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ソマリアの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、ソマリアの牛乳生産量は1961年から2023年にかけて一貫して変動を繰り返しつつ、総じて上昇傾向を示しています。特に1970年代後半の伸びが顕著で、1978年には459,826トンに達しました。一方で、1990年代初頭に急落し、その後も不安定な状況が続いています。近年のデータを見ると、2020年以降は生産量が減少傾向に転じ、2023年の生産量は438,198トンに留まりました。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 438,198
0.34% ↑
2022年 436,702
-1.98% ↓
2021年 445,518
-2.37% ↓
2020年 456,341
0.33% ↑
2019年 454,851
0.24% ↑
2018年 453,773
5.53% ↑
2017年 430,000
-4.44% ↓
2016年 450,000
-2.08% ↓
2015年 459,537
-6.22% ↓
2014年 490,000
1.66% ↑
2013年 482,000
0.42% ↑
2012年 480,000
1.05% ↑
2011年 475,000
3.26% ↑
2010年 460,000
2.22% ↑
2009年 450,012
-0.26% ↓
2008年 451,193
0.27% ↑
2007年 450,000
3.06% ↑
2006年 436,640
-2.92% ↓
2005年 449,760
0.84% ↑
2004年 446,000
2.14% ↑
2003年 436,640
1.31% ↑
2002年 431,000
2.13% ↑
2001年 422,000
-1.86% ↓
2000年 430,000
-4.44% ↓
1999年 450,000
-11.76% ↓
1998年 510,000
-3.77% ↓
1997年 530,000
-1.85% ↓
1996年 540,000
5.59% ↑
1995年 511,390
-7.02% ↓
1994年 550,000
22.22% ↑
1993年 450,000
32.35% ↑
1992年 340,000
-4.23% ↓
1991年 355,000
-14.46% ↓
1990年 415,000
-17.82% ↓
1989年 505,000
-3.39% ↓
1988年 522,717
7.79% ↑
1987年 484,924
-0.14% ↓
1986年 485,601
3.06% ↑
1985年 471,167
3.39% ↑
1984年 455,702
-3.07% ↓
1983年 470,136
-2.98% ↓
1982年 484,570
2.4% ↑
1981年 473,229
-0.22% ↓
1980年 474,260
-1.92% ↓
1979年 483,539
5.16% ↑
1978年 459,826
11.78% ↑
1977年 411,369
9.41% ↑
1976年 376,000
7.43% ↑
1975年 350,000
10.06% ↑
1974年 318,000
-4.5% ↓
1973年 333,000
-6.46% ↓
1972年 356,000
1.42% ↑
1971年 351,000
-1.4% ↓
1970年 356,000
4.09% ↑
1969年 342,000
4.27% ↑
1968年 328,000
8.61% ↑
1967年 302,000
7.09% ↑
1966年 282,000
1.81% ↑
1965年 277,000
1.47% ↑
1964年 273,000
1.49% ↑
1963年 269,000
1.51% ↑
1962年 265,000
1.92% ↑
1961年 260,000 -

ソマリアの牛乳生産量データは、同国の食糧生産および農業経済の全体像を理解する上で重要な指標となります。このデータが持つ背景には、地理的条件、社会的要因、政治的混乱が大きく関与しています。

1960年代から1970年代にかけて、ソマリアの畜産業全般は比較的安定しており、この時期は牛乳生産量も緩やかな上昇を見せました。特に乾燥した気候下でも存続可能な牧畜文化が地域経済を下支えしていました。しかし、1970年代後半以降、かつてないほどの生産量の急増が見られ、1978年にはほぼ460,000トンに達しました。この成長には、技術革新や地域農業の支援政策が関与していたと考えられます。

1980年代は比較的高い生産量を維持していましたが、1990年代に入ると状況は一変しました。この時期、国内で続発する紛争や政治的不安定が農業全体に悪影響を及ぼし、1991年には355,000トンと急落しました。この現象は、社会インフラが破壊され、生産活動が制限されたことを示唆しています。1994年頃には一時的に回復し、550,000トンという記録的な生産量を達成していますが、その後再び低下し、長期間にわたり不安定な状態が続きました。

2000年代以降の牛乳生産量は概ね40-45万トンで推移していますが、2020年代に入って再び減少傾向が顕在化し、2023年には438,198トンに留まりました。その背景には、気候変動による干ばつや洪水などの自然災害、農業基盤の脆弱性、内政の不安定性が挙げられます。これらの要因は、牧畜に依存する地域住民にとって深刻な脅威をもたらしています。

一方で、国際市場における乳製品の需要増大や、牛乳の健康上の重要性が世界的に認識される中、ソマリアはその潜在的な供給国としての地位を築く機会があるとも言えます。これを実現するためには、まず持続可能な農業システムを確立し、地元農家や牧畜業者への技術支援と資金提供を強化することが求められます。また、政策的には、食糧安全を保障するためのインフラ整備や、災害時の迅速な支援体制確立が必要です。

地政学的な観点からも、ソマリアは長年続く内戦やテロの脅威によって農業活動が制限されている地域です。さらに、気候変動による環境変化がこれまで以上に影響を及ぼすことが予測されています。そのため、地域協力の枠組みを通じた気候変動対策の進展が急務です。

今後、持続的な牛乳生産量の増加を実現するには、技術革新を導入しながら効率的な牧畜管理を目指す必要があります。また、災害に強い生産基盤づくりを推進するための国際的な資金援助や技術支援の強化が求められます。これに加え、ソマリア国内の平和および安定の実現が牛乳生産の安定化に不可欠な要素であることは言うまでもありません。