Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、中央アフリカ共和国のカカオ豆生産量は、1961年の7トンから2022年の134トンに増加しています。この間、生産量は大きな変動を見せており、1970年代中盤から1980年代前半までは減少し、その後2007年に大幅に増加(250トン)しました。その後は安定傾向にありつつも、やや減少、あるいは横ばいの状態が続いています。
中央アフリカ共和国のカカオ豆生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 135 |
0.41% ↑
|
2022年 | 134 |
-1.05% ↓
|
2021年 | 136 |
0.89% ↑
|
2020年 | 134 |
1.41% ↑
|
2019年 | 132 |
-5.22% ↓
|
2018年 | 140 |
6.86% ↑
|
2017年 | 131 |
3.12% ↑
|
2016年 | 127 |
-11.34% ↓
|
2015年 | 143 |
16.81% ↑
|
2014年 | 123 |
6.52% ↑
|
2013年 | 115 |
-4.17% ↓
|
2012年 | 120 |
-3.41% ↓
|
2011年 | 124 |
2.98% ↑
|
2010年 | 121 |
20.65% ↑
|
2009年 | 100 |
-50% ↓
|
2008年 | 200 |
-20% ↓
|
2007年 | 250 |
150% ↑
|
2006年 | 100 |
25.53% ↑
|
2005年 | 80 |
5.66% ↑
|
2004年 | 75 |
4.03% ↑
|
2003年 | 72 |
3.74% ↑
|
2002年 | 70 |
-15.18% ↓
|
2001年 | 82 |
5.93% ↑
|
2000年 | 78 |
7.14% ↑
|
1999年 | 73 |
10.36% ↑
|
1998年 | 66 |
5.93% ↑
|
1997年 | 62 |
29.44% ↑
|
1996年 | 48 |
-15.79% ↓
|
1995年 | 57 |
2.59% ↑
|
1994年 | 56 |
1.56% ↑
|
1993年 | 55 |
9.32% ↑
|
1992年 | 50 |
2.04% ↑
|
1991年 | 49 |
2.08% ↑
|
1990年 | 48 |
4.35% ↑
|
1989年 | 46 |
2.22% ↑
|
1988年 | 45 |
2.27% ↑
|
1987年 | 44 | - |
1986年 | 44 |
4.76% ↑
|
1985年 | 42 | - |
1984年 | 42 |
5% ↑
|
1983年 | 40 | - |
1982年 | 40 |
33.33% ↑
|
1981年 | 30 |
50% ↑
|
1980年 | 20 |
33.33% ↑
|
1979年 | 15 |
-81.25% ↓
|
1978年 | 80 |
33.33% ↑
|
1977年 | 60 |
50% ↑
|
1976年 | 40 |
-50% ↓
|
1975年 | 80 |
33.33% ↑
|
1974年 | 60 |
50% ↑
|
1973年 | 40 |
-11.11% ↓
|
1972年 | 45 |
50% ↑
|
1971年 | 30 |
-14.29% ↓
|
1970年 | 35 |
40% ↑
|
1969年 | 25 |
31.58% ↑
|
1968年 | 19 |
-29.63% ↓
|
1967年 | 27 |
42.11% ↑
|
1966年 | 19 |
-5% ↓
|
1965年 | 20 |
66.67% ↑
|
1964年 | 12 |
20% ↑
|
1963年 | 10 |
-9.09% ↓
|
1962年 | 11 |
57.14% ↑
|
1961年 | 7 | - |
中央アフリカ共和国は、西アフリカ諸国ほど大規模なカカオ生産国ではありませんが、小規模農家の収入源の一つとしてカカオが重要視されています。データを見ると、1961年の7トンから2022年の134トンまで、約60年間で19倍以上の生産量増加が確認されています。ただし、その間に生産量の急激な変動が見られることから、一貫して成長してきたとは言い難い状況です。
初期の1961年から1974年にかけては、カカオ豆の生産が徐々に増加し、1975年には80トンに達しました。しかしその後、1976年から1979年までの短期間で生産量が大きく減少し、15トンまで急落しました。この時期、多くの国内紛争やインフラ不足が農業活動に悪影響を及ぼした可能性が高いと考えられます。
1980年代以降はおおむね増加傾向にあるものの、そのスピードは緩やかです。特に2007年には過去最大の250トンに到達していますが、8年後の2015年には143トン、2022年には134トンと再び減少傾向にあります。このような不安定な動向の背景には、気候変動や農業技術の未発達、政治・経済の不安定さが関与していると考えられます。
また、比較すると、カカオの最大生産国であるコートジボワールは2022年に200万トン以上を生産しており、中央アフリカ共和国の生産量はそれに対して非常に小規模です。このような差は、生産基盤や効率性の違いやインフラ未整備が影響していることが窺えます。同時期の日本を含む先進国はカカオ豆を輸入し加工品として利用していますが、それに対して中央アフリカ共和国は輸出の競争力が低いため、この作物の経済的潜在力を十分に享受できていない現状が見て取れます。
このような状況において、課題を解決し安定した生産を実現するためには、いくつかの改革が必要です。例えば農業インフラの整備、効率的な灌漑技術の導入、カカオ豆の効率的加工と輸出ルートの強化が挙げられます。これらの施策は国際援助機関や民間企業との協力を通じて具体化することが可能です。
地政学的リスクと市場動向にも注意が必要です。中央アフリカ共和国は過去に紛争が頻発しており、農業活動や物流機能に直接影響を及ぼしてきました。このため、安定した生産には政治的安定が欠かせません。また、国際市場における需要の変動や価格変動が小規模生産者の収益を圧迫する可能性もあります。これに対して、輸出商品に付加価値(例えば有機認証やフェアトレード認証)の導入を進めることで、農家の収益増加を目指すことも一案です。
結論として、中央アフリカ共和国のカカオ豆生産量の向上と安定化は、持続可能な発展に寄与する重要な要素です。短期的には農業人口を支援する直接的なプログラムを通じて生活基盤を安定させることが求められます。中長期的には、教育、インフラ整備、国際市場への参画を促進する政策を導入することが必要です。これにより、カカオ農家が経済的自立を果たし、国全体の持続可能な発展に寄与できる未来が期待されます。