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ニカラグアの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に発表した最新データによると、ニカラグアの牛乳生産量は1961年の224,320トンから長期的に増加し、2022年にはピークの1,436,684トンに達しました。しかし2023年にはやや減少し、1,372,911トンという数字が出ています。データを分析すると、1970年代末から1980年代にかけて政治的・社会的要因による大幅な減少が見られる一方、1990年代後半以降は急激な成長を遂げています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,372,911
-4.44% ↓
2022年 1,436,684
0.46% ↑
2021年 1,430,039
2.17% ↑
2020年 1,399,699
6.22% ↑
2019年 1,317,757
0.48% ↑
2018年 1,311,476
6.62% ↑
2017年 1,230,000
4.59% ↑
2016年 1,176,000
12.97% ↑
2015年 1,041,000
4.83% ↑
2014年 993,000
5.64% ↑
2013年 940,000
9.05% ↑
2012年 862,000
13.42% ↑
2011年 760,000
0.89% ↑
2010年 753,281
0.73% ↑
2009年 747,809
4.02% ↑
2008年 718,882
4.02% ↑
2007年 691,127
4% ↑
2006年 664,545
8.21% ↑
2005年 614,118
4.59% ↑
2004年 587,145
2.74% ↑
2003年 571,509
5.03% ↑
2002年 544,145
-3.6% ↓
2001年 564,476
0.8% ↑
2000年 560,000
12% ↑
1999年 500,000
129.22% ↑
1998年 218,127
4.3% ↑
1997年 209,136
7% ↑
1996年 195,455
4.17% ↑
1995年 187,636
0.21% ↑
1994年 187,242
1.91% ↑
1993年 183,727
7.44% ↑
1992年 171,000
3.64% ↑
1991年 165,000
4.48% ↑
1990年 157,920
-3.23% ↓
1989年 163,184
1.36% ↑
1988年 161,000
-9.55% ↓
1987年 178,000
-1.11% ↓
1986年 180,000
9.09% ↑
1985年 165,000
5.77% ↑
1984年 156,000
45.79% ↑
1983年 107,000
-26.71% ↓
1982年 146,000
-3.95% ↓
1981年 152,000
-7.86% ↓
1980年 164,960
-57.3% ↓
1979年 386,330
-16.95% ↓
1978年 465,160
0.59% ↑
1977年 462,430
0.19% ↑
1976年 461,540
3.44% ↑
1975年 446,210
7.58% ↑
1974年 414,780
7.64% ↑
1973年 385,340
3.73% ↑
1972年 371,480
3.78% ↑
1971年 357,950
-7.89% ↓
1970年 388,600
9.71% ↑
1969年 354,200
11.78% ↑
1968年 316,880
9.91% ↑
1967年 288,320
2.55% ↑
1966年 281,150
1.8% ↑
1965年 276,170
10.97% ↑
1964年 248,860
2.63% ↑
1963年 242,480
4.65% ↑
1962年 231,710
3.29% ↑
1961年 224,320 -

ニカラグアにおける牛乳生産量の推移を解析すると、この国の農業および政治・社会状況の変化が生産量に大きな影響を及ぼしてきたことが明らかです。1960年代から1970年代前半にかけては穏やかな増加が見られ、特に1968年から1975年にかけては約140,000トンの増加が記録されています。しかし、1979年に社会政治的な転換期を迎えると、1980年代初頭から牛乳生産量が急激に減少しています。例えば、1980年の164,960トンから1983年の107,000トンまで減少した時期は、内戦や経済停滞が背景にあります。この社会的不安定は農業・牧畜産業に深刻な打撃を与えたと考えられます。

1990年代以降、和平や経済自由化の進展に伴い、ニカラグアの牛乳生産は徐々に回復し始め、1999年には500,000トン、2007年には691,127トンと大きく増加しました。また、2000年代後半からの技術革新、インフラ改善、輸出市場の拡大がその背景にあることは明らかです。特に2012年以降、生産量は加速度的に増加しており、2018年には1,311,476トン、2022年には史上最高の1,436,684トンに到達しました。この成功は、内需拡大とともに地域および国際市場でのニカラグア産乳製品の競争力強化が寄与していると考えられます。

しかし、2023年に約64,000トンの減少が見られる点にも注目する必要があります。この原因は、気候変動に由来する干ばつや異常気象の影響、水資源不足、さらに物価高騰による生産コスト増加など、複合的な要因が考えられます。近年、世界的な気候変動により洪水や干ばつなどの自然災害が牧畜業にも悪影響を与えているという点は、日本やアメリカなど他の国々でも共通しています。

地政学的背景として、ニカラグアは中南米地域に位置する政治的・経済的な不安定性の一部に属しています。この地域では輸出用農産物の競争が激化しており、隣国コスタリカやホンジュラスと乳製品市場での優位性を争わなければなりません。さらに、輸入原材料コストの上昇や国際貿易ルールの変化は、国内産業に直接影響を及ぼす可能性があります。

未来に向けた課題として、これまでの増加傾向を維持しつつ環境への負荷を抑えることが重要です。具体的には、干ばつ耐性のある牧草品種の導入、水資源の効率的な利用、酪農業のデジタル化や持続可能な生産技術の普及が求められます。また、政府と民間セクターが協力し、小規模酪農家向けの支援プログラムを拡充することで、産業全体の競争力を高めることができます。

結論として、ニカラグアの牛乳生産は過去数十年にわたる困難を克服し、現在では堅実な成長基盤を築いています。ただし、気候変動や世界経済の影響を考慮し、持続可能で環境に配慮した生産システムを構築することが急務です。これにより、国内需要の安定供給のみならず、国際市場でのさらなる競争力強化が期待されます。これらを実現するには、政策支援と科学技術の導入が不可欠です。