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ネパールの鶏卵生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ネパールの鶏卵生産量は1961年の8,575トンから2023年の77,355トンまで増加しました。特に2016年以降、急激な増加が見られますが、近年では生産量が一時的に減少し、その後再び回復傾向にあります。この長期的な増加傾向には、国内の経済成長、人口増加、食生活の変化が関連しています。一方、2021年と2022年には減少が見られ、新型コロナウイルスの影響やその他の経済的要因によるものと考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 77,355
18.43% ↑
2022年 65,319
-11.47% ↓
2021年 73,781
-7.99% ↓
2020年 80,190
4.5% ↑
2019年 76,734
2.45% ↑
2018年 74,901
11.93% ↑
2017年 66,916
3.41% ↑
2016年 64,708
49.45% ↑
2015年 43,297
0.75% ↑
2014年 42,976
-1.68% ↓
2013年 43,710
10.89% ↑
2012年 39,416
14.07% ↑
2011年 34,554
9.73% ↑
2010年 31,490
2.19% ↑
2009年 30,816
-0.18% ↓
2008年 30,873
2.75% ↑
2007年 30,048
2.34% ↑
2006年 29,360
1.85% ↑
2005年 28,826
2.95% ↑
2004年 28,000
3.37% ↑
2003年 27,086
3.63% ↑
2002年 26,138
3.04% ↑
2001年 25,366
14.11% ↑
2000年 22,229
-3.48% ↓
1999年 23,031
4.47% ↑
1998年 22,046
8.6% ↑
1997年 20,300
6.84% ↑
1996年 19,000
2.7% ↑
1995年 18,500
2.78% ↑
1994年 18,000
1.12% ↑
1993年 17,800
0.56% ↑
1992年 17,700 -
1991年 17,700
4.12% ↑
1990年 17,000
24.09% ↑
1989年 13,700
3.01% ↑
1988年 13,300
2.31% ↑
1987年 13,000 -
1986年 13,000
8.56% ↑
1985年 11,975
-29.56% ↓
1984年 17,000
5.59% ↑
1983年 16,100
5.92% ↑
1982年 15,200
4.83% ↑
1981年 14,500 -
1980年 14,500
4.32% ↑
1979年 13,900
1.46% ↑
1978年 13,700
0.74% ↑
1977年 13,600
0.74% ↑
1976年 13,500
0.75% ↑
1975年 13,400
0.75% ↑
1974年 13,300
2.31% ↑
1973年 13,000
3.17% ↑
1972年 12,600
3.28% ↑
1971年 12,200
2.52% ↑
1970年 11,900
3.48% ↑
1969年 11,500
2.68% ↑
1968年 11,200
3.7% ↑
1967年 10,800
6.89% ↑
1966年 10,104
6.36% ↑
1965年 9,500
3.41% ↑
1964年 9,187
2.08% ↑
1963年 9,000
1.12% ↑
1962年 8,900
3.79% ↑
1961年 8,575 -

ネパールの鶏卵生産量は長期的に見ると大幅に増加しています。1961年には8,575トンであった生産量は、1960年代から1980年代までゆるやかに増え続けました。しかし、1985年には一時的に11,975トンまで減少しました。この減少の背景には、農業技術やインフラの不十分さ、また政治や経済的な要因が関連していた可能性があります。その後、1990年代から持続的な増加が続き、特に2000年代以降は顕著な成長を見せています。

特筆すべきは2016年からの急激な生産拡大です。2015年の43,297トンに比べ、2016年には64,708トンと50%以上の増加が見られます。この急成長は、ネパールにおける家禽産業の近代化、農業分野へ投資の増加、市場需要の拡大といった要因が影響しています。また、この時期、鶏卵の栄養価の高さが国内外で注目され、経済的かつ健康的な蛋白源(タンパク源)として鶏卵が普及したことも背景にあります。

2020年には80,190トンと最高値を記録しましたが、2021年と2022年には再び減少し、73,781トンと65,319トンにまで落ち込みました。この時期の減少には、新型コロナウイルスによる社会経済的な混乱が大きく影響した可能性があります。パンデミックにより、物流網が途絶えたり、家禽用飼料の供給が途切れたりしたことが影響を及ぼしたと推測されます。さらに、景気後退や経済的な不確実性が生産者や消費者の行動に変化をもたらしました。

2023年には再び77,355トンに回復しましたが、この動きから、ネパールの鶏卵生産が外的要因に影響を受けやすい特徴を持つことがうかがえます。また、気候変動や自然災害なども家禽産業にとってはリスク要因であり、長期的な安定性を確保する必要があります。ネパールは地震をはじめとする自然災害が頻発する地域であり、こうした災害が農業生産全般に与える影響は無視できません。

この生産量の傾向からは、国内での需要の増加だけでなく、近隣国への輸出の可能性も考慮する必要があります。近隣諸国、中国やインドでは都市化が進み生活水準が向上しており、これに伴って蛋白源の需要も拡大しています。ネパールはこの需要の高まりを捉えて、輸出産業としての家禽農業を発展させることが可能です。

今後、ネパールが持続可能な鶏卵生産を実現するためには、以下の点が課題となります。まず、継続的な技術革新と生産性の向上が重要です。これには、高品質な飼料の安定供給や病気の予防策、鶏舎の近代化が含まれます。また、災害リスクへの備えとして農業保険の普及や物流インフラの整備も必要です。さらに、農家への支援を強化し、特に零細農家の収益向上を図ることが求められます。これにより、生産の安定性が強化され、地域経済の活性化にもつながるでしょう。

結論として、ネパールの鶏卵生産量は過去数十年間で顕著に増加しましたが、自然災害やパンデミックといった外的ショックに対する耐性が課題として残っています。持続的な成長を実現するためには、技術革新や農業支援、輸出促進などの政策を中心に、国際的な協力体制を築くことが重要です。