Food and Agriculture Organization(国連食糧農業機関)が発表した最新データによると、ソマリアにおけるレモン・ライムの生産量は、1961年の1200トンから2023年の16,305トンまで増加しています。生産量は長期的に上昇傾向を見せる一方で、1991年や2012年に大きく減少する年も観測されています。また、2017年の20,000トンをピークに減少した後、2020年以降は16,000トン前後で安定している状況が窺えます。
ソマリアのレモン・ライム生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 16,305 |
-0.03% ↓
|
2022年 | 16,310 |
2.2% ↑
|
2021年 | 15,958 |
-5.96% ↓
|
2020年 | 16,969 |
6.04% ↑
|
2019年 | 16,002 |
7.37% ↑
|
2018年 | 14,903 |
-25.48% ↓
|
2017年 | 20,000 |
52.63% ↑
|
2016年 | 13,103 |
12.9% ↑
|
2015年 | 11,606 |
16.07% ↑
|
2014年 | 10,000 |
33.33% ↑
|
2013年 | 7,500 | - |
2012年 | 7,500 |
-4.95% ↓
|
2011年 | 7,891 |
-0.59% ↓
|
2010年 | 7,937 |
-0.62% ↓
|
2009年 | 7,987 |
-0.62% ↓
|
2008年 | 8,036 |
-0.75% ↓
|
2007年 | 8,097 |
-2.44% ↓
|
2006年 | 8,300 |
2.29% ↑
|
2005年 | 8,114 |
-3.41% ↓
|
2004年 | 8,400 |
1.2% ↑
|
2003年 | 8,300 |
1.22% ↑
|
2002年 | 8,200 |
5.13% ↑
|
2001年 | 7,800 |
8.33% ↑
|
2000年 | 7,200 |
8.96% ↑
|
1999年 | 6,608 |
6.45% ↑
|
1998年 | 6,207 |
3.46% ↑
|
1997年 | 6,000 |
19.17% ↑
|
1996年 | 5,035 |
22.8% ↑
|
1995年 | 4,100 |
49.09% ↑
|
1994年 | 2,750 |
10% ↑
|
1993年 | 2,500 |
38.89% ↑
|
1992年 | 1,800 |
-60% ↓
|
1991年 | 4,500 |
-44.06% ↓
|
1990年 | 8,045 |
14.93% ↑
|
1989年 | 7,000 | - |
1988年 | 7,000 |
4.48% ↑
|
1987年 | 6,700 |
131.03% ↑
|
1986年 | 2,900 |
20.83% ↑
|
1985年 | 2,400 |
4.35% ↑
|
1984年 | 2,300 |
4.55% ↑
|
1983年 | 2,200 |
10% ↑
|
1982年 | 2,000 | - |
1981年 | 2,000 | - |
1980年 | 2,000 |
5.26% ↑
|
1979年 | 1,900 | - |
1978年 | 1,900 | - |
1977年 | 1,900 |
5.56% ↑
|
1976年 | 1,800 | - |
1975年 | 1,800 |
5.88% ↑
|
1974年 | 1,700 | - |
1973年 | 1,700 | - |
1972年 | 1,700 |
6.25% ↑
|
1971年 | 1,600 | - |
1970年 | 1,600 |
6.67% ↑
|
1969年 | 1,500 | - |
1968年 | 1,500 | - |
1967年 | 1,500 |
7.14% ↑
|
1966年 | 1,400 | - |
1965年 | 1,400 |
7.69% ↑
|
1964年 | 1,300 | - |
1963年 | 1,300 |
8.33% ↑
|
1962年 | 1,200 | - |
1961年 | 1,200 | - |
ソマリアのレモン・ライム生産量の推移は、同地域の経済や社会的要因、さらには地政学的リスクに多分に影響を受けた結果を如実に表しています。まず、1961年から1988年頃までは、徐々に生産量を増やし、安定した成長を見せていました。特に1987年からの急激な伸びは、農業技術向上や、地域内外での需要拡大が影響したと考えられます。しかし1991年における内戦の勃発により、生産量は一気に半分以下の4500トンとなり、その後も1992年にはさらに低い1800トンまで落ち込みました。これは紛争が農業インフラを直接的に破壊し、農業従事者が生産活動を断念せざるを得なかった状況を示しています。
1990年代後半から2000年代にかけては、生産量の回復が見られ、特に2000年以降は着実に生産が増加しました。これには地域の安定化や国際的な農業支援プログラムの影響があると考えられます。一方で、2011年頃から2013年の7,500トン付近への減少は、間欠的な干ばつや気候変動の影響が関与した可能性があります。この地域では、降雨量に依存する農業が依然として支配的であり、気象条件の変化が大きな影響を及ぼしていると言えます。
特筆すべきは、2017年の20,000トンの記録的な生産量です。この年は国内外で需要が高まる一方で、輸出拡大を含む市場開拓が功を奏し、農業支援策が一時的に効果を上げたと考えられます。ただし、その後の減少は持続可能性を欠いた生産拡大政策や、気候や経済の変動がゆえに一過性のピークとなったことを示唆しています。
最近数年間、2020年以降のレモン・ライム生産量は16,000トン台で横ばいの状況となっており、安定化が見られます。しかし、この安定にもかかわらず、ソマリアの農業が抱える課題は依然として深刻です。一つには、気候変動や長期間にわたる干ばつへの脆弱性が挙げられます。また、国としての輸送インフラが整備されていないことから、内陸部から港湾地域への作物輸送が非効率であり、輸出のポテンシャルを十分に活用しきれていない点も課題とされています。
これらの課題に対する解決策として、いくつか具体的な取り組みが提案されます。その一つとして、灌漑システムの導入をさらに進め、水資源管理をより効率的に行うことが重要です。また、農業従事者に対する気象情報の提供や、災害対策の強化も必要不可欠です。加えて、国内輸送網のインフラ整備や輸出市場の多様化も、長期的な成長を支える鍵となります。たとえば、アジア諸国や中東市場への輸出拡大を図る努力が求められます。
さらに、国際社会としてもソマリアの農業により継続的な支援を行うことが重要です。地域の安定や農業支援プログラムの展開により、輸出収益を増加させ、持続可能な発展への道筋をつけることが期待されています。
結論として、過去の推移データからは、ソマリアのレモン・ライム生産は外部環境に大きく依存していることが明らかです。これに対応するためには、地域政府と国際機関が協力し、上記の具体的な対策を講じることで、同国の農業セクターを安定的かつ将来志向のものとする必要があります。