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ニカラグアのトウモロコシ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)による最新データによれば、ニカラグアのトウモロコシ生産量は、1961年の140,200トンから2022年の380,992トンへ大幅に増加しているものの、その推移には不安定な変動が見られます。特に1972年や1980年代、2015年以降の数年間は生産量が減少傾向を示しました。一方で、2000年代初期から中盤にかけては一時的に急成長を見せ、2003年には588,599トンというピークを記録しました。しかし、近年(2020年以降)はやや生産量が落ち着いています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 355,856
-6.6% ↓
2022年 380,992
1.4% ↑
2021年 375,726
1.23% ↑
2020年 371,148
-7.25% ↓
2019年 400,146
1.25% ↑
2018年 395,223
-3.23% ↓
2017年 408,415
-0.54% ↓
2016年 410,622
40.92% ↑
2015年 291,383
-19.17% ↓
2014年 360,503
-26.94% ↓
2013年 493,449
6.05% ↑
2012年 465,293
-7.69% ↓
2011年 504,079
10.31% ↑
2010年 456,974
-12.46% ↓
2009年 522,024
23.15% ↑
2008年 423,881
-12.9% ↓
2007年 486,672
-3.03% ↓
2006年 501,890
-9.67% ↓
2005年 555,595
25.21% ↑
2004年 443,730
-24.61% ↓
2003年 588,599
17.85% ↑
2002年 499,455
18.96% ↑
2001年 419,863
1.86% ↑
2000年 412,195
41.76% ↑
1999年 290,777
-3.23% ↓
1998年 300,469
13.78% ↑
1997年 264,068
-18.21% ↓
1996年 322,877
-2.41% ↓
1995年 330,845
37.1% ↑
1994年 241,310
-15.14% ↓
1993年 284,364
12.84% ↑
1992年 252,000
26.7% ↑
1991年 198,900
-32.12% ↓
1990年 293,030
-3.07% ↓
1989年 302,310
6.67% ↑
1988年 283,400
30.98% ↑
1987年 216,365
12.46% ↑
1986年 192,396
-7.41% ↓
1985年 207,800
1.43% ↑
1984年 204,869
25.37% ↑
1983年 163,411
-14.22% ↓
1982年 190,495
-1.38% ↓
1981年 193,154
6.36% ↑
1980年 181,605
5.16% ↑
1979年 172,700
-32.05% ↓
1978年 254,150
40.16% ↑
1977年 181,330
-9.82% ↓
1976年 201,080
4.67% ↑
1975年 192,105
-5.39% ↓
1974年 203,044
6.2% ↑
1973年 191,190
46.17% ↑
1972年 130,800
-46.11% ↓
1971年 242,700
2.75% ↑
1970年 236,200
1.07% ↑
1969年 233,700
8.24% ↑
1968年 215,900
6.72% ↑
1967年 202,300
14.94% ↑
1966年 176,000
2.74% ↑
1965年 171,300
8.35% ↑
1964年 158,100
11.04% ↑
1963年 142,378
-5.02% ↓
1962年 149,900
6.92% ↑
1961年 140,200 -

ニカラグアのトウモロコシ生産量の推移を見ると、長期的には確実に増加しています。しかし、特定の期間において停滞や衰退も見られ、生産量の変動は農業や社会の状況による影響を強く受けていることが分かります。トウモロコシはニカラグアの国民食ともいえる主食を下支えする重要な作物であり、その生産動向は国内の食料安全保障や経済、さらには農村地域の生活に直結します。

1961年から1970年代にかけては、緩やかな増加傾向が続きましたが、1972年に大幅な生産量減少が観察されました。この時期には大きな自然災害や経済的混乱が産出量に影響を与えた可能性が高いと考えられます。その後1980年代においても波のある生産量の変化があり、この頃の国内紛争や政情不安が影響したことが要因として推測されます。また、革新的な農業技術や施策がまだ広く浸透していないこともその背景にあると言えます。

2000年代に入ると、生産量が急増しました。その背景には、農業技術の進歩やインフラの整備、さらには政府の農業振興政策が大きく寄与したと見られます。特に2003年の588,599トンは過去のピークとして特筆される数値であり、この時期の気候条件が良好であったことや、農地の拡大などが重なった結果と推察されます。しかし、その後2008年からは生産量の伸びが停滞し始め、リーマンショックの影響による農業投資の縮小や、気候変動による異常気象が影響を与えた可能性があります。また、2014年以降では再び下降傾向が見られ、特に2015年には291,383トンと、大幅に生産量が落ち込む年がありました。この時期、エルニーニョ現象による干ばつや過剰雨量など、気候変動の影響が収量低下の主な要因であったと考えられます。

近年(2020年以降)のデータでは、生産量がやや低迷していることが確認できます。この時期は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、労働力や物流が制限を受けたこと、それに伴い農業生産プロセスに支障が生じたことが影響している可能性があります。また、気候変動の進行による環境条件の悪化も引き続き大きな課題です。

今後の課題としては、第一に気候変動への適応策を全領域で強化する必要があります。ニカラグアでは灌漑技術の向上や乾燥地にも適した種子の導入、農地の多様性を高める農業手法が求められます。地域間協力による気候情報の共有や、国際的な技術支援を受けることで、小規模農家がこうした変化に対応できる仕組みを作ることが重要です。第二に、生産過程でのサプライチェーンの強化にも注力するべきです。特に、輸送の早期整備や貯蔵施設の改善は、災害時にも食料供給が途絶えない持続可能な運営に貢献する要素です。

国際機関や隣国との連携も重要であり、たとえば中米統合機構(SICA)を活用して食料安定供給の枠組みを強化する取り組みが効果的です。また、トウモロコシは輸出市場でも可能性を秘めていますが、販路開拓を行うにあたっては品質や持続可能性を保証する仕組みが欠かせません。

結論としてニカラグアにおいてトウモロコシは、単なる農作物としてだけでなく社会経済的な基盤ともいうべき重要な資源です。新しい気候や市場環境に順応するため、技術導入と地域協力を促進し、中長期的には食料安全保障と経済の両方を向上させる取り組みが求められます。これらの課題に対処することで、安定したトウモロコシの生産が維持され、国民全体に利益が還元される未来が期待できます。