Skip to main content

ドミニカのカカオ豆生産量推移(1961-2022)

FAO(国際連合食糧農業機関)の2024年最新データによると、ドミニカにおけるカカオ豆の生産量は長期にわたり変動を示してきましたが、2015年以降は1,000トン前後で安定しています。特に、1960年代から1980年代は非常に低い生産量で推移していましたが、2010年代に急激な増加を見せ、その後安定した傾向にあります。この動きは、農業政策や気候条件、国際市場の需要の影響を受けていると考えられます。

年度 生産量(トン)
2022年 1,000
2021年 1,000
2020年 1,000
2019年 1,000
2018年 1,000
2017年 1,000
2016年 1,700
2015年 1,000
2014年 605
2013年 412
2012年 200
2011年 119
2010年 87
2009年 132
2008年 72
2007年 72
2006年 145
2005年 152
2004年 162
2003年 170
2002年 180
2001年 188
2000年 200
1999年 200
1998年 165
1997年 230
1996年 100
1995年 155
1994年 177
1993年 105
1992年 139
1991年 75
1990年 139
1989年 124
1988年 120
1987年 155
1986年 180
1985年 220
1984年 240
1983年 275
1982年 492
1981年 428
1980年 428
1979年 428
1978年 705
1977年 670
1976年 320
1975年 290
1974年 250
1973年 200
1972年 180
1971年 100
1970年 100
1969年 100
1968年 100
1967年 100
1966年 100
1965年 100
1964年 200
1963年 200
1962年 100
1961年 200

ドミニカにおけるカカオ豆生産量データを振り返ると、1960年代から1980年代にかけて、年間の生産量は比較的低い水準で推移していました。この期間、最大生産量でも705トン(1978年)と現在の数値には遠く及ばない状況でした。この背景には、農業技術の未発達や限られた資本投資、輸出インフラの整備不足があったと考えられます。また、気候変動に伴う高温や降水量の変化も、生産量に影響を及ぼしていた可能性が指摘されています。

1990年代に入ると状況はさらに厳しくなり、1991年には75トンと、過去最低水準にまで落ち込みました。この時期は、国際市場でのカカオ価格低迷や国内の政治的不安定が影響していたと考えられます。しかし、2000年以降になると、生産量は次第に回復の兆しを見せ始めます。この回復の一因には、カカオ栽培の普及活動や品種改良事業など、国内での農業支援政策の強化が挙げられます。

注目すべきは、2013年から2015年にかけての急激な増加です。2013年には412トンだった生産量が、わずか2年で1,000トンに到達しました。さらに、2016年には1,700トンにまで成長しました。この成長は、ドミニカでのカカオ産業振興策の成果や、国際市場でのプレミアムカカオに対する需要増加が背景にあると考えられます。ドミニカは、豊かな風味を持つ高品質のカカオ豆を生産しており、これが付加価値を生み出しました。

しかし、その後のデータを見ると、1,700トンだった生産量が2017年からは約1,000トンに安定しています。この安定は、カカオに対する継続的な需要がある一方で、労働力不足や気候変動に対する適応が課題となっており、生産の伸びが抑制されている可能性を示唆しています。また、地域におけるインフラ未整備や農業従事者の高齢化も潜在的な要因と考えられます。

ドミニカのカカオ豆生産量の推移からは、農業政策の成果と同時に、解決すべき課題も浮かび上がります。今後の課題として、気候変動への適応策の検討が求められます。具体的には、気温や降水量の変化に強い品種の開発や、新しい灌漑技術の導入が挙げられます。また、若い世代を農業に取り込むための教育プログラムや資金援助の拡充も重要です。さらに、輸出インフラの強化と国際市場への多様な販路確保も、カカオ産業の将来を安定させるために必要不可欠と言えます。

地政学的に見ると、ドミニカはハリケーンや台風といった自然災害にさらされやすい地域に位置しています。そのため、自然災害に対する対策も経済的なリスク軽減の要となります。たとえば、災害リスク軽減に向けた早期警戒システムを確立し、農業地域の保護が必要です。

ドミニカのカカオ産業は、同国の農業セクターの中でも重要な位置を占めています。高品質なカカオを生産できるという強みを生かしつつ、効率的かつ持続可能な方法で産業を発展させることが、地域経済の強化と農村開発につながるでしょう。国際機関や隣国との連携を強化し、技術協力や支援を取り入れることも、今後の成長の鍵となるはずです。