国際連合食糧農業機関(FAO)のデータによると、1983年度の世界イチゴ生産量ランキングで1位はアメリカ合衆国(405,283トン)、2位は日本(196,700トン)、3位はポーランド(190,662トン)となっています。これら上位3カ国が世界イチゴ生産の主要国となっており、アメリカは特に圧倒的な生産量を誇っています。このランキングから、地域や国ごとにイチゴ産業の役割や発展度合いに違いがあることがわかります。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
北アメリカ | 405,283 |
| 2 |
|
アジア | 196,700 |
| 3 |
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ヨーロッパ | 190,662 |
| 4 |
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ヨーロッパ | 158,853 |
| 5 |
|
ヨーロッパ | 100,100 |
| 6 |
|
ヨーロッパ | 82,800 |
| 7 |
|
ヨーロッパ | 79,374 |
| 8 |
|
南アメリカ | 77,827 |
| 9 |
|
アジア | 66,198 |
| 10 |
|
ヨーロッパ | 58,000 |
| 11 |
|
北アメリカ | 28,800 |
| 12 |
|
ヨーロッパ | 26,100 |
| 13 |
|
ヨーロッパ | 24,378 |
| 14 |
|
アジア | 22,000 |
| 15 |
|
ヨーロッパ | 21,722 |
| 16 |
|
ヨーロッパ | 15,530 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 15,404 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 13,889 |
| 19 |
|
ヨーロッパ | 13,763 |
| 20 |
|
ヨーロッパ | 9,863 |
| 21 |
|
ヨーロッパ | 9,490 |
| 22 |
|
アフリカ | 8,841 |
| 23 |
|
アジア | 8,400 |
| 24 |
|
南アメリカ | 5,300 |
| 25 |
|
南アメリカ | 4,591 |
| 26 |
|
オセアニア | 4,550 |
| 27 |
|
アジア | 4,536 |
| 28 |
|
ヨーロッパ | 4,200 |
| 29 |
|
アフリカ | 3,464 |
| 30 |
|
オセアニア | 3,409 |
| 31 |
|
南アメリカ | 3,113 |
| 32 |
|
ヨーロッパ | 2,689 |
| 33 |
|
ヨーロッパ | 2,000 |
| 34 |
|
南アメリカ | 1,461 |
| 35 |
|
アジア | 1,000 |
| 36 |
|
南アメリカ | 1,000 |
| 37 |
|
南アメリカ | 1,000 |
| 38 |
|
南アメリカ | 897 |
| 39 |
|
南アメリカ | 485 |
| 40 |
|
アジア | 320 |
| 41 |
|
アフリカ | 200 |
| 42 |
|
アジア | 110 |
| 43 |
|
アフリカ | 50 |
| 44 |
|
アジア | 20 |
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1983年度におけるイチゴ生産量ランキングを見ると、アメリカ合衆国が405,283トンで他を大きく引き離し圧倒的な首位に立っています。これは、同国が広大な農地、先進的農業技術、そして効率的な輸送インフラを持つことによるものと考えられます。一方、日本は196,700トンで2位を確保しており、アメリカに次いで大きなシェアを持っています。日本の場合、限られた農地面積ながらも品種改良や高度な栽培技術によって高品質なイチゴを生産している点が特徴です。また、ポーランドが3位にランクインしている点も注目すべきです。同国では比較的低コストで温暖な気候を活用したイチゴ生産が盛んであることが背景にあると考えられます。
ヨーロッパ各国では、イタリア(158,853トン)、スペイン(100,100トン)、フランス(82,800トン)、ドイツ(79,374トン)がランキング上位に位置しており、地域全体でイチゴの生産基盤が強固であることが見て取れます。それに対し、アジアでは日本が圧倒的な存在感を示しており、次いで韓国(66,198トン)が9位となっていますが、中国大陸がランク外である点は当時の生産体制の未整備や需要の限界を示唆しています。この状況は、アジアの中で日本の農業技術とイチゴ生産における突出した地位を反映しています。
しかし、このデータにはいくつかの課題も浮き彫りにされています。まず、イチゴは非常に短い保存期間を持ち、生鮮食品としての輸送効率や消費地との距離が生産に直接影響する作物です。この点では、輸送インフラが整っていない地域や気候的リスクの高い国などにおいて、生産性を向上させるための改善が必要とされています。また、同時期に深刻な地域衝突や政策不安定性があった中東やアフリカ地域の多くの国が、ランキング下位またはランク外となっている状況も注目に値します。これらの地域では、農業を含む基盤産業が未発達であったことが推測されます。
未来を見据えた具体的な対策としては、まず技術協力を通じて、発展途上地域の栽培技術や冷蔵輸送技術の強化を支援する必要があります。また、特定の地域では地政学的リスクが生産喪失を招くことを回避するための政策枠組みが重要となります。例えば中東や北アフリカ地域での農業支援プロジェクトを推進し、灌漑技術や疾病管理ノウハウを共有することで、生産性向上を図ることが期待されます。
さらに、気候変動への対応も長期的な課題の一つです。イチゴは気候の影響を大きく受ける作物であるため、栽培品種の多様化や耐性品種の開発を進めることで、どのような環境下においても安定した生産を実現できる基盤を整える必要があります。
全体として、1983年のデータは各国の農業政策や地域事情がイチゴ生産にどのように反映されたかを示す貴重な情報です。このデータを踏まえて、世界各地の農業の持続可能性や効率性をさらに向上させるための国際的な取り組みが求められています。特に、気候変動、地政学的リスク、技術格差への対応が急がれる中で、国際協力が重要な鍵となるでしょう。