2016年、国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによれば、イチゴの生産量ランキング1位は中国(2,680,200トン)で、世界的な生産量を大きくリードしています。2位はアメリカ合衆国(1,342,947トン)、3位はメキシコ(468,248トン)となっており、これら上位3か国が全体の生産量を大きく支えています。日本は10位(159,000トン)に位置し、他のアジア諸国である韓国(8位)や中国の後塵を拝している状況です。地域による生産量の偏りが見られる一方で、中小規模の生産国も重要な役割を果たしています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アジア | 2,680,200 |
| 2 |
|
北アメリカ | 1,342,947 |
| 3 |
|
南アメリカ | 468,248 |
| 4 |
|
アジア | 415,150 |
| 5 |
|
アフリカ | 378,960 |
| 6 |
|
ヨーロッパ | 377,596 |
| 7 |
|
ヨーロッパ | 196,972 |
| 8 |
|
アジア | 191,218 |
| 9 |
|
ヨーロッパ | 182,100 |
| 10 |
|
アジア | 159,000 |
| 11 |
|
ヨーロッパ | 143,221 |
| 12 |
|
アフリカ | 136,856 |
| 13 |
|
南アメリカ | 132,000 |
| 14 |
|
ヨーロッパ | 131,436 |
| 15 |
|
ヨーロッパ | 120,327 |
| 16 |
|
ヨーロッパ | 77,327 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 73,000 |
| 18 |
|
アジア | 63,832 |
| 19 |
|
ヨーロッパ | 61,930 |
| 20 |
|
ヨーロッパ | 61,200 |
| 21 |
|
ヨーロッパ | 59,929 |
| 22 |
|
南アメリカ | 57,172 |
| 23 |
|
オセアニア | 48,401 |
| 24 |
|
南アメリカ | 47,053 |
| 25 |
|
ヨーロッパ | 45,000 |
| 26 |
|
南アメリカ | 36,747 |
| 27 |
|
北アメリカ | 26,598 |
| 28 |
|
南アメリカ | 25,690 |
| 29 |
|
南アメリカ | 25,545 |
| 30 |
|
アジア | 24,025 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 23,000 |
| 32 |
|
ヨーロッパ | 22,938 |
| 33 |
|
ヨーロッパ | 15,280 |
| 34 |
|
南アメリカ | 14,760 |
| 35 |
|
ヨーロッパ | 12,000 |
| 36 |
|
アジア | 11,168 |
| 37 |
|
ヨーロッパ | 10,753 |
| 38 |
|
ヨーロッパ | 10,222 |
| 39 |
|
ヨーロッパ | 9,807 |
| 40 |
|
アフリカ | 9,779 |
| 41 |
|
ヨーロッパ | 9,188 |
| 42 |
|
ヨーロッパ | 8,783 |
| 43 |
|
アジア | 8,420 |
| 44 |
|
ヨーロッパ | 7,870 |
| 45 |
|
ヨーロッパ | 7,723 |
| 46 |
|
アフリカ | 7,604 |
| 47 |
|
アジア | 7,487 |
| 48 |
|
アジア | 6,427 |
| 49 |
|
ヨーロッパ | 6,400 |
| 50 |
|
ヨーロッパ | 6,002 |
| 51 |
|
ヨーロッパ | 5,150 |
| 52 |
|
オセアニア | 4,682 |
| 53 |
|
南アメリカ | 4,669 |
| 54 |
|
ヨーロッパ | 4,466 |
| 55 |
|
ヨーロッパ | 3,620 |
| 56 |
|
ヨーロッパ | 3,418 |
| 57 |
|
ヨーロッパ | 3,383 |
| 58 |
|
南アメリカ | 3,329 |
| 59 |
|
アジア | 3,241 |
| 60 |
|
南アメリカ | 3,184 |
| 61 |
|
アジア | 3,096 |
| 62 |
|
アジア | 2,600 |
| 63 |
|
アジア | 2,070 |
| 64 |
|
ヨーロッパ | 1,845 |
| 65 |
|
南アメリカ | 1,518 |
| 66 |
|
ヨーロッパ | 1,297 |
| 67 |
|
ヨーロッパ | 1,130 |
| 68 |
|
アジア | 1,043 |
| 69 |
|
ヨーロッパ | 804 |
| 70 |
|
ヨーロッパ | 804 |
| 71 |
|
アフリカ | 780 |
| 72 |
|
アジア | 762 |
| 73 |
|
アジア | 293 |
| 74 |
|
アフリカ | 228 |
| 75 |
|
ヨーロッパ | 3 |
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2016年のイチゴ生産量は、世界的に見ると地域ごとの特色が顕著に現れています。中国が突出した生産量を誇り、約2,680,200トンと、世界全体の生産を大きくリードしています。この数値は単に生産量の多さを示すだけでなく、中国の農業における効率性の高さや、国内市場の需要の旺盛さを物語っています。中国では、大規模農地の集中化とともに労働力の豊富さが、他国を圧倒する結果につながっています。
アメリカは2位にランクインしており、生産量は約1,342,947トンです。この国では、カリフォルニア州を中心とした高度な農業技術と圧倒的なインフラ整備が特徴で、高品質で輸出向けの生産にも力を入れています。3位のメキシコも輸出国としての地位を確立しており、北米市場、とりわけアメリカへの輸出が生産量を支えるカギとなっています。
一方で、日本は10位(159,000トン)という順位です。日本のイチゴ産業は、高品質な果実の生産に重きを置く一方、生産量においては他国に比べて控えめです。特に、限られた土地面積と労働人口の減少が、生産規模の拡大を阻む要因となっています。しかし、日本産イチゴはその甘さや食感において世界的に評価が高く、国内外でのブランド価値が強みとなっています。
地域別に見ると、アジアでは中国や韓国を筆頭に生産が伸びていますが、インドのように潜在力を持ちながらもランキングに入っていない国も存在し、これからの成長が期待されます。一方でヨーロッパ諸国は、スペイン(6位)、ポーランド(7位)、ドイツ(11位)などが上位に連なり、北米やアジア以外の地域でも安定した生産を見せています。これらのヨーロッパ諸国は、国内消費と輸出を両立できる効率的かつ環境に配慮した農業政策を特徴としています。
このような世界規模での比較において浮き彫りになるのは、生産効率と課題への取り組み方の違いです。土地面積や気候条件が生産量に大きく影響しているだけでなく、人材の確保や生産プロセスの近代化が収量の差に結びついています。特に日本のように土地の広さが制約となっている国々では、スマート農業技術の導入や水耕栽培などの高度な技術の活用が、生産性向上の大きなカギとなると考えられます。
未来への課題としては、気候変動の影響により、収穫時期のずれや生育条件の変化が懸念されます。また、紛争や地域的な衝突が農業従事者や物流インフラに影響を与えることも深刻な問題です。これに対処するためには、国際社会が協力して環境負荷を軽減する農業技術を推進し、農産物の生産と輸出の双方で持続可能な仕組みを確立していく必要があります。
具体的な提案としては、政府や国際機関が資金提供や技術移転を通じて、中小規模農家がスマート農業を導入できる支援体制を強化することが挙げられます。また、気候変動の影響を受けやすい地域には気候適応型の品種改良を進め、市場の多様化を図ることが求められます。
結論として、2016年のデータは、各国の農業事情や課題を浮き彫りにするとともに、これからの農業の在り方を見直す契機とも言えます。特に、新興国の生産性向上や、既存の生産大国の持続性確保がイチゴ生産の全体的な向上に寄与するものと考えられます。国ごとの生産力を生かしながら、気候変動や地域課題に柔軟に対応する姿勢が求められます。