Food and Agriculture Organization(FAO)が発表した1986年度のイチゴ生産量ランキングによると、アメリカ合衆国が462,340トンで首位を獲得し、世界のイチゴ生産で圧倒的なシェアを占めています。次いでポーランドが266,889トン、日本が200,500トンで2位と3位にランクインしました。特にアメリカとポーランドの2カ国が全体の生産量の約40%を担っています。一方、地域的にはヨーロッパが全体の生産量の多くを占めており、農業基盤や気候条件が影響を与えていることがうかがえます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
北アメリカ | 462,340 |
| 2 |
|
ヨーロッパ | 266,889 |
| 3 |
|
アジア | 200,500 |
| 4 |
|
ヨーロッパ | 189,500 |
| 5 |
|
ヨーロッパ | 168,680 |
| 6 |
|
ヨーロッパ | 91,300 |
| 7 |
|
ヨーロッパ | 80,123 |
| 8 |
|
ヨーロッパ | 48,416 |
| 9 |
|
南アメリカ | 44,301 |
| 10 |
|
アジア | 43,962 |
| 11 |
|
アジア | 35,000 |
| 12 |
|
ヨーロッパ | 30,700 |
| 13 |
|
北アメリカ | 29,092 |
| 14 |
|
アフリカ | 28,126 |
| 15 |
|
ヨーロッパ | 22,900 |
| 16 |
|
ヨーロッパ | 16,930 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 15,215 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 14,537 |
| 19 |
|
ヨーロッパ | 14,039 |
| 20 |
|
アジア | 11,000 |
| 21 |
|
ヨーロッパ | 10,225 |
| 22 |
|
南アメリカ | 7,425 |
| 23 |
|
ヨーロッパ | 6,908 |
| 24 |
|
南アメリカ | 6,000 |
| 25 |
|
アジア | 5,377 |
| 26 |
|
南アメリカ | 5,110 |
| 27 |
|
南アメリカ | 5,100 |
| 28 |
|
オセアニア | 4,800 |
| 29 |
|
ヨーロッパ | 4,451 |
| 30 |
|
オセアニア | 4,320 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 4,200 |
| 32 |
|
アフリカ | 4,117 |
| 33 |
|
南アメリカ | 3,410 |
| 34 |
|
南アメリカ | 3,000 |
| 35 |
|
アジア | 2,800 |
| 36 |
|
ヨーロッパ | 2,723 |
| 37 |
|
ヨーロッパ | 2,000 |
| 38 |
|
南アメリカ | 2,000 |
| 39 |
|
アジア | 1,126 |
| 40 |
|
南アメリカ | 1,000 |
| 41 |
|
南アメリカ | 924 |
| 42 |
|
南アメリカ | 738 |
| 43 |
|
アフリカ | 600 |
| 44 |
|
アジア | 370 |
| 45 |
|
アフリカ | 300 |
| 46 |
|
アジア | 123 |
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このデータから、1986年における世界のイチゴ生産が限られた地域に集中している傾向が見て取れます。アメリカ合衆国が首位を占め、圧倒的な生産量を記録していますが、特筆すべきはその先進的な農業技術や広大な適地が可能にした大規模な生産体制です。この国はカリフォルニア州のような温暖な気候に恵まれ、生産規模の拡大とともに市場の需要を満たしてきました。一方、ヨーロッパではポーランドが2位に位置しており、この地域の土壌条件やイチゴ栽培の長い伝統が背景にあります。
日本は200,500トンで3位となり、品質の高いイチゴを生産している特徴が見られます。気候条件が適しているだけでなく、手間のかかる栽培方法や品種改良が日本の生産を支えていると言えるでしょう。アメリカやポーランドとは異なり、日本では農地の面積が限られているため、生産量よりも高品質および高単価を目指した戦略が取られています。この特徴は現在も続く日本農業の方向性を示しています。
他に注目すべき点は、南欧諸国でのイチゴ生産量が多いことです。スペイン(189,500トン)やイタリア(168,680トン)は温暖な気候と輸出を見据えた生産体制が強みです。これらの国々の戦略的な立地は、ヨーロッパ市場への輸送コストを抑えつつ高い需要に応えることを可能にしています。
一方で、アジアや南アメリカでは生産量が全体的に低い状態が確認されます。中国や台湾、中国省、韓国、そして他のアジア地域では、小規模な農業が主に行われていたことや、イチゴが主要作物としてまだ大規模には栽培されていなかったことが要因として考えられます。しかし、これらの地域では近年に至り、市場の需要が増加し生産体制にも変化が見られています。
このデータを基にした課題として、イチゴ生産量が特定地域に偏っていることが挙げられます。生産量が少ない国は、市場需要により依存する結果、輸入コストの増加や供給リスクに直面する可能性があります。特に地政学的リスクや地域の紛争が供給チェーンに与える脅威は見過ごせません。南アメリカやアフリカ地域では、農業基盤の整備や技術移転に注力することで、国際市場参入の機会を広げることが可能です。
一方で、生産量トップのアメリカやヨーロッパ諸国も、気候変動の影響を重要視する必要があります。作物生産地での異常気象が増加する中、適応的な農業技術の導入や水資源の管理が将来的な課題となるでしょう。さらに、生産国の多様化は市場の安定にも寄与します。例えば、新規参入国に対して栽培技術の指導や資金援助を通じた支援が効果的です。
国際的には、需要増加を背景に、農業分野の研究開発への投資が求められます。土壌分析や温度管理といった技術の進展が生産性を向上させるだけでなく、消費者のニーズを満たす高品質な農産物の供給にもつながります。国際機関や農業専門組織は技術協力の枠組みを強化し、持続可能な生産体制の確立を支援するべきです。
結論として、1986年のランキングは、その後の農業発展の方向性を理解する手がかりとなります。生産の偏在と気候変動リスクへの対応を課題としつつ、新興国への支援や技術革新を進めることで、全世界でのイチゴ供給の持続性が高まるでしょう。