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ブラジルのオリーブ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ブラジルのオリーブ生産量は著しい変化を見せています。1961年にわずか442トンでスタートした生産量は、1980年代後半から1990年代にかけて激減しましたが、2010年から再び回復傾向に転じ、2022年には4,588トンに達しています。このような推移から、ブラジルでのオリーブ生産は多くの課題を抱えながらも復活しつつあることがわかります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 6,864
49.61% ↑
2022年 4,588
34.27% ↑
2021年 3,417
28.89% ↑
2020年 2,651
6.21% ↑
2019年 2,496
54.07% ↑
2018年 1,620
29.6% ↑
2017年 1,250
93.2% ↑
2016年 647
48.74% ↑
2015年 435
-15.04% ↓
2014年 512
93.21% ↑
2013年 265
-8.93% ↓
2012年 291
277.92% ↑
2011年 77
96.63% ↑
2010年 39
3816% ↑
2009年 1 -
2008年 1 -
2007年 1
-50% ↓
2006年 2 -
2005年 2
-33.33% ↓
2004年 3
50% ↑
2003年 2 -
2002年 2 -
2001年 2
-50% ↓
2000年 4
300% ↑
1999年 1
-98.39% ↓
1998年 62
-3.13% ↓
1997年 64
1.59% ↑
1996年 63
2000% ↑
1995年 3
-25% ↓
1994年 4
-80.95% ↓
1993年 21
200% ↑
1992年 7
-30% ↓
1991年 10
-80.77% ↓
1990年 52
79.31% ↑
1989年 29
163.64% ↑
1988年 11
-54.17% ↓
1987年 24
-31.43% ↓
1986年 35
-42.62% ↓
1985年 61
-35.79% ↓
1984年 95
-44.44% ↓
1983年 171
-17.39% ↓
1982年 207
-16.53% ↓
1981年 248
-74.06% ↓
1980年 956
-1.95% ↓
1979年 975
0.21% ↑
1978年 973
-0.41% ↓
1977年 977
-17.9% ↓
1976年 1,190
12.37% ↑
1975年 1,059
3.12% ↑
1974年 1,027
23.14% ↑
1973年 834
0.24% ↑
1972年 832
-16.8% ↓
1971年 1,000
-7.92% ↓
1970年 1,086
4.22% ↑
1969年 1,042
-0.19% ↓
1968年 1,044
0.19% ↑
1967年 1,042
17.21% ↑
1966年 889
2.07% ↑
1965年 871
0.69% ↑
1964年 865
20.47% ↑
1963年 718
24.87% ↑
1962年 575
30.09% ↑
1961年 442 -

ブラジルのオリーブ生産は、歴史的に見て大きな浮き沈みがありました。1960年代から1970年代にかけては安定した成長を見せ、年間1,000トン前後を維持していました。しかし1980年代初頭、突然の生産量の急落が発生し、1981年に248トン、1988年にはわずか11トンにまで減少しました。この減退の主な原因は、農村地域の都市化、主要農産物におけるオリーブの優先順位の低下、さらには輸入オリーブと競合する市場条件の変化でした。

1990年代後半から2000年代初頭にかけてはさらに困難な時期が続きました。この期間、ブラジル国内のオリーブ生産はほぼ停滞し、1999年から2009年には年1~3トンという市場価値をほとんど指標しないレベルまで落ち込みました。しかし、2010年以降のデータは状況が改善したことを如実に示しており、2022年までの約10年間で生産量が飛躍的に増加しました。特に2018年に初めて1,000トン台を突破した後、2022年には4,588トンと、持続的な成長を見せています。

この復活の背景には複数の要因があると考えられます。第一に、土壌管理や農業技術の改善が挙げられます。ブラジル国内では地域に適したオリーブ品種の導入が進み、果樹園の効率的な経営が実現しました。第二に、国内市場でのオリーブオイル需要が増加したことも挙げられます。消費者の健康意識の高まりにより、オリーブオイルを含む製品の需要が拡大し、それに伴い生産にも拍車がかかりました。さらに、政府や地方自治体による補助金や研究開発支援が、特に生産量が目覚ましい増加を遂げた地域で大きな役割を果たしました。

ただし、ブラジルのオリーブ産業には依然として多くの課題があります。現在の生産量はスペインやイタリアといった世界トップクラスの産油国に比べて依然として小規模です。例えば、スペインでは年間1,000万トンを超えるオリーブの収穫があり、ブラジルの数字とは桁違いです。また、地球温暖化による気候変動がオリーブ栽培の持続可能性にどのような影響を与えるかも明確ではありません。特に異常気象の増加は、害虫の発生や収穫量の不安定化を引き起こす可能性があります。

未来に向けた具体的な提言として、まずオリーブ栽培地域の拡大が重要です。ブラジル南部を中心にオリーブが適合する気候の地域があり、それらの地域への新規投資が有効でしょう。また、気候変動への対応策としては、耐乾性や病害虫耐性に強い品種の育成が必要とされます。同時に、生産過程における環境への影響を最小限に抑える持続可能な農業手法を導入することが求められます。

さらに、国内需要と国外市場拡大に対応するため、オリーブ製品のマーケティング戦略を強化することも重要です。特に、高品質なオリーブオイルの輸出を視野に入れることで、ブラジル産オリーブの国際的な地位を築き上げる可能性が高まります。この目的を達成するためには、地域間協力を強化し、生産者間の技術情報共有の枠組みも構築されるべきです。

結論として、ブラジルのオリーブ生産量の推移は、多くの困難を乗り越えて成長をみせている象徴的な例といえます。運輸インフラや技術革新、気候変動に対応する取り組みが持続的になされることで、ブラジルは将来的に世界のオリーブ市場でその存在感を高める可能性があります。この潜在的可能性を最大限に引き出すために、政府、農業団体、地域コミュニティが連携して、戦略的かつ包括的な政策を立案することが不可欠です。