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ソマリアのスイカ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の2024年7月更新のデータによると、ソマリアのスイカ生産量は1980年代にかけて増加し、1990年代前半にはピークを迎えました。しかし、その後急激な減少に転じ、2000年代以降は低迷が続いています。2023年の生産量は6,398トンで、1994年のピーク時の24,000トンから大幅に減少しています。この推移は、社会経済的な課題や地政学的な影響が絡んでいる可能性があります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 6,398
-1.3% ↓
2022年 6,483
1.18% ↑
2021年 6,407
-0.41% ↓
2020年 6,433
-2.65% ↓
2019年 6,608
2.55% ↑
2018年 6,444
-2.66% ↓
2017年 6,620
-2.08% ↓
2016年 6,761
-1.13% ↓
2015年 6,838
1.79% ↑
2014年 6,718
-0.62% ↓
2013年 6,759
-0.38% ↓
2012年 6,785
-0.38% ↓
2011年 6,811
-0.38% ↓
2010年 6,837
-3.35% ↓
2009年 7,075
-21.56% ↓
2008年 9,019
8.66% ↑
2007年 8,300
18.57% ↑
2006年 7,000
-1.07% ↓
2005年 7,076
-9.28% ↓
2004年 7,800
-35% ↓
2003年 12,000
-18.75% ↓
2002年 14,770
0.03% ↑
2001年 14,765
0.3% ↑
2000年 14,721
-22.52% ↓
1999年 19,000
-17.39% ↓
1998年 23,000
-3.65% ↓
1997年 23,871
-0.54% ↓
1996年 24,000
4.35% ↑
1995年 23,000
-4.17% ↓
1994年 24,000
33.33% ↑
1993年 18,000
80% ↑
1992年 10,000
-16.67% ↓
1991年 12,000
-20% ↓
1990年 15,000
15.38% ↑
1989年 13,000
30% ↑
1988年 10,000
-23.08% ↓
1987年 13,000
8.33% ↑
1986年 12,000
20% ↑
1985年 10,000 -
1984年 10,000
25% ↑
1983年 8,000 -

ソマリアのスイカ生産量は、1983年の8,000トンから1990年代前半にかけて着実に増加し、1993年には18,000トン、1994年には24,000トンとピークに達しました。この当時、スイカは国内経済の一部を支える重要な農産物であり、その生産は自給自足型農業の中でも特に注目されていました。しかし、それ以降、大きな減少が見られ、2000年代では生産量が7,000トン程度に落ち込み、この状況は2023年まで続いています。

このような現象の背景には、ソマリア特有の地政学的要因があります。1991年に始まった内戦や政情不安が長期化し、農業インフラの破壊や国内市場の混乱が農産物の生産と流通に大きな打撃を与えました。さらに、干ばつや洪水などの自然災害が周期的に発生し、農業活動の継続が困難な状況に陥りました。これらの要因により、スイカのみならず、他の農産物の生産も軒並み停滞しています。

特に2000年以降、スイカ生産量は6,000トン台に落ち込んでいます。この期間には干ばつが頻発し、水資源へのアクセスが制限されたため、農地の維持が困難となりました。都市部への人口移動や他国への避難も進み、農業従事者の減少が生産性のさらなる低下につながりました。新型コロナウイルスの影響で物流が制限されたことも、2020年以降の停滞に拍車をかけたと考えられます。

一方で、スイカの生産がピークにあった1993年から1995年、近隣国では農産物の需要が拡大しており、国際貿易の可能性が広がっていました。この要因がソマリアの農家に生産拡大のインセンティブを与え、一時的な上昇をもたらしたと分析できます。しかし、その後、持続可能な施策が十分に行われなかったこと、紛争や災害の影響で再び減少へ転じました。

ソマリアの農業を再生し、生産量を増加させるためには、さまざまな対策が必要です。まず、農村部の灌漑インフラを整備し、継続的な水供給を実現することが重要です。これにより、干ばつの影響を緩和することができます。また、農業技術の向上や人材育成に向けた教育プログラムを導入し、現地の農家の生産技術を底上げするべきです。

さらに、地域間協力や国際的支援を活用した農業復興プログラムの導入も鍵となります。たとえば、近隣国や国際機関が協力して、種子や肥料などの農業資材を安定的に供給する仕組みを構築することは、短期的な生産性向上につながるでしょう。また、内戦や政情不安がもたらす地政学的リスクを低減するため、平和構築に向けた取り組みも必要不可欠です。

結論として、ソマリアのスイカ生産量推移は単なる農業データにとどまらず、政情安定、自然環境、住民の生活状況が複雑に絡み合った結果を示しています。この減少傾向を改善するには、インフラ整備や技術導入、政策支援を通じた包括的なアプローチが必要です。ソマリアの農業再建は、同国全体の経済と生活の再生にもつながる可能性があるため、国際社会全体での支援と協力が求められます。