	チェコ	ヨーロッパ	2,530
60	ヨルダン	アジア	2,491
61	レバノン	アジア	2,200
62	リトアニア	ヨーロッパ	2,140
63	キルギスタン	アジア	2,118
64	スロベニア	ヨーロッパ	1,940
65	キプロス	アジア	1,650
66	マルタ	ヨーロッパ	1,570
67	エストニア	ヨーロッパ	1,560
68	エクアドル	南アメリカ	1,462
69	スロバキア	ヨーロッパ	1,400
70	ラトビア	ヨーロッパ	1,190
71	フィリピン	アジア	1,102
72	グルジア	アジア	1,000
73	クウェート	アジア	906
74	ケニア	アフリカ	504
75	ジンバブエ	アフリカ	228
76	バングラデシュ	アジア	54
77	マラウイ	アフリカ	18
78	ルクセンブルク	ヨーロッパ	10
+ すべての国を見る

2019年度のデータを見ると、イチゴの生産量において中国が際立ったシェアを持っています。生産量3,203,501トンは2位のアメリカ合衆国の約3倍の規模で、単一国としてのイチゴ生産の中心地であると言えます。中国は広大な農地と安価な労働力、さらには国内需要の急速な拡大を背景に、近年イチゴ生産を大幅に増やしており、今後も拡大を続けることが予測されます。その一方で、気候変動や持続可能性への課題が顕在化する可能性が高まっています。

アメリカ合衆国とメキシコはそれぞれ1,035,100トン、861,337トンと、生産量では大きく差があるものの、隣接する地理的条件を活かし、国際市場や地域間貿易を通じて競争力を維持しています。特に、メキシコはアメリカ市場への輸出を主要な収益源としており、北米におけるイチゴ需要の拡大とともに急速な成長傾向を示しています。ただし、この地域では近年気候変動の影響が深刻化しており、水資源管理や農業技術の革新が重要な課題です。

一方で、日本は165,200トンで12位に位置しており、世界の中で中規模の生産国に分類されます。日本は特に高品質なイチゴの生産で知られ、国内外での高付加価値市場で一定の地位を確立しています。しかし、生産量自体は他の主要生産国と比較すると限られており、国内市場での競争力を強化するためには、輸送効率の改善や、新たな輸出市場の開拓が不可欠です。また、日本国内の農業従事者の高齢化が長年の課題となっていることから、スマート農業やロボット技術の導入による生産の効率化も検討されるべきでしょう。

他のアジア圏を見ると、大韓民国は234,225トンと7位に位置し、中国に次ぐ規模でイチゴ生産を行っています。韓国のイチゴ生産は主に小規模農家に支えられており、高い技術力による品質向上が特徴的です。一方で、インドのような急速に成長する新興経済国における生産は統計上目立たず、これらの国々では主に他作物の生産が優先されていることがわかります。

ヨーロッパに目を向けると、スペインが351,960トンで6位、ポーランドが185,400トンで9位となっており、ヨーロッパ内では主要な生産国となっています。特にスペインはヨーロッパ域内外への輸出が盛んであり、EU内部での市場競争において優位性を保っています。ただし、大規模な農業用水の使用が自然環境に与える影響が懸念されており、環境に配慮した持続可能な農業への転換が求められています。また、イギリスやドイツ、フランスなどもそれぞれ150,000トン前後の生産量を持つものの、多くのヨーロッパ諸国では食料安全保障や地政学リスクの影響下にあります。たとえば、ウクライナやロシアの地域衝突がEU内部の農業政策に緊張を与えています。

さらに、アフリカではエジプトが545,284トンで4位にランクインしたことが特筆されます。これはアフリカ全体で突出した生産量であり、安価な労働力と適した気候条件がその強みとなっています。しかし、エジプトでは水不足や輸出時の品質管理が課題となっており、政府や民間セクターの協力によるインフラ整備が急務です。また、トルコやモロッコも上位にランクインしており、地中海沿岸地域が重要なイチゴ生産地であることを示しています。

これらのデータを基にすると、気候変動や水資源管理といった持続可能性問題が全体的な共通課題として浮上します。また、地政学的背景や人口動態、農業技術や貿易戦略が各国の生産動向に大きく影響を与えていることが明らかです。適切な政策としては、国際共同研究や技術移転、さらにイチゴ栽培の持続可能性を目指した教育プログラムの強化が挙げられます。

今後、各国が気候変動に対応しつつ、輸出市場の多角化や農業技術革新に力を注ぐことが、イチゴ生産の安定拡大に寄与すると考えられます。特に、生産者と消費者を結ぶロジスティクスと品質保証の改善は、国際市場での競争力向上につながるでしょう。