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ネパールのキャベツ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ネパールにおけるキャベツの生産量は、1999年から継続的に増加し、2008年には初めて6,000トンを突破しました。その後、2015年に9,776トンで一時的なピークを迎えましたが、それ以降は若干の減少や停滞が見られ、2022年には9,115トンとなっています。1999年から2022年の間で総生産量は約40倍に拡大しましたが、近年は安定成長が見られなくなっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 13,577
48.94% ↑
2022年 9,115
-0.43% ↓
2021年 9,155
0.06% ↑
2020年 9,150
1.19% ↑
2019年 9,042
-2.48% ↓
2018年 9,272
1.51% ↑
2017年 9,134
4.76% ↑
2016年 8,719
-10.81% ↓
2015年 9,776
16.63% ↑
2014年 8,382
4.78% ↑
2013年 8,000 -
2012年 8,000
6.18% ↑
2011年 7,535
6.38% ↑
2010年 7,083
7.02% ↑
2009年 6,618
10.3% ↑
2008年 6,000
20% ↑
2007年 5,000
25% ↑
2006年 4,000
33.33% ↑
2005年 3,000 -
2004年 3,000
36.36% ↑
2003年 2,200
100% ↑
2002年 1,100 -
2001年 1,100
100% ↑
2000年 550
150% ↑
1999年 220 -

ネパールのキャベツ生産量の推移データは、同国の農業生産力と農業政策、さらには社会経済状況の変化を反映した重要な情報です。このデータによると、1999年の220トンから始まり、特に2000年から2015年にかけて大幅な増加が見られました。この増加傾向は、農地の拡大や農業技術の改善、また気候条件が比較的安定していたことに起因するものであると考えられます。2003年から2005年、および2012年から2013年にかけて生産量が一定に停滞している年も見られますが、それ以降は2015年までの増加傾向を維持していました。

しかし、2015年以降には大きな変化が見られます。2015年には9,776トンまで増加した後、2016年には8,719トンへと減少し、その後も2022年までおおむね9,000トン前後で停滞しています。この減少傾向には複数の要因が関与していると考えられます。2015年に発生した大地震(ネパール地震)は農村地域のインフラと農地に甚大な影響を与えました。これが中長期的にキャベツの農業生産に悪影響を及ぼしたと考えられます。また、近年の気候変動も特に影響力の大きい要因であり、干ばつや洪水の頻発が作物育成環境を不安定化させています。

一方で、ネパールのキャベツ生産市場における安定成長が見られない背景には、農業従事者の高齢化、農業機械化の遅れ、そして農業政策の限界が挙げられます。特に、農地や資源管理の効率性向上が急務と言えます。ネパール内だけでなく地域全体の競争環境を考慮すると、隣国のインドや中国の大規模農業の発展との比較で生産性に差が生じている点も課題といえるでしょう。どちらもネパールよりも気候や土地の条件が厳しい地域を抱えていますが、技術と政策の改善によって相対的に成果を上げています。

将来的には、ネパールのキャベツ生産増大と安定成長を目指すための具体的な対策が必要です。まず、灌漑設備の整備と近代的な農業技術の普及が、中小規模の農地でも効率的な生産を可能にする鍵です。また、生産者に対する補助金や教育プログラムの提供を通じて、新たな戦略を伝えることも重要です。さらに、気候変動に備えるための気象予報システムの導入や、災害時の復旧対策の強化が欠かせません。

同時に、ネパール国内だけでなく、南アジア地域との協力を深化させることにより、生産物の需給バランスを安定化させる取り組みにも期待が寄せられます。キャベツは鮮度が重要な作物であり、良好な貯蔵施設や効率的な輸送網を構築することも生産者の収益向上に直結します。

結論として、ネパールのキャベツ生産量は1999年から大きく増加したものの、近年は停滞が見られ、様々な課題に直面しています。持続可能な生産増大を目指すには、農業技術の進化、気候適応、そして計画的な災害対策が必要です。この取り組みは、単にネパール国内の食料安全保障の向上にとどまらず、地域の農業発展と気候変動への対応においても貢献する可能性があります。