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ドミニカのカカオ豆生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)の2024年最新データによると、ドミニカにおけるカカオ豆の生産量は長期にわたり変動を示してきましたが、2015年以降は1,000トン前後で安定しています。特に、1960年代から1980年代は非常に低い生産量で推移していましたが、2010年代に急激な増加を見せ、その後安定した傾向にあります。この動きは、農業政策や気候条件、国際市場の需要の影響を受けていると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,000 -
2022年 1,000 -
2021年 1,000 -
2020年 1,000 -
2019年 1,000 -
2018年 1,000 -
2017年 1,000
-41.18% ↓
2016年 1,700
70% ↑
2015年 1,000
65.34% ↑
2014年 605
46.77% ↑
2013年 412
106.04% ↑
2012年 200
68.07% ↑
2011年 119
36.78% ↑
2010年 87
-34.09% ↓
2009年 132
83.33% ↑
2008年 72 -
2007年 72
-50.51% ↓
2006年 145
-4.35% ↓
2005年 152
-6.3% ↓
2004年 162
-4.59% ↓
2003年 170
-5.59% ↓
2002年 180
-4.02% ↓
2001年 188
-6.13% ↓
2000年 200 -
1999年 200
21.21% ↑
1998年 165
-28.26% ↓
1997年 230
130% ↑
1996年 100
-35.48% ↓
1995年 155
-12.43% ↓
1994年 177
68.57% ↑
1993年 105
-24.46% ↓
1992年 139
85.33% ↑
1991年 75
-46.04% ↓
1990年 139
12.1% ↑
1989年 124
3.33% ↑
1988年 120
-22.58% ↓
1987年 155
-13.89% ↓
1986年 180
-18.18% ↓
1985年 220
-8.33% ↓
1984年 240
-12.73% ↓
1983年 275
-44.11% ↓
1982年 492
14.95% ↑
1981年 428 -
1980年 428 -
1979年 428
-39.29% ↓
1978年 705
5.22% ↑
1977年 670
109.38% ↑
1976年 320
10.34% ↑
1975年 290
16% ↑
1974年 250
25% ↑
1973年 200
11.11% ↑
1972年 180
80% ↑
1971年 100 -
1970年 100 -
1969年 100 -
1968年 100 -
1967年 100 -
1966年 100 -
1965年 100
-50% ↓
1964年 200 -
1963年 200
100% ↑
1962年 100
-50% ↓
1961年 200 -

ドミニカにおけるカカオ豆生産量データを振り返ると、1960年代から1980年代にかけて、年間の生産量は比較的低い水準で推移していました。この期間、最大生産量でも705トン(1978年)と現在の数値には遠く及ばない状況でした。この背景には、農業技術の未発達や限られた資本投資、輸出インフラの整備不足があったと考えられます。また、気候変動に伴う高温や降水量の変化も、生産量に影響を及ぼしていた可能性が指摘されています。

1990年代に入ると状況はさらに厳しくなり、1991年には75トンと、過去最低水準にまで落ち込みました。この時期は、国際市場でのカカオ価格低迷や国内の政治的不安定が影響していたと考えられます。しかし、2000年以降になると、生産量は次第に回復の兆しを見せ始めます。この回復の一因には、カカオ栽培の普及活動や品種改良事業など、国内での農業支援政策の強化が挙げられます。

注目すべきは、2013年から2015年にかけての急激な増加です。2013年には412トンだった生産量が、わずか2年で1,000トンに到達しました。さらに、2016年には1,700トンにまで成長しました。この成長は、ドミニカでのカカオ産業振興策の成果や、国際市場でのプレミアムカカオに対する需要増加が背景にあると考えられます。ドミニカは、豊かな風味を持つ高品質のカカオ豆を生産しており、これが付加価値を生み出しました。

しかし、その後のデータを見ると、1,700トンだった生産量が2017年からは約1,000トンに安定しています。この安定は、カカオに対する継続的な需要がある一方で、労働力不足や気候変動に対する適応が課題となっており、生産の伸びが抑制されている可能性を示唆しています。また、地域におけるインフラ未整備や農業従事者の高齢化も潜在的な要因と考えられます。

ドミニカのカカオ豆生産量の推移からは、農業政策の成果と同時に、解決すべき課題も浮かび上がります。今後の課題として、気候変動への適応策の検討が求められます。具体的には、気温や降水量の変化に強い品種の開発や、新しい灌漑技術の導入が挙げられます。また、若い世代を農業に取り込むための教育プログラムや資金援助の拡充も重要です。さらに、輸出インフラの強化と国際市場への多様な販路確保も、カカオ産業の将来を安定させるために必要不可欠と言えます。

地政学的に見ると、ドミニカはハリケーンや台風といった自然災害にさらされやすい地域に位置しています。そのため、自然災害に対する対策も経済的なリスク軽減の要となります。たとえば、災害リスク軽減に向けた早期警戒システムを確立し、農業地域の保護が必要です。

ドミニカのカカオ産業は、同国の農業セクターの中でも重要な位置を占めています。高品質なカカオを生産できるという強みを生かしつつ、効率的かつ持続可能な方法で産業を発展させることが、地域経済の強化と農村開発につながるでしょう。国際機関や隣国との連携を強化し、技術協力や支援を取り入れることも、今後の成長の鍵となるはずです。