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パプアニューギニアのカカオ豆生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、パプアニューギニアのカカオ豆生産量は1961年から2022年の間に大きな変動を見せています。1961年のわずか9,271トンから始まり、2009年に59,400トンというピークを記録しました。その後は減少と増加を繰り返し、最近の数値である2022年には42,000トンとなっています。この変動には経済、気候、農業技術、そして社会情勢など複数の要因が関わっていると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 43,200
2.86% ↑
2022年 42,000
0.24% ↑
2021年 41,900
10.26% ↑
2020年 38,000
6.44% ↑
2019年 35,700
7.21% ↑
2018年 33,300
-9.76% ↓
2017年 36,900
-2.89% ↓
2016年 38,000
5.26% ↑
2015年 36,100
-20.43% ↓
2014年 45,369
10.12% ↑
2013年 41,200
6.46% ↑
2012年 38,700
-18.7% ↓
2011年 47,600
20.81% ↑
2010年 39,400
-33.67% ↓
2009年 59,400
15.34% ↑
2008年 51,500
4.46% ↑
2007年 49,300
-3.52% ↓
2006年 51,100
6.9% ↑
2005年 47,800
22.88% ↑
2004年 38,900
-8.47% ↓
2003年 42,500
0.24% ↑
2002年 42,400
9.28% ↑
2001年 38,800
-17.09% ↓
2000年 46,800
31.46% ↑
1999年 35,600
19.46% ↑
1998年 29,800
-25.5% ↓
1997年 40,000
11.11% ↑
1996年 36,000
24.14% ↑
1995年 29,000
-7.27% ↓
1994年 31,275
-12.48% ↓
1993年 35,735
-4.18% ↓
1992年 37,294
16.74% ↑
1991年 31,946
-16.68% ↓
1990年 38,343
-18.42% ↓
1989年 47,000
30.56% ↑
1988年 36,000
12.5% ↑
1987年 32,000
-2.02% ↓
1986年 32,661
-7.32% ↓
1985年 35,239
7.76% ↑
1984年 32,701
18.6% ↑
1983年 27,572
6.42% ↑
1982年 25,909
-18.27% ↓
1981年 31,700
1.6% ↑
1980年 31,200
15.56% ↑
1979年 27,000
-8.47% ↓
1978年 29,500
3.51% ↑
1977年 28,500
-10.66% ↓
1976年 31,900
-11.39% ↓
1975年 36,000
8.11% ↑
1974年 33,300
42.92% ↑
1973年 23,300
-20.48% ↓
1972年 29,300
0.69% ↑
1971年 29,100
11.49% ↑
1970年 26,100
-1.88% ↓
1969年 26,600
11.3% ↑
1968年 23,900
11.68% ↑
1967年 21,400
11.46% ↑
1966年 19,200
-6.06% ↓
1965年 20,438
9.26% ↑
1964年 18,706
20.68% ↑
1963年 15,500
10.71% ↑
1962年 14,000
51.01% ↑
1961年 9,271 -

パプアニューギニアは、カカオ生産の重要な国のひとつであり、特に高品質なカカオ豆を輸出市場へ供給していることで知られています。1961年の9,271トンという低い生産量から2022年の42,000トンに至るまでのデータを見ると、国家の農業生産能力が着実に向上している一方で、大きな年次変動も随所に見られます。このような不安定な状況の背景には、複数の地域的課題が存在します。

まず、カカオ豆の生産は主に小規模農家によって行われており、気候変動や自然災害の影響を受けやすいという脆弱性があります。特にエルニーニョ現象や台風といった気象変動が影響を与えるリスクが高く、生産量が減少した年(例えば1982年や2010年)には、これらの要素が関与している可能性が指摘されています。さらに、農業技術の導入が遅れたこと、生産インフラの未整備、そして経済的な混乱が他の要因として挙げられます。

また、2009年に記録された59,400トンという生産量は、この国の歴史における高い成長点を示していますが、これは国内および国際市場の需要拡大や、一時的な政策支援の成果が反映されたものです。しかし、その後の減少傾向は、支援体制の不安定さや、農家への技術的サポート不足が影響していることを示唆しています。生産量が42,000トンに留まる2022年までのデータからは、ここ数十年間、持続的な成長戦略が十分に機能していないことが分かります。

比較として、同じくカカオ豆の生産国であるインドネシアやフィリピンといった近隣国と比べると、パプアニューギニアの生産量は依然として小規模であるものの、その品質は高く評価されています。特にヨーロッパの加工業者からは、パプアニューギニアのカカオの芳醇な風味が支持を得ていますが、こうした利点を十分に活用するためには、生産基盤全体を強化する必要があります。

今後、国や国際機関が取り組むべき具体的な対策として、以下が挙げられます。まずは、農家への技術サポートとトレーニングを強化し、持続可能な農業技術の導入を進めることが重要です。これに加えて、自然災害に備えた保険制度の整備や、気象リスクを軽減するための農業計画の策定が求められます。また、国内・国際市場への流通を改善するための物流インフラの整備、および付加価値商品の開発や輸出拡大に向けたマーケティング支援も重要な課題です。

さらに、地政学的にも注目すべき点があります。パプアニューギニアはアジアとオセアニアを結ぶ位置にあり、その地理的特性から地政学的リスクの影響を受けることがあります。この地域での労働力不足や土地利用を巡る紛争が、カカオ豆生産動態に直接的な影響を及ぼす可能性もあり、それらを未然に防ぐための地域協力の枠組みづくりも考慮すべきです。

最後に、カカオ豆生産はパプアニューギニアの重要な経済基盤であり、特に地方農村地域の生計を支えています。この分野を強化することは、国全体の経済的安定性のみならず、持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも寄与します。したがって、国際協力や民間セクターの参入を積極的に誘導し、安定的かつ効率的な生産体制を構築することが急務であると言えます。