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コモロのカカオ豆生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、コモロのカカオ豆生産量は、1961年から2022年にかけて一貫して大きく変動を経験しました。特に1960年代から1980年代にかけては大きな変動が見られる一方で、1990年代以降は緩やかな増加傾向が観察されます。近年の生産量は42~43トン前後で比較的安定しています。しかし、コモロのカカオ豆生産量は他の主要生産国と比較すると非常に小規模であり、その背景には国内産業基盤や輸出競争力の脆弱性が関係しています。

年度 生産量(トン)
2022年 43
2021年 43
2020年 43
2019年 42
2018年 43
2017年 43
2016年 42
2015年 44
2014年 41
2013年 40
2012年 39
2011年 37
2010年 36
2009年 34
2008年 32
2007年 30
2006年 28
2005年 28
2004年 27
2003年 27
2002年 27
2001年 26
2000年 26
1999年 25
1998年 24
1997年 24
1996年 24
1995年 23
1994年 23
1993年 23
1992年 22
1991年 22
1990年 22
1989年 22
1988年 22
1987年 21
1986年 21
1985年 20
1984年 20
1983年 20
1982年 20
1981年 20
1980年 15
1979年 18
1978年 15
1977年 20
1976年 15
1975年 21
1974年 38
1973年 19
1972年 50
1971年 16
1970年 48
1969年 51
1968年 42
1967年 56
1966年 69
1965年 33
1964年 52
1963年 46
1962年 34
1961年 41

1960年代からコモロのカカオ豆生産量を詳細に見ると、大きな動きと不安定な推移が特徴でした。このような変動は、主に農業政策の不安定性や、気候条件、国内インフラの未整備に起因すると考えられます。例えば、1966年から1969年にかけては、69トンのピークを迎えた後、再び50トン前後に落ち込んでいます。一方で、1970年代後半以降の生産量は15~20トンの範囲で低迷しており、これは国内や国際的な市場競争力の低下や、他作物への生産分散が影響している可能性があります。

1990年代以降、生産量は緩やかに上向きに転じ、2000年代には27~41トンの範囲で成長が続きました。この時期の進展は、技術的な導入や農地回復プログラムが捗った結果とみられます。2010年代から現在において、コモロのカカオ豆生産量は42~43トンで安定していますが、これは世界生産量の中で依然としてごく僅かな割合です。

他国と比較してみても、コモロのカカオ豆生産量は非常に少なく、例えば世界最大のカカオ生産国であるコートジボワールが年間約200万トンを生産するのに対して、コモロでは43トンにとどまっています。また、同じアフリカの他国であるガーナやナイジェリアも数十万トンを生産する中、小規模生産の状況が鮮明です。こうした現状は、コモロの地理的条件、生産技術の普及の遅れ、そして輸出インフラの弱さが主な要因と考えられます。

この状況を打開するためにはいくつかの具体的な提案が考えられます。まず、コモロ政府や国際支援機関による農業技術の向上と支援が必要です。これは、生産効率の向上や土壌改善を目的とした技術導入を含みます。また、輸出のためのインフラ整備も欠かせません。輸送網の改善や貿易政策の見直しを通じて、国際市場でのコモロ産カカオの競争力強化を図ることが重要です。

加えて、持続可能なカカオ生産モデルの推進も検討すべきです。これは、環境負荷を抑えつつ生産性を向上させるアプローチで、国際市場での魅力を高める一方で、長期的な気候変動への対策にもつながります。たとえばココア豆の「フェアトレード」認証取得に向けた取り組みは、コモロのカカオ産業に新たな付加価値をもたらす可能性があります。

コモロのカカオ豆生産の未来は、地政学的・経済的な背景に大きく依存しています。特に周辺諸国や国際市場との関係性が緊密になるほど、小国であるコモロが持つニッチな価値が引き出される可能性もあります。そのため、多国間協力の枠組みを活用し、地域経済圏における独自のポジションを確立することが急務です。

結論として、コモロはカカオ豆の生産地としては小規模ではありますが、持続可能性を重視した農業モデルや輸出戦略を構築することで、長期的な成長ポテンシャルを確保することができます。国際社会や隣接諸国との連携を強化し、国内の基盤整備を推進することが、コモロのカカオ産業の安定と成長への鍵と言えるでしょう。