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アンゴラのカカオ豆生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、アンゴラのカカオ豆生産量は1961年の400トンから2022年の450トンへと、長期的に見てほぼ横ばいの傾向が見られます。1970年初頭には一時的に700トンを記録するなど成長が見られたものの、1975年以降には急激な生産量の低下があり、その後1990年代にかけて100トン未満となる時期が続きました。ただし、2003年以降は緩やかな回復が見られ、特に2010年以降は年々微増を続けています。2020年代に入ってからは450トン前後で安定しています。

年度 生産量(トン)
2022年 450
2021年 452
2020年 451
2019年 448
2018年 457
2017年 448
2016年 438
2015年 429
2014年 418
2013年 410
2012年 400
2011年 372
2010年 354
2009年 336
2008年 316
2007年 297
2006年 266
2005年 242
2004年 222
2003年 200
2002年 190
2001年 199
2000年 200
1999年 100
1998年 145
1997年 167
1996年 200
1995年 200
1994年 200
1993年 200
1992年 200
1991年 197
1990年 92
1989年 100
1988年 100
1987年 100
1986年 100
1985年 100
1984年 100
1983年 200
1982年 200
1981年 200
1980年 200
1979年 200
1978年 200
1977年 300
1976年 300
1975年 500
1974年 500
1973年 700
1972年 600
1971年 516
1970年 445
1969年 300
1968年 500
1967年 400
1966年 300
1965年 400
1964年 300
1963年 300
1962年 400
1961年 400

アンゴラのカカオ豆生産量は、過去60年以上にわたる長い視点で見ると、数多くの浮き沈みを経てきました。1961年の400トンから1973年には700トンへと成長を遂げましたが、その後の内戦や政治的混乱により1976年以降は生産量が急激に減少し、一時的に100トンにまで落ち込みました。このような縮小の背景には、1975年のアンゴラ独立とそれに続く内戦が大きく影響しており、農業の基盤が大きく破壊されたことが考えられます。特に、インフラの損傷や労働力不足が生産量に深刻な打撃を与えました。

内戦終結後の2002年以降、緩やかな回復傾向が見られました。この回復には、政府主導の農業復興プロジェクトや海外支援の増加が影響していると推察できます。2003年から2018年にかけては安定した成長が観測され、400トンを超える水準まで改善しました。この時期において、アンゴラの経済成長や農業への投資が主要因とされます。

しかしながら、2019年から2022年のデータからは、生産量が450トン前後で足踏みしている現状が浮き彫りになっています。この停滞は、近年の気候変動の不確実性や労働力の不足、さらには輸出市場の競争激化による影響と関連している可能性があります。また、新型コロナウイルスの流行がもたらした物流の混乱や農業従事者への影響も無視できません。アンゴラはこれらの課題に対応し、持続可能な農業成長を目指すべき現状にあります。

今後、アンゴラがカカオ豆生産の持続可能な成長を確保するためには、複数の具体的な取り組みが必要です。まず、気候変動に強いカカオ品種の開発と導入が急務です。同時に、農民への教育プログラムを充実させ、新しい農業技術の普及を進めるべきです。また、国際市場へのアクセスを強化するため、物流インフラを整備し、電子商取引を活用した輸出戦略を推進することも重要です。さらに、地域全体で国際的な協力体制を構築し、隣国との技術交流や市場連携を進めることは、競争力向上に寄与するでしょう。

アンゴラは、地政学的にはアフリカにおける資源豊富な国ですが、長年の内戦と災害によりカカオ生産が停滞してきたという歴史的な背景を考慮する必要があります。未来に向けて、政府が持続可能な農業政策を進めることや、国際機関が技術・資金援助を提供することが、カカオ豆産業の復活と発展の鍵となるでしょう。このような取り組みは、農業収益の増大だけでなく、地域の経済成長や貧困削減にも大きな影響を与えることが期待されています。