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トーゴのカカオ豆生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、トーゴのカカオ豆生産量は歴史的に大きな変動を繰り返し、近年は減少傾向が続いています。特に2000年代初頭に大きな生産の伸びを示し、2008年には過去最大の111,000トンに達しましたが、その後、大幅な減少となり、2020年代初頭には再び10,000トン程度の水準に戻りました。これらの変動は、農業政策、気候条件、国際市場の影響、そして政治や社会的不安定要因によるものと考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 15,000
7.14% ↑
2022年 14,000
40% ↑
2021年 10,000
-23.08% ↓
2020年 13,000
22.64% ↑
2019年 10,600
41.33% ↑
2018年 7,500
-11.76% ↓
2017年 8,500
-15% ↓
2016年 10,000 -
2015年 10,000
-54.92% ↓
2014年 22,182
47.88% ↑
2013年 15,000
-56.52% ↓
2012年 34,500
-75.79% ↓
2011年 142,500
40.39% ↑
2010年 101,500
-3.33% ↓
2009年 105,000
-5.41% ↓
2008年 111,000
42.31% ↑
2007年 78,000
6.85% ↑
2006年 73,000
37.74% ↑
2005年 53,000
144.24% ↑
2004年 21,700
325.49% ↑
2003年 5,100
-32% ↓
2002年 7,500
-26.47% ↓
2001年 10,200
54.55% ↑
2000年 6,600
-5.71% ↓
1999年 7,000
-42.62% ↓
1998年 12,200
110.34% ↑
1997年 5,800
-59.15% ↓
1996年 14,200
136.67% ↑
1995年 6,000
9.09% ↑
1994年 5,500
-23.61% ↓
1993年 7,200
20% ↑
1992年 6,000
46.34% ↑
1991年 4,100
-39.83% ↓
1990年 6,814
-10.88% ↓
1989年 7,646
-7.49% ↓
1988年 8,265
-25.25% ↓
1987年 11,057
-12.14% ↓
1986年 12,585
-11.82% ↓
1985年 14,272
45.71% ↑
1984年 9,795
-40.99% ↓
1983年 16,600
20.29% ↑
1982年 13,800
25.45% ↑
1981年 11,000
-32.52% ↓
1980年 16,300
6.54% ↑
1979年 15,300
21.43% ↑
1978年 12,600
-24.55% ↓
1977年 16,700
18.44% ↑
1976年 14,100
-20.56% ↓
1975年 17,750
22.41% ↑
1974年 14,500
-12.12% ↓
1973年 16,500
-11.29% ↓
1972年 18,600
-35.86% ↓
1971年 29,000
3.94% ↑
1970年 27,900
18.22% ↑
1969年 23,600
18% ↑
1968年 20,000
9.06% ↑
1967年 18,338
12.5% ↑
1966年 16,300
13.99% ↑
1965年 14,300
-18.29% ↓
1964年 17,500
25.9% ↑
1963年 13,900
21.93% ↑
1962年 11,400
-1.3% ↓
1961年 11,550 -

トーゴのカカオ豆生産量は、1961年の11,550トンから徐々に増加し、1970年代初頭には約29,000トンに達しました。しかし、それ以降は一時的な減少と増加を繰り返し、1980年代後半から1990年代半ばに至るまで著しい低迷期を経験しています。この低迷期には、1988年の8,265トン、1991年の4,100トンと、生産量が非常に低い水準に落ち込んでいます。この時期の背景には、国内の政治的不安定、農業の近代化の遅れ、また世界的な市場の価格競争が影響していたと考えられます。

その後、2000年代に入り生産量は復活を遂げ、2008年には111,000トンという記録的な数字を達成しました。この急激な生産量の増加は、農業技術の改善や輸出促進を目的とした政府の政策強化の成果とされています。2008年の数値は、トーゴが一時的に世界のカカオ市場における存在感を増加させたことを示しています。しかし、その後の2012年に34,500トン、2013年に15,000トンと、再び急激な減少がみられます。この現象は、資源の過負荷や気候変動による影響が顕著であったこと、加えて世界市場における価格変動に十分な耐性を持たなかったことが原因と考えられます。

直近の2020年代においても、トーゴのカカオ豆生産はかつてのピークからは程遠く、10,000トン前後の水準に留まっています。この背景には、気候変動による降水量の変化が作物の収量に与える影響や、農産業へ支援するための政策不足が挙げられます。また、近年の新型コロナウイルスのパンデミックも農業労働力に負の影響を及ぼし、輸出の停滞を招いた可能性があります。

トーゴは、依然としてカカオ豆生産国としてのポテンシャルを秘めていますが、生産量の安定化にはいくつかの重大な課題があります。例えば、国内の農業労働者に対する正当な雇用条件の整備、土地の持続可能な利用方法の採用、農業技術の近代化が緊要です。また、国際市場の価格変動に対する免疫力を高めるため、地域的な農業連携や保険制度の導入も有効策と考えられます。

また地政学的リスクの点では、隣国での政情変化や、アフリカ全体で進行中の気候変動がトーゴの生産動態に与える影響を見逃せません。例えば、サヘル地域における紛争の拡大はトーゴも含む近隣国の経済安定と輸送路の確保に不透明なリスクをもたらしています。これらを踏まえ、地域協力の強化や国際的な災害対応枠組みへの積極的参加も、安定した農業基盤を築くための鍵となるでしょう。

トーゴのカカオ豆生産量の推移から分かるように、この国の農業は多くの潜在問題を抱えつつも、改善余地が非常に大きい分野です。現地政府は農業関連インフラの整備、気候変動への具体的な対策立案、持続可能な土地利用の促進に注力する必要があります。同時に、国際社会や非政府組織(NGO)との協調を通じて、より持続可能な農業を目指す道筋を描くべきです。このような包括的な対策が、今後のトーゴのカカオ豆生産の安定化と発展に直結すると結論づけられます。