国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2015年度のイチゴ生産量ランキングによると、1位の中国は2,803,500トンで世界のトップを占め、2位のアメリカ合衆国(1,390,410トン)と比較してもかなりの差があります。日本は158,700トンと11位にランクインしており、その周辺国では8位の韓国(194,513トン)に続く生産規模です。ヨーロッパ諸国では、スペイン(4位、397,369トン)やポーランド(7位、204,889トン)が主な生産国として目立ちます。また、南北アメリカからはアメリカ合衆国(2位)、メキシコ(5位)のようにランキング上位に複数の国が入っています。このデータは、イチゴ産業の国際的な規模と分布を示しており、地域ごとの生産能力や市場連携の構造が見えてきます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アジア | 2,803,500 |
| 2 |
|
北アメリカ | 1,390,410 |
| 3 |
|
アフリカ | 435,344 |
| 4 |
|
ヨーロッパ | 397,369 |
| 5 |
|
南アメリカ | 392,625 |
| 6 |
|
アジア | 375,800 |
| 7 |
|
ヨーロッパ | 204,889 |
| 8 |
|
アジア | 194,513 |
| 9 |
|
ヨーロッパ | 182,000 |
| 10 |
|
ヨーロッパ | 172,590 |
| 11 |
|
アジア | 158,700 |
| 12 |
|
ヨーロッパ | 143,177 |
| 13 |
|
アフリカ | 141,100 |
| 14 |
|
南アメリカ | 135,000 |
| 15 |
|
ヨーロッパ | 115,494 |
| 16 |
|
ヨーロッパ | 90,000 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 66,060 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 64,030 |
| 19 |
|
アジア | 60,146 |
| 20 |
|
ヨーロッパ | 57,901 |
| 21 |
|
ヨーロッパ | 57,700 |
| 22 |
|
南アメリカ | 55,719 |
| 23 |
|
南アメリカ | 53,371 |
| 24 |
|
ヨーロッパ | 48,000 |
| 25 |
|
オセアニア | 45,604 |
| 26 |
|
南アメリカ | 35,114 |
| 27 |
|
南アメリカ | 26,989 |
| 28 |
|
ヨーロッパ | 26,036 |
| 29 |
|
南アメリカ | 25,256 |
| 30 |
|
北アメリカ | 24,698 |
| 31 |
|
アジア | 22,105 |
| 32 |
|
ヨーロッパ | 21,587 |
| 33 |
|
ヨーロッパ | 17,080 |
| 34 |
|
ヨーロッパ | 14,455 |
| 35 |
|
南アメリカ | 13,748 |
| 36 |
|
ヨーロッパ | 13,368 |
| 37 |
|
ヨーロッパ | 11,187 |
| 38 |
|
アフリカ | 10,287 |
| 39 |
|
ヨーロッパ | 9,659 |
| 40 |
|
ヨーロッパ | 9,306 |
| 41 |
|
ヨーロッパ | 9,158 |
| 42 |
|
アジア | 8,251 |
| 43 |
|
ヨーロッパ | 8,205 |
| 44 |
|
アフリカ | 7,045 |
| 45 |
|
ヨーロッパ | 6,900 |
| 46 |
|
アジア | 6,555 |
| 47 |
|
アジア | 6,300 |
| 48 |
|
オセアニア | 5,466 |
| 49 |
|
南アメリカ | 5,440 |
| 50 |
|
ヨーロッパ | 5,313 |
| 51 |
|
ヨーロッパ | 4,999 |
| 52 |
|
ヨーロッパ | 4,526 |
| 53 |
|
ヨーロッパ | 3,993 |
| 54 |
|
南アメリカ | 3,311 |
| 55 |
|
ヨーロッパ | 3,260 |
| 56 |
|
ヨーロッパ | 3,215 |
| 57 |
|
アジア | 3,145 |
| 58 |
|
南アメリカ | 3,104 |
| 59 |
|
アジア | 2,616 |
| 60 |
|
ヨーロッパ | 2,455 |
| 61 |
|
アジア | 2,397 |
| 62 |
|
アジア | 2,000 |
| 63 |
|
ヨーロッパ | 1,957 |
| 64 |
|
ヨーロッパ | 1,727 |
| 65 |
|
アジア | 1,469 |
| 66 |
|
アフリカ | 1,361 |
| 67 |
|
ヨーロッパ | 1,343 |
| 68 |
|
南アメリカ | 1,252 |
| 69 |
|
ヨーロッパ | 940 |
| 70 |
|
アジア | 900 |
| 71 |
|
ヨーロッパ | 788 |
| 72 |
|
アジア | 786 |
| 73 |
|
アジア | 271 |
| 74 |
|
アフリカ | 227 |
| 75 |
|
ヨーロッパ | 19 |
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2015年のイチゴ生産量ランキングによると、中国が全体のトップで、世界生産量の中で非常に大きなシェアを占めました。これは、中国における農業技術の発展や大規模な農地運用、高い需要に基づく生産拡大策が後押しした結果と考えられます。2位のアメリカ合衆国はカリフォルニア州を中心とした効率的な大規模農業が特徴であり、国内消費および輸出の両方を意識した生産体制が強固です。エジプト(3位)はアフリカ地域でも突出した生産量を誇り、高性能農業灌漑システムの導入が寄与しています。
日本は11位に位置しており、国内需要に応えるための高品質なイチゴ栽培に注力していることが特色です。市場では「とちおとめ」や「あまおう」といった高級ブランドが中心で、国内消費者向けの高級志向が強調されています。しかし、一方で日本は未だに小規模分散型農業が主流であり、輸出市場をターゲットとした生産拡大には課題が残ります。対照的に、隣国の韓国(8位)は、輸出への積極的な取り組みが評価されており、特に東南アジア市場向けの生産基盤が整備されています。
ヨーロッパでは、スペインが市場における主要なイチゴ輸出国として知られており、この地域からの輸出額は非常に高い比率を占めます。ポーランドもまた、地域の消費市場を支える生産地ですが、これらの国々が気候変動の影響を受けるリスクについては持続的な議論が必要です。
地域の課題としては、気候変動の影響によるイチゴの作付け不安定化や資源利用の課題が挙げられます。特に水資源が限られる地域では効率的な灌漑技術の導入が急務です。また、生産拡大には農業従事者の確保も重要で、特に若年層の農業離れが進む日本や韓国で緊急の対策が求められます。このため、スマート農業技術の導入や国内消費から輸出への転換に向けた政策が鍵となります。
地政学的な面では、エジプトやトルコが位置する地域は地中海沿岸や中東市場にアクセスしやすい地理的な利点を活かしていますが、地域の政治不安定性や紛争による輸送ルートの混乱が一定のリスクとなります。特に世界全体での貿易摩擦が生産効率や輸出価格に影響を与える可能性は無視できません。
今後、各国は気候変動に対抗したイチゴ栽培技術の改善や、省資源型農業への移行、輸出市場を意識した生産体制を強化する必要があります。日本においては、特にブランド戦略を活用した輸出拡大や、補助金政策を通じて若年層の農業参入を支援することが鍵となるでしょう。このような具体的な施策を通じて、世界市場における生産地位をさらに高めることが期待されます。