国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した1992年度のイチゴ生産量データによると、世界のイチゴ生産量ランキング1位はアメリカ合衆国で606,000トン、2位はスペインで218,200トン、3位は日本で208,600トンでした。これに続く国としてポーランド、イタリア、大韓民国があり、特に上位5か国が世界総生産量の大部分を占めています。一方で、下位の国々には、収穫量が1,000トンを下回る国々も見られ、世界全体では地域間での生産量の大きな差が浮き彫りとなりました。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
北アメリカ | 606,000 |
| 2 |
|
ヨーロッパ | 218,200 |
| 3 |
|
アジア | 208,600 |
| 4 |
|
ヨーロッパ | 204,519 |
| 5 |
|
ヨーロッパ | 183,700 |
| 6 |
|
アジア | 107,990 |
| 7 |
|
南アメリカ | 97,777 |
| 8 |
|
ヨーロッパ | 95,100 |
| 9 |
|
南アメリカ | 76,589 |
| 10 |
|
ヨーロッパ | 76,531 |
| 11 |
|
ヨーロッパ | 55,116 |
| 12 |
|
アジア | 50,000 |
| 13 |
|
ヨーロッパ | 47,891 |
| 14 |
|
ヨーロッパ | 47,453 |
| 15 |
|
北アメリカ | 29,459 |
| 16 |
|
アフリカ | 25,200 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 23,500 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 19,200 |
| 19 |
|
ヨーロッパ | 13,938 |
| 20 |
|
南アメリカ | 13,500 |
| 21 |
|
ヨーロッパ | 13,229 |
| 22 |
|
ヨーロッパ | 12,775 |
| 23 |
|
アジア | 12,748 |
| 24 |
|
ヨーロッパ | 12,539 |
| 25 |
|
ヨーロッパ | 12,400 |
| 26 |
|
ヨーロッパ | 12,074 |
| 27 |
|
アジア | 11,384 |
| 28 |
|
ヨーロッパ | 10,809 |
| 29 |
|
ヨーロッパ | 10,619 |
| 30 |
|
ヨーロッパ | 10,000 |
| 31 |
|
南アメリカ | 9,000 |
| 32 |
|
アジア | 8,278 |
| 33 |
|
南アメリカ | 7,810 |
| 34 |
|
ヨーロッパ | 7,700 |
| 35 |
|
オセアニア | 7,423 |
| 36 |
|
ヨーロッパ | 7,118 |
| 37 |
|
南アメリカ | 6,596 |
| 38 |
|
ヨーロッパ | 5,200 |
| 39 |
|
ヨーロッパ | 5,000 |
| 40 |
|
アフリカ | 3,950 |
| 41 |
|
アジア | 3,792 |
| 42 |
|
南アメリカ | 3,528 |
| 43 |
|
オセアニア | 3,500 |
| 44 |
|
南アメリカ | 3,496 |
| 45 |
|
アジア | 3,200 |
| 46 |
|
アフリカ | 3,000 |
| 47 |
|
ヨーロッパ | 2,744 |
| 48 |
|
アジア | 2,547 |
| 49 |
|
ヨーロッパ | 2,500 |
| 50 |
|
南アメリカ | 2,190 |
| 51 |
|
南アメリカ | 2,080 |
| 52 |
|
ヨーロッパ | 1,287 |
| 53 |
|
アジア | 1,250 |
| 54 |
|
南アメリカ | 1,180 |
| 55 |
|
ヨーロッパ | 1,135 |
| 56 |
|
アジア | 1,000 |
| 57 |
|
南アメリカ | 1,000 |
| 58 |
|
ヨーロッパ | 860 |
| 59 |
|
アフリカ | 780 |
| 60 |
|
アフリカ | 603 |
| 61 |
|
アフリカ | 500 |
| 62 |
|
ヨーロッパ | 500 |
| 63 |
|
アジア | 450 |
| 64 |
|
アジア | 426 |
| 65 |
|
アフリカ | 100 |
| 66 |
|
アジア | 8 |
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1992年度のイチゴ生産量ランキングは、各国の農業生産における特徴や課題を示す重要なデータです。1位を獲得したアメリカ合衆国のイチゴ生産量は606,000トンで、世界全体のイチゴ生産において圧倒的なシェアを占めています。アメリカは、カリフォルニア州を中心に広大な土地、効率的な農業技術、機械化された収穫体制、そして国内外の需要を支える物流網の整備が功を奏し、生産量の大きさに繋がっています。2位のスペインは218,200トンとアメリカに大きく差をつけられてはいるものの、安定した地中海性気候や輸出を見据えた栽培体制が特長です。3位の日本(208,600トン)は、生産面積が限られている中でも品質重視の高密度農業で成果を上げています。
ランキング上位国の中でもポーランドやイタリアは、地域の温暖な気候や伝統的な農業技術が生産を支えています。しかし、それ以外の国々の生産量はアメリカやスペインに比べて非常に少なく、その分布は著しい地域的偏在が見られます。日本や韓国のように生産規模は相対的に小さいものの、品種改良を通じて高品質のイチゴを世界市場に向けて供給している国々の存在も特記すべき点です。
一方で、下位に位置するアフリカや中東の国々(例えばケニアやチュニジアなど)は、生産量が数百トン程度と少なく、多くの地域で気候条件やインフラの問題、生産効率の低さが課題となっています。また、食品輸出の中心となるインフラの未整備により、潜在力を発揮できていない地域も見受けられます。さらに、経済的資源の制約や灌漑技術の未発達が生産量の拡大を阻んでいる可能性も高いです。
地政学的な背景を考慮すると、1992年当時は冷戦終結に伴う変動などが農業政策にも影響を与える時期でもありました。例えば、旧ソ連地域では経済再編の影響で農業体制が変化し、ロシア連邦やウクライナをはじめとした隣接諸国の生産量にもその影響が見られる可能性があります。
今後の課題としては、まず生産量が低い国々における栽培技術や灌漑インフラの整備を支援することで、食糧自給率の向上を目指すことが重要です。具体的には、各国の農業従事者向けに農業技術トレーニングプログラムの展開や国際機関(FAOや世界銀行など)の協力を得た資金援助が有力な対策となります。また、気候変動への対応も不可欠で、特に干ばつや不適切な農地利用が進む地域において持続可能な農業技術や最新の種子開発が求められます。
さらに、各国が直面する経済的格差やインフラの問題は、国際的な協力で解決を図るべきです。これには、国際貿易の枠組みを通じた自由貿易の推進や公正な取引機会の確保、さらに農業支援を目的とした地域内協力が含まれます。特に生産量の多いアメリカや日本、スペインなどの国々は農業技術の移転や資金支援を通じ、他国の生産能力向上に貢献する責務を果たすべきです。
結論として、1992年度のデータからは、特定地域が世界のイチゴ生産を支配している構造が鮮明に読み取れます。この構造を改善するためには、途上国における技術革新への支援や農業における国際協力が鍵となります。そして、気候変動対策を念頭に置いた持続可能な農業政策を進めることが、地域格差の是正と全体的な食糧供給の安定確保につながると言えるでしょう。