最新の国際連合食糧農業機関(FAO)が提供するデータによると、ニカラグアにおけるサトイモの生産量は、1990年から2009年まで穏やかな増加基調で推移していました。しかしながら、2010年以降、極端な生産量の変動が見られ、最盛期には104,326トンを記録したものの、2018年には12,928トンまで激減しました。2020年以降も減少傾向が続いており、2022年の生産量は28,308トンに留まっています。この変動は、自然災害や社会経済的要因による影響が推察され、今後の持続可能な農業政策が必要とされる状況です。
ニカラグアのサトイモ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 12,942 |
-54.28% ↓
|
2022年 | 28,308 |
-5.41% ↓
|
2021年 | 29,926 |
-2.32% ↓
|
2020年 | 30,638 |
145.4% ↑
|
2019年 | 12,485 |
-3.43% ↓
|
2018年 | 12,928 |
-69.63% ↓
|
2017年 | 42,566 |
-11.16% ↓
|
2016年 | 47,913 |
-54.07% ↓
|
2015年 | 104,326 |
30.86% ↑
|
2014年 | 79,721 |
-2.4% ↓
|
2013年 | 81,681 |
16.71% ↑
|
2012年 | 69,986 |
162.38% ↑
|
2011年 | 26,674 |
-19.54% ↓
|
2010年 | 33,153 |
-43.19% ↓
|
2009年 | 58,355 |
-0.43% ↓
|
2008年 | 58,608 |
0.95% ↑
|
2007年 | 58,058 |
0.96% ↑
|
2006年 | 57,509 |
0.96% ↑
|
2005年 | 56,959 |
0.97% ↑
|
2004年 | 56,410 |
0.98% ↑
|
2003年 | 55,860 |
0.99% ↑
|
2002年 | 55,311 |
1% ↑
|
2001年 | 54,761 |
1.01% ↑
|
2000年 | 54,212 |
1.02% ↑
|
1999年 | 53,663 |
1.03% ↑
|
1998年 | 53,113 |
1.05% ↑
|
1997年 | 52,564 |
1.06% ↑
|
1996年 | 52,014 |
1.07% ↑
|
1995年 | 51,465 |
1.08% ↑
|
1994年 | 50,915 |
1.09% ↑
|
1993年 | 50,366 |
1.1% ↑
|
1992年 | 49,816 |
1.12% ↑
|
1991年 | 49,267 |
1.13% ↑
|
1990年 | 48,717 | - |
ニカラグアのサトイモ生産量は、データから見ると、1990年代から2009年にかけて毎年約500トン前後の安定した増加を記録していました。この時期の生産伸びは、農業技術の改善や農業従事者による適切な管理が寄与していると考えられます。しかし、2010年から急激な変化が見られ、33,153トンまで減少、その後も乱高下を繰り返し、2018年にはわずか12,928トンという低迷した記録となっています。この後、若干の回復を見せますが、2022年の28,308トンという数値は、歴史的生産量に比べ依然として低水準にあります。
生産量の大きな変動には、いくつかの原因が考えられます。一つは自然災害の影響です。ニカラグアはハリケーンや洪水などの自然災害が頻発する地域に位置しており、これらの災害は農地やインフラに大きな打撃を与えます。また、2010年代以降の気候変動による降雨パターンの変化や、気温上昇による農作物の生育条件の悪化も一因である可能性があります。
さらに社会経済的な背景も見逃せません。例えば、農業政策の不備や資金不足により、十分な技術指導や資材の供給が行き届かなくなったことが推測されます。また、2018年の生産落ち込みは、同年の政情不安が農業活動に与えた影響も関連していると考えられます。地政学的リスクが農業経済に及ぼす影響は決して軽視できない問題です。
直近データの2020年以降を見ても、生産量は大きな回復を見せることなく伸び悩んでいます。これはコロナ禍によって農業従事者の移動制限や市場流通の停滞が影響している可能性があります。
このような現況を受け、ニカラグアのサトイモ生産に対していくつかの具体的な対策が提案されます。第一に、気候変動適応型の農業技術の導入が不可欠です。耐乾性や耐病性の作物品種の導入や、土壌改良を進めることで、生育条件が不利な状況でも安定した収穫を目指すべきです。次に、農家への技術指導と資金援助を強化することで、生産基盤を再構築する必要があります。さらに、地域協力の枠組みを活用し、近隣諸国との経験共有や資源の効率的管理を進めることも有益と考えます。
新たな災害リスクや紛争の影響に備え、農業災害保険の導入も検討されるべきでしょう。これにより、農家がリスクを適切に軽減できる環境が整えば、長期的な持続可能性を確保することができます。このように、農業政策の改善と具体的な支援策の実施が、ニカラグアのサトイモ生産量の回復と安定に向けた鍵となるでしょう。
結論として、ニカラグアのサトイモ生産量は過去の安定期から現在の変動期を経て、持続可能な農業の再構築が求められています。これには、政府の支援だけでなく国際機関や近隣国との協働が不可欠です。効率的で包摂的な政策が実現すれば、ニカラグアの農業経済全体の向上が期待できます。