Skip to main content

ネパールの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ネパールの牛乳生産量は1961年の164,000トンから2023年には1,214,046トンに達し、62年間で7倍以上の増加を記録しました。特に2015年以降、急速な成長が見られ、2020年から2023年の間だけでも約30%という大幅な増加が確認されます。これにより、ネパールは南アジア地域内でも注目すべき牛乳生産国の一つへと成長しました。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,214,046
10.19% ↑
2022年 1,101,812
3.9% ↑
2021年 1,060,487
15.22% ↑
2020年 920,400
15.7% ↑
2019年 795,530
5.49% ↑
2018年 754,126
13.35% ↑
2017年 665,285
3.34% ↑
2016年 643,806
15.45% ↑
2015年 557,669
4.77% ↑
2014年 532,300
8.11% ↑
2013年 492,379
5% ↑
2012年 468,913
4.86% ↑
2011年 447,185
4.23% ↑
2010年 429,030
3.65% ↑
2009年 413,919
3.23% ↑
2008年 400,950
2.08% ↑
2007年 392,791
1.95% ↑
2006年 385,290
1.49% ↑
2005年 379,637
3.01% ↑
2004年 368,531
1.93% ↑
2003年 361,555
2.69% ↑
2002年 352,090
2.73% ↑
2001年 342,738
1.57% ↑
2000年 337,455
2.59% ↑
1999年 328,920
3.21% ↑
1998年 318,680
2.74% ↑
1997年 310,183
4.57% ↑
1996年 296,620
2.7% ↑
1995年 288,822
3.87% ↑
1994年 278,065
6.63% ↑
1993年 260,786
0.6% ↑
1992年 259,230
1.1% ↑
1991年 256,398
0.33% ↑
1990年 255,543
4.78% ↑
1989年 243,879
5.02% ↑
1988年 232,219
5.28% ↑
1987年 220,568
0.35% ↑
1986年 219,792
0.27% ↑
1985年 219,192
4.38% ↑
1984年 210,000
2.44% ↑
1983年 205,000
2.5% ↑
1982年 200,000
2.56% ↑
1981年 195,000
2.63% ↑
1980年 190,000
2.15% ↑
1979年 186,000
1.64% ↑
1978年 183,000
0.55% ↑
1977年 182,000
0.55% ↑
1976年 181,000
0.56% ↑
1975年 180,000
0.56% ↑
1974年 179,000
0.56% ↑
1973年 178,000
0.56% ↑
1972年 177,000
0.57% ↑
1971年 176,000
0.57% ↑
1970年 175,000
0.57% ↑
1969年 174,000
0.58% ↑
1968年 173,000
1.76% ↑
1967年 170,000
0.59% ↑
1966年 169,000
0.6% ↑
1965年 168,000
0.6% ↑
1964年 167,000
0.6% ↑
1963年 166,000
0.61% ↑
1962年 165,000
0.61% ↑
1961年 164,000 -

ネパールの牛乳生産量は、1961年以降一貫して増加を続けています。長期的な成長の要因として、農業政策の改善や乳牛の品種改良、農村地域における酪農技術の普及が挙げられます。特に2015年以降の急成長は、国内外の需要増加や酪農の近代化、政府や国際機関による農業分野への投資が大きく貢献しています。例えば2016年には前年度比約15%の増加が見られ、以降も高い成長率を維持しています。

2023年の生産量は1,214,046トンと、2022年から約10.1%の増加を記録しています。この数値には、COVID-19の影響からの回復基調だけでなく、乳製品に対する国内需要の高まりが含まれています。ただし、新型コロナウイルス感染症の流行による一時的な物流の問題や労働力不足が、酪農業の持続的成長に対する課題として一部影響を残している可能性もあります。

他の国々と比較すると、ネパールの牛乳生産は依然として規模的には小さく、日本の2023年の推定生産量(約730万トン)やインドの世界最大の生産量(2億トン以上)には遠く及びません。しかし、成長率の面では他国を凌駕し、特に南アジア地域では大きなポテンシャルを持つ国といえます。この成長の背後には、ネパールの農業が自然条件に適応しやすく、輸送コストが低いという地域的な特性も影響しています。

しかしながら、ネパールの酪農産業が持続可能な成長を遂げるためには解決すべき課題もあります。第一に、生産の地域格差が挙げられます。多くの生産が特定の地域に集中し、周辺地域の農家には十分な技術支援やインフラが行き届いていない現状があります。また、乳牛の飼育方法において、栄養管理の問題や気候変動のリスクが生産性に影響を及ぼす懸念も指摘されています。

これらの課題に対する具体的な対策として、政府や地域機関が取り組むべき施策の例として、農業インフラの整備とともに、生産技術の普及が挙げられます。さらに、乳製品産業の国際市場への参入を図るため、輸出規格の標準化や輸出ルートの開発も重要です。また、気候変動のリスクに対処するため、干ばつや洪水といった災害に強い牧草の開発や、気候に適応した飼育方法の導入を推進すべきです。

さらに、地政学的な背景として、ネパールは主に中国とインドに挟まれる内陸国であり、これらの国々との貿易環境が酪農産業の動態に影響を与える可能性があります。中国やインドが近年乳製品の輸入需要を拡大させていることから、これらの市場に適応した製品開発を行えば、ネパールの酪農業に新たな成長の機会を提供するでしょう。ただし、これには品質管理や衛生基準の整備が伴うため、国際的な支援や協力が重要です。

結論として、ネパールの牛乳生産量の増加は楽観視されるべき進展であり、規模的には他国に劣るものの、成長率や産業ポテンシャルの面で注目されています。今後は、酪農の持続可能性を高めるための技術支援、地域間の格差是正、そして国際市場への参入支援が現実的な課題です。これらを解決することで、ネパールの酪農業はさらなる成長と競争力を獲得することが期待されます。