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インドのカカオ豆生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年の最新データによると、インドのカカオ豆生産量は1977年の300トンから2022年の28,000トンへと大幅に増加しました。このデータは、約45年間にわたる長期的な上昇基調を示し、特に2000年代以降に急激な伸びを見せています。ただし、一部の期間では停滞や増減の変動が見られました。これらの変動は技術革新や市場需要、気候条件など、多岐にわたる要因によるものと考えられます。

年度 生産量(トン)
2022年 28,000
2021年 27,000
2020年 26,000
2019年 24,000
2018年 20,000
2017年 19,000
2016年 17,000
2015年 16,000
2014年 15,000
2013年 13,000
2012年 13,000
2011年 14,400
2010年 12,900
2009年 11,820
2008年 10,560
2007年 10,180
2006年 10,175
2005年 9,250
2004年 9,230
2003年 8,397
2002年 6,780
2001年 6,540
2000年 6,361
1999年 5,198
1998年 5,281
1997年 5,697
1996年 6,282
1995年 5,772
1994年 6,742
1993年 6,000
1992年 6,000
1991年 6,000
1990年 6,000
1989年 6,000
1988年 6,000
1987年 7,000
1986年 6,000
1985年 6,000
1984年 6,000
1983年 6,000
1982年 6,000
1981年 6,000
1980年 6,000
1979年 800
1978年 500
1977年 300

インドにおけるカカオ豆の生産量は、1977年にはわずか300トンにすぎない小規模なものでしたが、2022年には28,000トンと驚異的な増加を遂げました。この間、1980年代は6,000トン前後で長期にわたり横ばい状態にあり、1990年代も5,000〜6,500トンの間での停滞期が続きました。しかし、2000年以降、生産量は堅調に増加し、特に2010年代において顕著な成長が見られました。例えば、2010年の12,900トンが2022年には28,000トンにまで倍増しており、これは平均年成長率にして約7%という高い水準で推移しています。

この大幅な増加には、いくつかの背景があります。第一に、インド国内でのチョコレート需要の拡大が挙げられます。経済成長に伴い中間層の所得が増加し、スイーツや菓子類への消費が大きく伸びています。また、国際市場でのカカオ豆の需要増加も影響しています。これに加え、政府や民間機関による持続可能な農業技術の普及や、生産者へのサポート体制の強化が生産効率の向上につながりました。さらに、気候変動を見据えた適応策や品質向上を目的とした研究・開発の拡充が功を奏していると考えられます。

一方で、インドのカカオ農業にはいくつかの課題も見受けられます。まず、カカオは熱帯特有の気候条件を必要とするため、気候変動の影響を直接受けやすい農作物です。特に高温や暴雨、干ばつといった極端な気象現象は生産性に大きな影響を与えます。また、小規模農家が多いことから、彼らがどのように市場変動や輸出競争に対応するのかが重要な課題となっています。さらに、生産量が増加しても、品質維持や国際市場への競争力を保つためには、持続可能性を重視した生産体制を構築する必要があります。

具体的な対策として、まず、気候変動への適応策を含む農業支援プログラムの強化が求められます。例えば、耐性のあるカカオ品種の開発と普及、灌漑技術の導入、気候データを活用した精密農業の推進が挙げられます。また、小規模農家の収入を安定させるために、農業協同組合の設立や、農産物の付加価値を高める加工産業の発展を支援する政策も有効です。さらに、国際協力を通じて市場アクセスを拡大し、フェアトレード認証の取得といった取り組みも生産者に直接的な経済的恩恵をもたらすでしょう。

このように、インドのカカオ豆生産量は着実に成長を遂げており、国内外の需要拡大に応えるパートナーとして大きな可能性を秘めています。その一方で、持続可能な農業に基づく競争力強化が今後の大きな鍵となるでしょう。気候変動や市場競争といった外的要因に適応できる体制を整えることが、インドのカカオ産業の未来を切り開く重要なステップとなるはずです。