1980年のイチゴ生産量ランキングでは、アメリカ合衆国が318,420トンで1位、イタリアが225,000トンで2位、日本が193,300トンで3位となっています。このデータは国際連合食糧農業機関(FAO)によって収集されたもので、世界各国におけるイチゴ生産の状況を示しています。1位のアメリカ合衆国の生産量は、2位のイタリアの約1.4倍、日本の約1.6倍の規模を記録しています。全体を見ると、上位10カ国が大半の生産量を占めており、生産量が極めて少ない国も存在するなど、大きな格差が見られます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
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北アメリカ | 318,420 |
| 2 |
|
ヨーロッパ | 225,000 |
| 3 |
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アジア | 193,300 |
| 4 |
|
ヨーロッパ | 179,816 |
| 5 |
|
ヨーロッパ | 98,700 |
| 6 |
|
アジア | 84,325 |
| 7 |
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ヨーロッパ | 80,628 |
| 8 |
|
南アメリカ | 78,119 |
| 9 |
|
ヨーロッパ | 66,981 |
| 10 |
|
ヨーロッパ | 53,400 |
| 11 |
|
ヨーロッパ | 33,574 |
| 12 |
|
北アメリカ | 27,266 |
| 13 |
|
アジア | 23,000 |
| 14 |
|
ヨーロッパ | 22,438 |
| 15 |
|
ヨーロッパ | 20,653 |
| 16 |
|
ヨーロッパ | 20,172 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 19,000 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 13,625 |
| 19 |
|
ヨーロッパ | 12,309 |
| 20 |
|
ヨーロッパ | 7,893 |
| 21 |
|
アジア | 7,500 |
| 22 |
|
ヨーロッパ | 6,120 |
| 23 |
|
ヨーロッパ | 5,900 |
| 24 |
|
南アメリカ | 5,400 |
| 25 |
|
オセアニア | 5,292 |
| 26 |
|
南アメリカ | 3,516 |
| 27 |
|
オセアニア | 3,502 |
| 28 |
|
ヨーロッパ | 3,500 |
| 29 |
|
アフリカ | 3,079 |
| 30 |
|
南アメリカ | 2,761 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 2,300 |
| 32 |
|
アフリカ | 2,028 |
| 33 |
|
南アメリカ | 1,800 |
| 34 |
|
南アメリカ | 655 |
| 35 |
|
南アメリカ | 650 |
| 36 |
|
アジア | 600 |
| 37 |
|
アジア | 305 |
| 38 |
|
アフリカ | 110 |
| 39 |
|
アジア | 50 |
| 40 |
|
アフリカ | 50 |
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1980年におけるイチゴ生産量のデータを見ると、各国の農業政策や気候条件、地域ごとの消費習慣が色濃く反映されています。アメリカ合衆国が約32万トンでトップに立っており、これは同国が広大な農地、高度な農業技術、豊富な投資を背景に効率的に生産を行っていることを示しています。同時に、アメリカは国内での需要が高いほか、輸出市場でも重要な供給国となっており、生産の規模が大きく幅広いエコシステムを形成しています。
2位のイタリアはヨーロッパ最大の生産国であり、伝統的な農業技術に加えて、地中海性気候が高品質なイチゴの栽培に適していることが挙げられます。日本が3位に位置している点は注目に値します。日本の生産量は約19万トンであり、国土が比較的小さいものの、地域特化型の農業政策や消費者需要の高さがその理由と考えられます。このように、日本におけるイチゴ生産は国内市場を強く意識した効率性の高い農業体系が特徴です。
一方で、ポーランド(4位)や韓国(6位)のように、冷涼な気候の中で温室栽培や効率化された農業技術を活用している国も見受けられます。これらの国々は比較的市場規模が大きくないものの、輸出市場への依存度が高いため、地政学的リスクや国際貿易摩擦の影響を受けやすいと考えられます。
しかし問題もいくつか浮かび上がります。例えば、上位10カ国における生産量が全体の大部分を占めている一方、下位の国々では生産能力が低く、国内需要を満たすことが困難な状況が見られます。例えば、アフリカのモロッコや中東のレバノンの生産量はいずれも50トン前後と非常に小規模です。これは、気候条件や農業インフラの整備不足、生産技術の遅れが一因と考えられます。また、伝統的な農業国であるトルコやブラジルも、この時点においては20,000~30,000トン台にとどまっており、農業大国としての潜在力を十分に発揮していません。
将来的には、イチゴの需要が世界中で増加することが予想されるため、生産能力の伸び悩んでいる地域では技術援助や輸出入政策の見直しが必要となります。例えば、小規模国や発展途上国では、灌漑技術の導入や品種改良を通じて持続可能な生産拡大を図ることが鍵となるでしょう。特にポーランドや韓国の例は、気候条件が厳しい地域における農業発展の成功例として参考にされ得ます。
また、地政学的リスクとして注目すべきは、国際貿易の依存度が高い国々に与える影響です。特に、国際貿易摩擦や関税政策、あるいは自然災害が一国の生産および供給能力に大きな影響を及ぼす可能性があります。このため、貿易協定の整備や地域間協力の強化が重要です。例えば、日本がアジア地域の新興国と協力して、農業技術の共有やマーケットの連携を進めることは、アジア全体の農業の底上げにつながるかもしれません。
結論として、1980年のデータは生産能力の国際的な不均衡を浮き彫りにしていますが、これは逆に各国の強みを活かしつつ、生産効率を向上させる余地がまだまだあることを示しています。食糧安全保障の観点からも、世界的な生産の分布を平準化し、輸出入政策を整えることが必要です。そして、持続可能な農業技術の普及を軸に、気候変動にも適応しながら生産体制を強化していくことが、次世代に向けた課題といえるでしょう。