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ブラジルのイチゴ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年最新データによると、ブラジルのイチゴ生産量はこの数十年間で大幅に増加しました。1960年代初期には年間50トンと小規模な生産量に留まっていましたが、2022年には183,923トンに達するなど、長期的に生産が安定して拡大している状況が見られます。特に、1990年代以降から急速な成長が始まり、2010年代後半にかけても大幅な増加を記録しました。一方で、2019年のピークを迎えた後、2020年に一時的な急増が観察されましたが、その後は減少傾向が続いています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 187,796
2.11% ↑
2022年 183,923
-7.47% ↓
2021年 198,774
-9.19% ↓
2020年 218,881
32.3% ↑
2019年 165,440
-7.94% ↓
2018年 179,700
28.81% ↑
2017年 139,508
5.69% ↑
2016年 132,000
-2.22% ↓
2015年 135,000
20.54% ↑
2014年 112,000
-20.57% ↓
2013年 141,000
2.17% ↑
2012年 138,000
2.22% ↑
2011年 135,000
1.21% ↑
2010年 133,391
5.13% ↑
2009年 126,879
1.37% ↑
2008年 125,159
0.39% ↑
2007年 124,675
1.46% ↑
2006年 122,882
1.48% ↑
2005年 121,089
1.5% ↑
2004年 119,296
1.53% ↑
2003年 117,502
1.55% ↑
2002年 115,709
1.57% ↑
2001年 113,916
1.6% ↑
2000年 112,123
1.63% ↑
1999年 110,330
1.65% ↑
1998年 108,536
1.68% ↑
1997年 106,743
1.71% ↑
1996年 104,950
1.74% ↑
1995年 103,157
1.77% ↑
1994年 101,363
1.8% ↑
1993年 99,570
1.83% ↑
1992年 97,777
1.87% ↑
1991年 95,984
4470.66% ↑
1990年 2,100
5% ↑
1989年 2,000
-9.09% ↓
1988年 2,200
4.76% ↑
1987年 2,100
5% ↑
1986年 2,000 -
1985年 2,000 -
1984年 2,000
100% ↑
1983年 1,000 -
1982年 1,000
-50% ↓
1981年 2,000
11.11% ↑
1980年 1,800
200% ↑
1979年 600
9.09% ↑
1978年 550 -
1977年 550
10% ↑
1976年 500 -
1975年 500 -
1974年 500 -
1973年 500
-16.67% ↓
1972年 600
-14.29% ↓
1971年 700
16.67% ↑
1970年 600 -
1969年 600
100% ↑
1968年 300
50% ↑
1967年 200
33.33% ↑
1966年 150
15.38% ↑
1965年 130
30% ↑
1964年 100 -
1963年 100
100% ↑
1962年 50 -
1961年 50 -

ブラジルのイチゴ生産量の推移を詳しく見ると、1960年代から1980年代までは比較的低い水準で推移していました。この期間、年間生産量は数百トンから数千トンの範囲内に留まり、成長は緩やかでした。しかし、1991年には生産量が95,984トンに急増し、以後は急激な成長が確認されます。この大規模な変化は、生産技術の改良や栽培適地の拡大、国内外の需要の増加に起因すると考えられます。また、農業政策の支援や輸出の活性化も重要な要因となりました。

2000年代には12万トンを超える安定した生産量を維持していましたが、2010年代に入るとさらに急速な成長が見られるようになります。2018年には179,700トン、2020年には218,881トンと高いピークに達しました。この増加は、世界的なスーパーフードブームや健康志向により、ブラジル産イチゴの需要が特に国際市場で拡大したことに関連しています。また、ブラジル国内では販売網の強化や輸送インフラの改善が生産者にとっても有利に働いています。

一方で、2020年以降のデータから、小規模な減少傾向が観察され始めています。2021年には198,774トン、2022年には183,923トンと、ピーク年の2020年からやや減少しました。これは、新型コロナウイルスによる影響や気象変動、大雨や高温といった自然災害の影響、さらには地政学的な貿易摩擦などが複合的に関わっている可能性があります。また、世界市場では競争が激化しており、大規模生産国である中国やアメリカと比較すると、ブラジルの競争力が課題として浮上しています。

この状況を踏まえると、ブラジルが今後も安定したイチゴ生産を続けるためには、まず、気候変動対策として栽培技術を高度化させ、水管理技術や耐旱性品種の開発を進める必要があります。また、地域ごとの生産者ネットワークを強化し、協力的な農業プロジェクトを展開することで、小規模農家が恩恵を受ける環境を整えることも重要です。さらに、輸出市場の多様化も進め、中国やアメリカに加え、ヨーロッパやアジア太平洋地域などの新しい市場を模索することが求められます。

結論として、ブラジルのイチゴ生産は過去数十年で顕著な成長を遂げており、依然として高い可能性を秘めています。しかし、気候変動や国際的競争、市場の変化に対する対応が今後の生産の安定性に大きく影響を与えると言えます。国際機関や政府、農家が協力して対策を講じ、革新的な政策を継続的に実行することが、ブラジルのイチゴ産業の未来の鍵を握ると考えられます。