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ソマリアのヤギ肉生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、ソマリアのヤギ肉生産量は2023年に39,445トンを記録しました。1960年代から緩やかな増加傾向が見られましたが、1990年代に生産量が急激に減少しました。その後は概ね横ばいで推移していますが、近年では若干の増加傾向も観察されています。ただし、全体的な数字は過去ピーク時の1980年代(約56,810トン)を下回る水準となっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 39,445
3.14% ↑
2022年 38,246
0.86% ↑
2021年 37,918
0.19% ↑
2020年 37,844
-0.07% ↓
2019年 37,872
-3.48% ↓
2018年 39,239
0.27% ↑
2017年 39,134
0.9% ↑
2016年 38,786
-0.28% ↓
2015年 38,894
0.27% ↑
2014年 38,790
-2.17% ↓
2013年 39,650 -
2012年 39,650
1.67% ↑
2011年 39,000
1.69% ↑
2010年 38,350
1.72% ↑
2009年 37,700
-0.51% ↓
2008年 37,895
-0.34% ↓
2007年 38,025
-10% ↓
2006年 42,250
8.33% ↑
2005年 39,000
-3.23% ↓
2004年 40,300
1.64% ↑
2003年 39,650
1.67% ↑
2002年 39,000
7.14% ↑
2001年 36,400
12% ↑
2000年 32,500
-13.79% ↓
1999年 37,700
3.57% ↑
1998年 36,400
16.67% ↑
1997年 31,200 -
1996年 31,200
4.35% ↑
1995年 29,900
4.55% ↑
1994年 28,600 -
1993年 28,600 -
1992年 28,600
-33.33% ↓
1991年 42,900
-21.24% ↓
1990年 54,470
-4.12% ↓
1989年 56,810
1.72% ↑
1988年 55,848
2.99% ↑
1987年 54,227
25.91% ↑
1986年 43,069
-4.33% ↓
1985年 45,019
-3.7% ↓
1984年 46,748
4.84% ↑
1983年 44,590
8.44% ↑
1982年 41,119
7.92% ↑
1981年 38,103
-5.69% ↓
1980年 40,404
18.58% ↑
1979年 34,073
8.44% ↑
1978年 31,421
-7.99% ↓
1977年 34,151
-10.22% ↓
1976年 38,038
5.48% ↑
1975年 36,062
4.13% ↑
1974年 34,632
-5.23% ↓
1973年 36,543
-1.26% ↓
1972年 37,011
3.19% ↑
1971年 35,867
-6.38% ↓
1970年 38,311
4.91% ↑
1969年 36,517
-5.29% ↓
1968年 38,558
3.96% ↑
1967年 37,089
1.39% ↑
1966年 36,582
5.39% ↑
1965年 34,710
1.33% ↑
1964年 34,255
2.69% ↑
1963年 33,358
3.05% ↑
1962年 32,370
0.24% ↑
1961年 32,292 -

1961年から提供されたデータを俯瞰すると、ソマリアのヤギ肉生産量は当初、緩やかな増加を続けていました。1970年代後半から1980年代にかけて顕著な成長が見られ、特に1989年には56,810トンと過去最高の生産量に達しました。しかし、1990年代に入ると、急激な減少が発生し1993年までには28,600トンという低水準に落ち込みます。その後の数十年間は、穏やかな回復を見せつつも全体的には横ばいが続き、2023年までおおむね4万トン弱で推移しています。

この生産動態にはいくつかの要因が絡んでいます。まず地政学的背景として、1990年代初頭から始まったソマリア内戦の影響が大きいと考えられます。長期的な内戦や政情不安は、農業や畜産業といった主要産業の発展を著しく妨げました。この混乱期には、農地や放牧地の荒廃とともに、家畜の管理が困難となり、ヤギ肉の供給量が一気に減少したと分析されます。

さらに、ソマリアでは干ばつや洪水といった自然災害も頻発しており、畜産業に対して追加的な課題をもたらしています。このような環境要因により、牧草地が減少したり家畜の数が減少することが、ヤギ肉の生産量に影響を与えます。また、近年では気候変動の影響が顕著となり、ソマリアのような乾燥地帯では自然資源の減少が深刻化する可能性が懸念されます。

国際的な視点から見ると、ヤギ肉生産量の管理や改良は重要な課題と言えます。ソマリアのような農牧中心の経済において、ヤギ肉は国民の重要なタンパク源であり、さらに地域経済にも大きく貢献しています。特に、中東やアフリカ諸国への輸出市場拡大の潜在的な可能性も秘めています。これを促進するためには、畜産業のインフラ整備、家畜の衛生管理、繁殖技術の向上が政策の柱となるでしょう。また、干ばつ対策としてより効率的な灌漑設備の導入や牧草種の改良も求められます。

一方で、近隣諸国との地域的な連携が非常に重要になります。例えば、ケニアやエチオピアとの協力による牧草や水資源の共有化、共通の市場形成による相互利益の構築が、地域経済全体の安定化を促進させます。さらに、国際援助機関による資金提供や技術支援を活用し、持続可能な畜産システムを構築することが可能です。

結論として、ソマリアのヤギ肉生産量は、政治的安定や地域的な協働が進展することで今後の回復・改善が見込まれる分野です。一方で、環境的課題に対応する具体的な政策が不可欠となります。この先、地域的な連携を強化しつつ効率的なインフラ整備と持続可能な農牧業の普及を図ることが、国際社会やソマリア政府にとって急務だと言えるでしょう。