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東ティモールのカカオ豆生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データ(2024年7月時点)によると、東ティモールのカカオ豆生産量は1960年代から徐々に増加し、2000年代に急激な成長を遂げました。2000年代後半からは安定した増加基調を維持しており、2016年にはピークの173トンに達しました。その後、2018年以降わずかな減少と横ばいを見せ、現在は約175トン程度で安定しています。

年度 生産量(トン)
2022年 175
2021年 175
2020年 176
2019年 175
2018年 174
2017年 178
2016年 173
2015年 170
2014年 167
2013年 160
2012年 152
2011年 147
2010年 142
2009年 137
2008年 133
2007年 128
2006年 123
2005年 118
2004年 113
2003年 108
2002年 102
2001年 97
2000年 92
1999年 100
1998年 60
1997年 57
1996年 83
1995年 92
1994年 50
1993年 32
1992年 29
1991年 23
1990年 31
1989年 25
1988年 25
1987年 25
1986年 22
1985年 22
1984年 20
1983年 20
1982年 20
1981年 20
1980年 20
1979年 20
1978年 20
1977年 20
1976年 20
1975年 20
1974年 20
1973年 20
1972年 20
1971年 20
1970年 20
1969年 20
1968年 20
1967年 20
1966年 20
1965年 20
1964年 20
1963年 20
1962年 20
1961年 20

東ティモールのカカオ豆生産量は、1960年代には年間わずか20トンで、半世紀近くほぼ変化がありませんでした。しかし、1990年代に入ると急激な増加を見せ、特に1994年から1995年の間に50トンから92トンへと飛躍的に成長しました。この時期の生産量の増加は、東ティモール独立運動と関連しており、地元の農業再生計画や植民地時代の遺産を活用した新しい取り組みが始まったことが要因と考えられます。

2000年代にはさらに発展が進み、2000年の92トンから2010年には142トン、そして2016年には173トンに到達しました。この成長は、土壌の管理や栽培技術の向上、地元の農家によるカカオ生産の重要性認識の高まりに加え、国際市場でのカカオ需要の増加が拍車をかけた結果です。特にヨーロッパやアメリカの高級チョコレート市場では、東ティモールのような小規模生産国の有機カカオが注目されています。

しかし、2018年を境として生産量はわずかに減少し、その後はやや横ばいの状態が続いています。FAOのデータによると、2022年には175トンで安定しており、近年の生産量の停滞は気候変動や土壌の劣化、それに伴う収穫効率の低下などが影響していると考えられています。また、新型コロナウイルスの影響で、2020年以降のロジスティクスや国際市場へのアクセスにも困難が生じた可能性があります。

今後の課題としては、まず東ティモールのカカオ産業がどう安定的に成長を続けるのかが挙げられます。具体的には、国際市場の需要を見越した品質向上への取り組み、持続可能な農業手法の導入、天候変動への適応が重要です。具体策として、農家への技術支援や教育を強化し、最先端の農業技術や品種改良を地域に導入することが有効です。また、カカオ生産者同士の協力組織や連携体制を強化し、国際市場への直結ルートを確保することで経済的な持続性を支えることができます。

地政学的な背景も無視できません。東ティモールはインドネシアやオーストラリアなど近隣諸国の影響を強く受けており、地域の安定性がカカオ生産に大きな影響を与えます。独立後の政治的な安定を維持しながら、地域間の協力を推進することは、この小規模国にとって重要です。

総じて、東ティモールのカカオ豆生産は過去数十年で大きな成長を遂げていますが、現在直面している課題に対応するための具体的な対策が必要です。国際機関や近隣諸国の協力の下、科学的アプローチと地域の特性を活かした政策立案が求められます。カカオは東ティモールの重要な輸出産品であるため、その持続可能な成長は国全体の経済にも寄与するでしょう。