国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2010年度のイチゴ生産量ランキングによると、1位は中国(1,794,000トン)、2位はアメリカ合衆国(1,293,650トン)、3位はトルコ(299,940トン)でした。生産量はこれらの上位3か国で世界全体の半数以上を占めており、アジア、北米、ヨーロッパ、中東の特定地域に偏在していることが分かります。日本は8位(177,500トン)で、アジア地域の中でも一定の存在感を示しています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アジア | 1,794,000 |
| 2 |
|
北アメリカ | 1,293,650 |
| 3 |
|
アジア | 299,940 |
| 4 |
|
ヨーロッパ | 275,355 |
| 5 |
|
アフリカ | 238,432 |
| 6 |
|
アジア | 231,803 |
| 7 |
|
南アメリカ | 226,657 |
| 8 |
|
アジア | 177,500 |
| 9 |
|
ヨーロッパ | 165,000 |
| 10 |
|
ヨーロッパ | 156,911 |
| 11 |
|
ヨーロッパ | 153,875 |
| 12 |
|
ヨーロッパ | 153,410 |
| 13 |
|
アフリカ | 140,600 |
| 14 |
|
南アメリカ | 133,391 |
| 15 |
|
ヨーロッパ | 102,900 |
| 16 |
|
ヨーロッパ | 59,000 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 57,200 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 51,801 |
| 19 |
|
南アメリカ | 43,255 |
| 20 |
|
ヨーロッパ | 42,700 |
| 21 |
|
南アメリカ | 38,296 |
| 22 |
|
ヨーロッパ | 35,000 |
| 23 |
|
ヨーロッパ | 32,973 |
| 24 |
|
アジア | 31,422 |
| 25 |
|
オセアニア | 29,334 |
| 26 |
|
南アメリカ | 26,494 |
| 27 |
|
南アメリカ | 24,949 |
| 28 |
|
南アメリカ | 22,996 |
| 29 |
|
アジア | 22,130 |
| 30 |
|
ヨーロッパ | 21,434 |
| 31 |
|
北アメリカ | 19,093 |
| 32 |
|
ヨーロッパ | 16,426 |
| 33 |
|
ヨーロッパ | 11,500 |
| 34 |
|
南アメリカ | 11,249 |
| 35 |
|
ヨーロッパ | 11,222 |
| 36 |
|
ヨーロッパ | 10,298 |
| 37 |
|
ヨーロッパ | 10,286 |
| 38 |
|
アフリカ | 10,000 |
| 39 |
|
ヨーロッパ | 8,455 |
| 40 |
|
ヨーロッパ | 8,329 |
| 41 |
|
ヨーロッパ | 7,362 |
| 42 |
|
アジア | 7,000 |
| 43 |
|
ヨーロッパ | 5,727 |
| 44 |
|
オセアニア | 5,650 |
| 45 |
|
アジア | 5,473 |
| 46 |
|
ヨーロッパ | 5,400 |
| 47 |
|
アフリカ | 5,397 |
| 48 |
|
ヨーロッパ | 5,390 |
| 49 |
|
アジア | 5,250 |
| 50 |
|
ヨーロッパ | 4,001 |
| 51 |
|
ヨーロッパ | 3,844 |
| 52 |
|
南アメリカ | 3,720 |
| 53 |
|
南アメリカ | 3,508 |
| 54 |
|
アジア | 3,015 |
| 55 |
|
アジア | 2,798 |
| 56 |
|
ヨーロッパ | 2,654 |
| 57 |
|
ヨーロッパ | 2,634 |
| 58 |
|
アジア | 2,200 |
| 59 |
|
南アメリカ | 1,875 |
| 60 |
|
南アメリカ | 1,861 |
| 61 |
|
ヨーロッパ | 1,790 |
| 62 |
|
アジア | 1,788 |
| 63 |
|
ヨーロッパ | 1,776 |
| 64 |
|
アジア | 1,757 |
| 65 |
|
ヨーロッパ | 1,418 |
| 66 |
|
ヨーロッパ | 1,275 |
| 67 |
|
ヨーロッパ | 987 |
| 68 |
|
アジア | 800 |
| 69 |
|
ヨーロッパ | 690 |
| 70 |
|
アジア | 611 |
| 71 |
|
ヨーロッパ | 607 |
| 72 |
|
アフリカ | 456 |
| 73 |
|
アフリカ | 222 |
| 74 |
|
アジア | 128 |
| 75 |
|
ヨーロッパ | 17 |
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2010年のイチゴ生産量ランキングは、イチゴ生産の地理的分布と各国の農業政策の影響力を明示する重要なデータです。上位にランクインした中国とアメリカ合衆国は、農地の規模や気候条件だけでなく、農業技術の発展や輸出志向の生産体制が生産量に大きく寄与しています。中国の1,794,000トンという圧倒的な生産量は、国内需要の高さだけでなくアジア全体の市場占有を反映していると考えられます。一方、アメリカもイチゴ輸出の大国として競争力を持ち、特にカリフォルニア州などでの効率的な集約農業がその裏付けとなっています。
日本は177,500トンで8位に位置しています。この数字は、中国やアメリカと比較すると小規模ではありますが、日本の高付加価値なイチゴブランドが世界的に知られている事実を考慮すると、質の面では高い評価を得ているといえるでしょう。特にあまおうやとちおとめといったブランド品種の成功は、日本の農業の強みを示しています。しかし、面積当たりの生産性が他国に比べて低いことや、国内市場に依存しているという点では課題が残ります。
アジア地域全体を見ても、中国の独壇場が際立っており、日本や韓国、その他のアジア諸国はその影響を受ける形となっています。大韓民国も231,803トンを生産しており、アジア地域でのイチゴ産業の成長性を証明していますが、中国ほどのスケールには到達していません。ここで、隣接国同士の技術協力や市場連携の強化が、アジア全体のイチゴ産業の競争力を高める鍵となるでしょう。
一方、地中海沿岸地域であるトルコやエジプトも生産量ランキングの上位に登場しています。この地域では、温暖な気候や豊富な日照条件が生産を支えていますが、輸出市場の競争が激しいため、価格の安定には課題が残ります。これらの国々が抱えるインフラの未整備や物流コストの高騰といった課題も、効果的な輸出戦略を打ち立てる際のボトルネックとなるでしょう。
ヨーロッパ地域では、スペイン、ロシア、ドイツ、ポーランドといった国々が上位にランクインしています。これらの国々は、特に欧州連合(EU)内での自由貿易を背景に輸送や農業政策の優位性を享受しています。特にスペインは、早採り栽培技術を活用し、ヨーロッパ中に生産物を輸出することで収益を上げています。しかし、一部の地域では気候変動による異常気象が収穫に影響を与えており、持続可能性を確保するための研究と投資が必要です。
この生産データから浮き彫りになった課題として、地理的リスクや新型コロナウイルス感染症、自然災害などの不確実性があります。例えば、主要イチゴ生産国が輸入依存を強めるような状況に陥った場合、世界的な価格の高騰が懸念されます。アメリカや中国の生産は気候変動の影響を受けやすいため、急激な減産が起こればその影響は広範囲に及ぶでしょう。また、輸送網の混乱や関税の変動が世界の需給バランスに与える影響も注目すべきです。
今後、イチゴの生産量を持続可能に増加させるためには、以下の具体的対策が提案されます。まず、生産工程における効率化を図るための技術革新が不可欠です。特に、スマート農業や水資源の効率的利用など、環境に配慮した技術はすべての国で導入が進むべきです。また、農産物の輸送インフラ改善や地域間の連携強化を進めることで、供給の安定性を高めることが重要です。さらに、気候変動への適応策として、温室栽培や耐寒性・耐熱性のある新品種の開発に予算を振り分けるべきです。
このデータは、食品安全保障を確保し、国際市場での競争力を高めるための戦略を見直す良い機会を提供しています。国際的な協力枠組みの構築と、地域ごとの特性を活かした政策の推進が、持続可能な農業の未来を築く上で欠かせない要素となるでしょう。