1971年のイチゴ生産量ランキングによると、アメリカ合衆国が約23万5,867トンで1位、日本が15万2,800トンで2位、ポーランドが10万7,134トンで3位となっています。トップ10内では、北米、ヨーロッパ、アジア諸国が主要な生産地を占めています。一方で、モロッコやアルジェリアなどのアフリカ地域では生産量が著しく少なく、気候や経済の条件による課題が浮き彫りとなっています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
北アメリカ | 235,867 |
| 2 |
|
アジア | 152,800 |
| 3 |
|
ヨーロッパ | 107,134 |
| 4 |
|
南アメリカ | 103,440 |
| 5 |
|
ヨーロッパ | 91,781 |
| 6 |
|
ヨーロッパ | 62,050 |
| 7 |
|
ヨーロッパ | 50,396 |
| 8 |
|
ヨーロッパ | 35,750 |
| 9 |
|
ヨーロッパ | 31,433 |
| 10 |
|
ヨーロッパ | 22,100 |
| 11 |
|
北アメリカ | 20,365 |
| 12 |
|
ヨーロッパ | 18,188 |
| 13 |
|
アジア | 16,500 |
| 14 |
|
ヨーロッパ | 15,539 |
| 15 |
|
ヨーロッパ | 14,726 |
| 16 |
|
ヨーロッパ | 10,300 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 10,149 |
| 18 |
|
アジア | 8,510 |
| 19 |
|
ヨーロッパ | 7,279 |
| 20 |
|
アジア | 5,050 |
| 21 |
|
ヨーロッパ | 4,810 |
| 22 |
|
オセアニア | 4,101 |
| 23 |
|
オセアニア | 3,517 |
| 24 |
|
ヨーロッパ | 3,000 |
| 25 |
|
ヨーロッパ | 3,000 |
| 26 |
|
南アメリカ | 2,678 |
| 27 |
|
南アメリカ | 2,560 |
| 28 |
|
ヨーロッパ | 2,500 |
| 29 |
|
ヨーロッパ | 2,330 |
| 30 |
|
南アメリカ | 1,581 |
| 31 |
|
アフリカ | 915 |
| 32 |
|
南アメリカ | 700 |
| 33 |
|
アジア | 479 |
| 34 |
|
アジア | 457 |
| 35 |
|
南アメリカ | 450 |
| 36 |
|
アフリカ | 60 |
| 37 |
|
アフリカ | 5 |
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国際連合食糧農業機関が発表した1971年のイチゴ生産量データは、各国の農業生産能力や気候的条件、また市場の需要構造を反映した興味深いデータです。この時点で最も多くのイチゴを生産していたのはアメリカ合衆国で、世界全体のイチゴ生産の中でも大きなシェアを占めています。同国では、カリフォルニア州を中心に気候条件や技術の進歩を背景に、大規模な農業経営が行われていました。この結果、他の国々に対して生産量で圧倒的な優位性を示しています。
日本は2位に位置しています。当時の日本は高度経済成長期にあり、国内の農業技術の向上や品種改良によって高品質なイチゴの生産が進んでいました。特に、畳1枚分程度の小さな農地でも効率的に作物を育てる技術革新が、イチゴ産業の発展に大きく寄与しました。一方で、生産量は1位のアメリカ合衆国に比べると少なく、国内市場向けに特化した形が目立つ構造でした。
ポーランドやメキシコ、イタリアといった国々も上位に入り、それぞれの地理的・気候的条件がイチゴ生産に適していることを示しています。例えば、ポーランドでは季節性のある温帯気候と肥沃な土壌が、生産地としてのアドバンテージをもたらしました。一方、メキシコについては比較的温暖な気候のもとで、少雨地域においても水資源を活用した農業技術が導入されています。
ヨーロッパではフランス、イギリス、ドイツ、オランダなどの国々もランクインしており、家族経営の農場が中心にイチゴ栽培を行っていました。季節ごとの収穫量が限られているため、市場需要と供給のバランスが課題となっていた可能性があります。また、地中海地域に位置するイタリアでは、暖温帯性の気候がイチゴの栽培に適し、こちらも生産量の向上に寄与していました。
一方で、南アフリカ、レバノン、モロッコ、アルジェリアといった下位の国々では、気候条件や農業インフラの未整備が大きな課題となっています。例えば、モロッコとアルジェリアは乾燥した環境が主で、イチゴの栽培に必要な水や土壌の条件が整っていません。また、政策的な農業支援の不足や技術導入の遅れが、生産が低い理由として挙げられます。
今後の課題として、気候変動の影響や地政学的リスクも無視できません。たとえば、産地として重要な地域で水資源が枯渇することは、生産量全体を左右する可能性があります。また、イチゴは市場需要が高い果実であるため、主要生産国が輸出主導型の経済に依存してしまうと、国際市場の変動が経済全体へ波及するリスクもあります。また、技術導入の進展が遅れている国々への支援や国際協力が求められます。
具体的な解決策としては、砂漠地帯での水耕栽培技術の導入や、気温変動に強い品種の開発が重要です。さらに、国際的な協力のもとで技術移転と支援を強化することで、生産力を向上させる可能性があります。また、余剰生産の抑制と適切な販売を進めるため、市場調整技術の向上や国際規格の整備も課題といえます。
1971年のデータを基に、各国間のイチゴ生産における特徴や課題を浮き彫りにすることで、各国農業政策の評価や今後の世界的な果実生産政策の方向性を示す重要な資料となります。特に、現代においてもイチゴは高い需要を持つ農産物であり、生産・供給体制の強化は持続可能な農業経営の一環として取り組むべき課題です。