国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、2023年度のカカオ豆生産量ランキングでは、1位はコートジボワール(2,377,442トン)、2位はガーナ(653,700トン)、3位はインドネシア(641,741トン)となりました。これら3か国だけで世界全体のカカオ豆生産量の大部分を占めており、特にアフリカ諸国が中心的役割を果たしていることが明らかになっています。中南米やアジア太平洋地域も一定の生産量を示していますが、規模の差は依然として大きいと言えます。
順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
---|---|---|---|
1 |
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アフリカ | 2,377,442 |
2 |
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アフリカ | 653,700 |
3 |
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アジア | 641,741 |
4 |
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南アメリカ | 375,719 |
5 |
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南アメリカ | 296,145 |
6 |
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アフリカ | 295,819 |
7 |
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アフリカ | 284,232 |
8 |
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南アメリカ | 166,709 |
9 |
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南アメリカ | 65,930 |
10 |
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南アメリカ | 59,831 |
11 |
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オセアニア | 43,200 |
12 |
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アフリカ | 35,000 |
13 |
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アフリカ | 35,000 |
14 |
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アジア | 30,000 |
15 |
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南アメリカ | 29,359 |
16 |
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南アメリカ | 29,047 |
17 |
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アフリカ | 23,164 |
18 |
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アフリカ | 20,000 |
19 |
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アフリカ | 20,000 |
20 |
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アフリカ | 18,000 |
21 |
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アフリカ | 15,000 |
22 |
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アフリカ | 12,000 |
23 |
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南アメリカ | 11,652 |
24 |
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アジア | 10,759 |
25 |
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アフリカ | 10,000 |
26 |
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南アメリカ | 9,317 |
27 |
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南アメリカ | 5,971 |
28 |
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アフリカ | 4,000 |
29 |
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オセアニア | 4,000 |
30 |
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南アメリカ | 2,500 |
31 |
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南アメリカ | 2,000 |
32 |
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オセアニア | 1,500 |
33 |
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南アメリカ | 1,388 |
34 |
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アジア | 1,321 |
35 |
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アジア | 1,207 |
36 |
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アフリカ | 1,000 |
37 |
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南アメリカ | 1,000 |
38 |
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南アメリカ | 800 |
39 |
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南アメリカ | 562 |
40 |
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南アメリカ | 484 |
41 |
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オセアニア | 482 |
42 |
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アフリカ | 458 |
43 |
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南アメリカ | 364 |
44 |
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南アメリカ | 363 |
45 |
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南アメリカ | 300 |
46 |
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アジア | 269 |
47 |
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南アメリカ | 233 |
48 |
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南アメリカ | 229 |
49 |
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アジア | 175 |
50 |
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南アメリカ | 151 |
51 |
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アフリカ | 135 |
52 |
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アジア | 123 |
53 |
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オセアニア | 118 |
54 |
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アフリカ | 104 |
55 |
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アフリカ | 43 |
56 |
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オセアニア | 31 |
57 |
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南アメリカ | 18 |
58 |
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南アメリカ | 5 |
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カカオ豆は、主にチョコレートやココア製品の原料として広く利用されており、世界的に需要の高い農産物です。その中核的生産地は熱帯地域に位置する国々であり、特に西アフリカが世界の供給を支えています。2023年の統計によれば、コートジボワールは圧倒的な生産量で世界市場をリードしており、2位のガーナ、3位のインドネシアを大きく引き離しています。これら上位3カ国の合計生産量は約3,672,883トンに達し、これは世界の総生産量のかなりの部分を占めています。
コートジボワールの生産量が突出している背景には、豊かな自然条件の活用、長年にわたる生産ノウハウの蓄積、そしてカカオ作物に依存した経済基盤などが挙げられます。一方で、ガーナやインドネシアもまた、独自の輸出ルートの確立や農業政策の改善を通じて生産力を伸ばしています。同時に、4位エクアドルや5位ブラジルのような中南米の国々は、品質の高い「プレミアムカカオ」の生産でブランド価値を高めており、特定市場での競争力を持っています。
ただし、カカオ生産にはいくつかの深刻な課題が伴います。まず、カカオ農家が直面する収入の不安定性が挙げられます。これは、国際市場での価格変動が大きいためで、特に小規模農家にとっては生計に重大な影響を及ぼします。また、近年は気候変動による異常気象が各地域の生産効率を低下させる事例も記録されており、持続可能な栽培方法の導入が急務となっています。さらに、児童労働の問題も無視できない課題の一つであり、特に多くの生産地で教育の機会を奪う原因として国際社会の注目を集めています。
地政学的リスクも、カカオ供給をめぐる重要な課題です。例えば、コートジボワールやガーナなど西アフリカ地域では、政治的不安定やインフラ整備の遅れが生産活動に影響を及ぼすケースが見られます。これらの国では、輸送インフラの整備や治安対策の強化が求められます。また、特に内戦状態や土地の争奪が続く地域においては、農地利用をめぐる紛争が今後さらに激化することが懸念されます。
これらの状況を踏まえ、いくつかの提言が考えられます。第一に、生産地における教育支援と農業技術指導の強化が挙げられます。これにより、児童労働問題を改善しつつ、農業効率を高めることが期待されます。第二に、各国が気候変動の影響を最小限に抑えるため、耐久性のあるカカオ品種の研究開発や管理技術の導入を進める必要があります。第三に、生産過程を支えるための国際協力やフェアトレードの推進が重要です。これにより、小規模農家の収入安定化につながるとともに、持続可能な供給体制を構築できます。
結論として、2023年度のデータはカカオ生産が依然として一部の国々に偏在している状況を示しています。同時に、カカオ産業が直面する課題についても浮き彫りになっています。これからの時代には、単に数量を追うだけでなく、品質、倫理、環境保護の観点を重視した一貫した取り組みが求められると言えます。国際的な枠組みの強化と生産国自身の取組みが両輪として機能することで、持続可能なカカオ産業の実現が期待されます。