国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ガボンのカカオ豆生産量は、1961年の3,190トンから1970年の6,095トンまで増加した後、1980年代以降に大幅な減少を見せ、2022年には100トンにとどまりました。ガボンはかつてカカオ生産が活発な国の一つでしたが、長期的な生産量減少傾向が続いており、特に近年はわずかな生産量に停滞しています。
ガボンのカカオ豆生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 100 |
2021年 | 100 |
2020年 | 100 |
2019年 | 100 |
2018年 | 100 |
2017年 | 100 |
2016年 | 100 |
2015年 | 100 |
2014年 | 203 |
2013年 | 200 |
2012年 | 100 |
2011年 | 600 |
2010年 | 100 |
2009年 | 200 |
2008年 | 200 |
2007年 | 100 |
2006年 | 200 |
2005年 | 195 |
2004年 | 200 |
2003年 | 600 |
2002年 | 500 |
2001年 | 416 |
2000年 | 500 |
1999年 | 700 |
1998年 | 500 |
1997年 | 686 |
1996年 | 1,022 |
1995年 | 774 |
1994年 | 718 |
1993年 | 1,966 |
1992年 | 2,925 |
1991年 | 1,802 |
1990年 | 1,502 |
1989年 | 1,800 |
1988年 | 1,802 |
1987年 | 1,574 |
1986年 | 1,628 |
1985年 | 1,500 |
1984年 | 1,595 |
1983年 | 2,500 |
1982年 | 2,900 |
1981年 | 2,850 |
1980年 | 3,814 |
1979年 | 4,754 |
1978年 | 3,710 |
1977年 | 3,573 |
1976年 | 3,573 |
1975年 | 4,549 |
1974年 | 4,869 |
1973年 | 5,151 |
1972年 | 5,030 |
1971年 | 5,031 |
1970年 | 6,095 |
1969年 | 4,366 |
1968年 | 4,751 |
1967年 | 4,061 |
1966年 | 4,296 |
1965年 | 2,170 |
1964年 | 4,000 |
1963年 | 3,600 |
1962年 | 3,360 |
1961年 | 3,190 |
ガボンのカカオ豆生産量は、1960年代から1970年代にかけてへの成長を経験しました。特に1970年には6,095トンと最高値を記録し、この時期にガボンのカカオ産業は一定の活力を見せていました。しかし、1980年代以降、カカオ生産量は顕著に減少し、1990年には1,502トン、2000年には500トンまで低下しました。そして2010年以降の生産量はほぼ横ばいとなり、直近の2022年も100トンと過去に比べ極めて小規模となっています。
1970年代まで安定成長を維持したものの、その後生産量が減少した背景には、農業基盤の整備不足や生産効率の低下、気候変動の影響が挙げられます。加えて、カカオ生産に従事する農民への支援不足や市場アクセスの課題も問題視されています。この流れは、他のアフリカ諸国とも異なります。たとえばコートジボワールやガーナでは、政府主導の支援策や技術開発によって、カカオ生産量が継続的に向上しています。ガボンにおいてはこうした支援策が限定的だったことが、生産量低迷の一因と考えられます。
さらに、地政学的リスクも生産量減少に影響を与えた可能性があります。例えば、農村部での社会インフラの遅れは、生産能力を向上させるための投資を妨げてきました。また、カカオ豆の国際市場における価格の変動も、農家の収入不安定化を招き、生産を縮小せざるを得ない状況を作り出しました。
2020年代以降、新型コロナウイルスのパンデミックもカカオ産業に間接的に影響を与えたと考えられます。労働力不足や物流の停滞が生産と輸出を制約し、さらに経済全体の低迷が農業投資を困難にしました。一方で、自然災害や気候変動による極端な天候は、収穫量の低下を一層助長しています。
将来に向けてガボンのカカオ産業を復興させるには、いくつかの具体策が必要です。まず、農民に対する技術支援プログラムや、農業機械の普及を促進する政策を通じて生産効率を改善することが重要です。また、カカオ農業の魅力を高めるため、若い世代への教育訓練やインセンティブを提供することも必要です。さらに、地域間協力を進めることで、国境を越えた共同開発の枠組みを整えることが将来有効です。
国際的な視点から見ると、ガボンのカカオ産業は未開発の可能性を秘めています。世界的には需要が堅調であり、チョコレート製造などにおける応用が広がる中、ガボンが市場に再参入できれば経済的利益を得る可能性があります。そのためには、国際開発機関と連携し、持続可能な農業基盤の整備を進める必要があります。特に、持続可能な農業手法を採用することは、気候変動適応と生産性向上の両面で重要性を増しています。
結論として、ガボンのカカオ豆生産量の減少は、多岐にわたる国内要因と国際的な課題が絡み合った結果です。しかし、政府と国際機関が協力して適切な政策を実施すれば、この状況を逆転させ、再び経済成長への足がかりとすることができます。そのためには、地域特性を考慮した包括的な計画の策定と、その実行が求められます。