Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、ニカラグアの落花生生産量は1961年の100トンから2023年の206,868トンへと大きく増加しています。特に1970年代から1980年にかけて急速な拡大を見せる一方、1980年代初頭に大きな減少がみられ、その後1990年代半ばから安定的な成長が続いています。しかし、近年は年間の変動が見られるものの、2022年には過去最多の222,240トンに到達しました。この動向から、ニカラグアの落花生生産は波を伴いつつも長期的には成長を示しています。
ニカラグアの落花生生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 206,868 |
-6.92% ↓
|
2022年 | 222,240 |
8.89% ↑
|
2021年 | 204,097 |
11.09% ↑
|
2020年 | 183,728 |
18.64% ↑
|
2019年 | 154,858 |
-20.48% ↓
|
2018年 | 194,738 |
-4.11% ↓
|
2017年 | 203,085 |
8.97% ↑
|
2016年 | 186,374 |
8.47% ↑
|
2015年 | 171,822 |
0.7% ↑
|
2014年 | 170,629 |
-9.77% ↓
|
2013年 | 189,111 |
-5.44% ↓
|
2012年 | 200,000 |
8.53% ↑
|
2011年 | 184,285 |
2.24% ↑
|
2010年 | 180,250 |
7.69% ↑
|
2009年 | 167,371 |
-15.87% ↓
|
2008年 | 198,951 |
26.92% ↑
|
2007年 | 156,750 |
7.62% ↑
|
2006年 | 145,654 |
-16.06% ↓
|
2005年 | 173,523 |
16.38% ↑
|
2004年 | 149,097 |
11.19% ↑
|
2003年 | 134,091 |
55.5% ↑
|
2002年 | 86,234 |
-14.46% ↓
|
2001年 | 100,806 |
3.92% ↑
|
2000年 | 97,004 |
-0.42% ↓
|
1999年 | 97,416 |
123.1% ↑
|
1998年 | 43,664 |
16.05% ↑
|
1997年 | 37,625 |
-5.35% ↓
|
1996年 | 39,750 |
68.47% ↑
|
1995年 | 23,595 |
-57.99% ↓
|
1994年 | 56,164 |
177.16% ↑
|
1993年 | 20,264 |
109.77% ↑
|
1992年 | 9,660 |
-15.32% ↓
|
1991年 | 11,408 |
-4.62% ↓
|
1990年 | 11,960 |
240.74% ↑
|
1989年 | 3,510 |
118.01% ↑
|
1988年 | 1,610 |
-19.5% ↓
|
1987年 | 2,000 | - |
1986年 | 2,000 | - |
1985年 | 2,000 |
2.51% ↑
|
1984年 | 1,951 |
-72.13% ↓
|
1983年 | 7,000 |
-38.79% ↓
|
1982年 | 11,436 |
-55.69% ↓
|
1981年 | 25,810 |
17.05% ↑
|
1980年 | 22,050 |
53.04% ↑
|
1979年 | 14,408 |
39.38% ↑
|
1978年 | 10,337 |
32.7% ↑
|
1977年 | 7,790 |
2.91% ↑
|
1976年 | 7,570 |
2.88% ↑
|
1975年 | 7,358 |
13.2% ↑
|
1974年 | 6,500 |
8.33% ↑
|
1973年 | 6,000 |
17.65% ↑
|
1972年 | 5,100 |
240% ↑
|
1971年 | 1,500 |
150% ↑
|
1970年 | 600 |
50% ↑
|
1969年 | 400 |
33.33% ↑
|
1968年 | 300 |
50% ↑
|
1967年 | 200 | - |
1966年 | 200 | - |
1965年 | 200 | - |
1964年 | 200 |
100% ↑
|
1963年 | 100 | - |
1962年 | 100 | - |
1961年 | 100 | - |
ニカラグアの落花生生産量は、1960年代初頭には年100トンと非常に小規模でしたが、1970年代には大幅な増加が見られます。この急激な成長は、輸出産業への依存を高める政府の経済政策や、農業技術の進展が背景にあると考えられます。特に1970年から1980年にかけて生産量が約37倍に拡大し、1980年には22,050トンに達しました。一方、その後の1980年代には社会的不安や政治的混乱、さらにはインフラの破壊といった要因が影響し、1984年には生産量が再び1,951トンにまで後退しています。
1980年代後半から1990年代初頭にかけて、平和的な体制の復帰により農業の復興が進みます。この時期には徐々に生産量が増え始め、2000年以降では世界の需要拡大に伴う輸出環境の強化や、農地および灌漑技術の改善によって持続的な成長が確認されています。特筆すべき点は、1999年に97,416トンを記録して以降、生産量が10万トン以上を維持し、さらに2010年以降では20万トン近くの生産量を安定して達成している点です。このような安定した基調は、輸出市場の拡大、農地の効率的利用、労働環境の改善が寄与していると考えられます。
近年、2022年には過去最多となる222,240トンを記録しましたが、2023年には206,868トンとやや減少しました。この背景には、世界的な経済の不安定さ、気候変動による天候リスク、さらには物流コストの増加が影響している可能性があります。特に気候変動の影響は、農業国であるニカラグアにとって深刻な課題です。年ごとの生産量の変動が気候条件に左右され、収穫期における干ばつや洪水が収穫量を直撃することも懸念されています。
地政学的背景を考慮すると、ニカラグアが中米地域における落花生の主要な輸出国であるという事実は、地域の安定や国際市場の供給にとって重要です。他国との農業技術交流や貿易協定の強化は、持続可能な成長を支えるために不可欠です。また、新型コロナウイルスのパンデミックは一時的にサプライチェーンを混乱させたものの、2021年以降は回復基調に転じています。ただし再び同様の疫病や国際的危機が発生する場合、輸出依存型のニカラグア経済にとって再びリスクとなる可能性があります。
今後は、灌漑技術の更なる改良や高収量品種の導入を進めることで、生産の安定化と拡大が可能となるでしょう。また、気候変動への対応として、耐干ばつ性が高い品種の研究開発や資源投入も必要です。さらに、地域ごとに異なる気象条件や農地特性を活かした差別化戦略も一つの手段です。最後に、国内外での農業ビジネスを強化し、国際競争力を高めつつ地域経済の持続的発展を図ることが求められます。
総じて、ニカラグアの落花生生産量は長期的成長を実現していますが、気候リスクや国際市場への過大な依存といった課題への対応が鍵となります。政府ならびに国際機関が主体となり、環境負荷にも配慮した農業政策を推進していくことが望まれます。