1976年度のイチゴ生産量ランキングによると、1位はアメリカ合衆国で263,082トン、2位は日本で164,700トン、3位はイタリアで156,000トンとなっています。これら3カ国が群を抜いた生産量を記録しており、特にアメリカ合衆国は2位の日本に10万トン近い差をつけてトップに立っています。一方、ランキング下位の国々では、生産量が数百トンから千トン程度に留まり、この分野で世界全体の分布に大きな差があることが分かります。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
北アメリカ | 263,082 |
| 2 |
|
アジア | 164,700 |
| 3 |
|
ヨーロッパ | 156,000 |
| 4 |
|
ヨーロッパ | 154,550 |
| 5 |
|
南アメリカ | 89,321 |
| 6 |
|
ヨーロッパ | 68,440 |
| 7 |
|
ヨーロッパ | 50,684 |
| 8 |
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ヨーロッパ | 36,900 |
| 9 |
|
ヨーロッパ | 31,300 |
| 10 |
|
ヨーロッパ | 29,200 |
| 11 |
|
アジア | 20,444 |
| 12 |
|
ヨーロッパ | 18,700 |
| 13 |
|
北アメリカ | 18,311 |
| 14 |
|
ヨーロッパ | 18,164 |
| 15 |
|
アジア | 18,000 |
| 16 |
|
ヨーロッパ | 16,905 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 15,626 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 8,778 |
| 19 |
|
ヨーロッパ | 8,637 |
| 20 |
|
ヨーロッパ | 6,881 |
| 21 |
|
南アメリカ | 4,300 |
| 22 |
|
ヨーロッパ | 4,070 |
| 23 |
|
南アメリカ | 3,816 |
| 24 |
|
アジア | 3,400 |
| 25 |
|
ヨーロッパ | 3,000 |
| 26 |
|
オセアニア | 2,984 |
| 27 |
|
アフリカ | 2,758 |
| 28 |
|
オセアニア | 2,699 |
| 29 |
|
南アメリカ | 2,566 |
| 30 |
|
ヨーロッパ | 2,450 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 2,430 |
| 32 |
|
アジア | 550 |
| 33 |
|
南アメリカ | 550 |
| 34 |
|
南アメリカ | 500 |
| 35 |
|
アジア | 203 |
| 36 |
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南アメリカ | 160 |
| 37 |
|
アフリカ | 150 |
| 38 |
|
アフリカ | 100 |
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国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した1976年度のデータに基づくイチゴ生産量ランキングでは、アメリカ合衆国が圧倒的な1位を獲得しています。この国の生産量が263,082トンに及ぶ背景には、広大な農業地帯と近代的な農業技術の普及が挙げられます。特にカリフォルニア州などの温暖な気候を活かした大規模農業が、陸続きの国内市場や輸出市場の需要を効率的に満たしていると考えられます。
日本は164,700トンで2位に位置しました。この時代の日本では、温室栽培など技術革新が進んでおり、品質の高いイチゴを国内市場向けに供給するシステムが整備されていました。また、農地面積が限られているため、一つ一つの作物の収益性を高める工夫が農家間で多く行われていたことも、その順位の理由の一つといえます。一方で、イタリア(156,000トン)やポーランド(154,550トン)が迫るような生産量を記録しており、これらの国々も地域特有の温暖な気候や異なる栽培方法を活かして、生産活動を行っていたと見られます。
興味深いのは、アメリカ合衆国や日本のような大規模生産国が上位に位置する一方で、ヨーロッパ各国が相対的に中規模の生産量でランキングを占める傾向がある点です。ポーランド、フランス、ドイツといった国々のイチゴ生産は、主に地域の消費市場をターゲットにしており、輸出よりも内需中心の生産スタイルが見受けられます。また、生産量が20,000トン未満の韓国やオランダといった国々では、気候条件や土地の使用制約が影響していると考えられます。
一方、ランキング下位の国々、例えばレバノンやブラジルなどでは、生産量が500トン以下に留まっています。これは、栽培技術のレベルや農業における優先順位が十分に確保されていなかった可能性を示唆しています。これらの地域では、海外からの技術支援や気候条件に適した作物育成法の導入が根本的な課題であり、持続可能な方法を模索する必要があります。
地域的な課題の中では、気候変動や農業用水確保の問題が重要です。例えば、中東地域のレバノンやパラグアイなど、一部の国々では乾燥地帯での水の確保が難しく、作物生産に影響を与えています。この状況を改善するためには、乾燥地対応型の栽培技術導入や、地域間共同による水資源管理が効果的な解決手段となるでしょう。
また、農業における地政学的な影響も見過ごせません。特に、冷戦時代の政治的緊張が一部の国々でのインフラ整備や資源活用に影響を与えてきた可能性があります。この影響を軽減するには、現代において国際協力を基盤とした農業支援プロジェクトが必要です。技術普及だけでなく、世界中の市場がより公平にアクセスできるグローバルな輸送・貿易システムを強化することで、農業発展にも貢献できます。
今後、世界的な視点でイチゴの生産を支えるためには、地域ごとの気候や需要特性を考慮した農業技術の進化が重要です。これには、持続可能な農法や災害耐性の高い栽培技術の開発、さらには地域間での協力体制の強化が含まれます。特に温室地震、水害などへの対応策が不可欠です。
結論として、1976年度のイチゴ生産量データは、世界各地の農業構造や技術の偏りを示しています。この差を縮小し、より効率的に農業資源を利用するためには、多国間協力と技術革新が鍵となるでしょう。これによって、将来的には、生産量のみならず、品質や輸出能力の向上も期待できます。