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ソマリアのトウモロコシ生産量推移(1961-2022)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が公開した最新データによると、ソマリアのトウモロコシ生産量は1960年代から大きな変動を見せています。1970年代末から1980年代半ばにかけて急激な増加を記録した一方で、1990年代以降は内戦や気候変動などの要因で大幅な減少が確認されます。2020年以降は生産量が停滞し、現在もわずかな改善が見られるのみです。2022年の生産量は75,000トンで、ピーク時である1988年の353,300トンと比較すると大幅な減少を示しています。

年度 生産量(トン)
2022年 75,000
2021年 75,000
2020年 75,000
2019年 57,000
2018年 102,000
2017年 77,000
2016年 60,000
2015年 116,000
2014年 107,000
2013年 149,497
2012年 145,128
2011年 65,126
2010年 132,627
2009年 128,923
2008年 100,000
2007年 100,000
2006年 100,000
2005年 200,000
2004年 202,470
2003年 268,860
2002年 287,500
2001年 287,500
2000年 265,930
1999年 165,615
1998年 135,665
1997年 133,706
1996年 142,000
1995年 146,000
1994年 150,360
1993年 79,000
1992年 101,000
1991年 100,000
1990年 78,727
1989年 299,100
1988年 353,300
1987年 286,200
1986年 336,200
1985年 280,000
1984年 270,100
1983年 235,700
1982年 149,900
1981年 142,000
1980年 110,000
1979年 108,200
1978年 107,700
1977年 111,300
1976年 107,600
1975年 103,800
1974年 88,800
1973年 81,000
1972年 141,000
1971年 101,000
1970年 108,800
1969年 113,000
1968年 110,000
1967年 115,000
1966年 105,000
1965年 110,000
1964年 110,000
1963年 115,000
1962年 117,000
1961年 120,000

ソマリアのトウモロコシ生産量の推移を見てみると、1960年代から70年代初頭まではおおむね10万トンから12万トンの間で安定していました。しかし、1972年の生産量が141,000トンと増加に転じ、その後、1980年代半ばにかけて急激な伸びを記録しました。特に1986年の336,200トンや1988年の353,300トンといった歴史的な高生産量が目立ちます。この時期は農業の機械化や外部からの技術支援が進んだことが、大きな要因と考えられます。しかし、1990年代に入ると内戦の勃発に伴い、農地の荒廃や労働力の減少が深刻化し、生産量は1990年の78,727トンにまで急落しました。

注目すべきは、2000年以降の生産量が断続的に回復しながらも、20万トンを超える年もわずかであり、1980年代のピーク水準には及んでいないことです。特に2016年の60,000トンや2019年の57,000トンなど、気候変動による干ばつや災害も影響しているとみられます。新型コロナウイルスが拡大した2020年以降は労働力や物流の停滞がさらに影響を及ぼし、生産量は安定しない状況が続いています。

地域的な課題としては、ソマリアの地政学的リスクがトウモロコシ生産に直接影響を及ぼしています。同国は長年にわたり内戦や紛争に苦しみ、農地の管理や利用が不十分な状況であり、これは農業全体の低迷の主要因の一つとされています。また、気候変動による干ばつや洪水のリスクも増大しており、持続可能な農業の推進が困難な状態です。

世界的な視点で見ると、ソマリアのトウモロコシ生産量は依然として他国と比べて非常に低い水準です。例えばアメリカでは2022年に約3.8億トン、中国では2.7億トン、日本はトウモロコシを主に輸入に依存しているため国内生産量は少量ですが、それでも研究開発が進められています。一方で、韓国やインドでは技術革新や輸送ネットワークの整備によって持続可能な農業が成り立っています。これらの国々での成功事例は、ソマリアも参考にすべきと言えます。

ソマリアのトウモロコシ生産量を持続的に向上させるための具体的な対策として、まずは農業のインフラ整備が急務です。例えば、灌漑システムの構築や土壌改良技術の導入は、生産性の大幅な向上に貢献するでしょう。また、国内外からの技術援助や財政支援を確保し、安定した農業基盤を確立するための国際協力も重要です。さらに、気候変動リスクに対応するため、耐干ばつ性の高いトウモロコシ品種の開発や普及も推進すべきです。そして、農民に対する教育プログラムを提供し、持続可能な農業技術の普及を図るべきでしょう。

このように、ソマリアにおけるトウモロコシ生産の復興には多角的なアプローチが求められます。政府だけでなく国際機関や地域社会も協力し、長期的な目標を持った持続可能な農業の実現が必要です。これは単にトウモロコシに限らず、ソマリア全体の食料安全保障の改善にも寄与することになるでしょう。