Skip to main content

ブラジルのオート麦生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ブラジルのオート麦生産量は1961年に20,762トンだったのに対し、2022年には1,296,345トンと大幅に増加しました。21世紀初頭に入って急激に生産量が増加し、特に近年では高い水準を記録しています。しかし、2023年は907,046トンに減少し、生産量の一時的な落ち込みが見られます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 907,046
-30.03% ↓
2022年 1,296,345
18.66% ↑
2021年 1,092,473
21.6% ↑
2020年 898,405
-3.43% ↓
2019年 930,281
3.45% ↑
2018年 899,244
43.7% ↑
2017年 625,769
-28.31% ↓
2016年 872,830
72.85% ↑
2015年 504,957
16.85% ↑
2014年 432,136
-16.96% ↓
2013年 520,397
20.74% ↑
2012年 431,024
15.55% ↑
2011年 373,009
-5.58% ↓
2010年 395,056
56.46% ↑
2009年 252,503
5.86% ↑
2008年 238,516
0.3% ↑
2007年 237,801
-41.38% ↓
2006年 405,657
-22.35% ↓
2005年 522,428
13.69% ↑
2004年 459,526
5.62% ↑
2003年 435,092
45.67% ↑
2002年 298,686
-12.79% ↓
2001年 342,476
59.83% ↑
2000年 214,276
-25.61% ↓
1999年 288,058
38.99% ↑
1998年 207,251
-9.39% ↓
1997年 228,741
5.2% ↑
1996年 217,426
20.2% ↑
1995年 180,880
-30.7% ↓
1994年 260,995
-0.69% ↓
1993年 262,816
-11.62% ↓
1992年 297,361
29.05% ↑
1991年 230,423
29.63% ↑
1990年 177,760
-22.11% ↓
1989年 228,208
74.48% ↑
1988年 130,792
-21.28% ↓
1987年 166,150
27.43% ↑
1986年 130,382
-21.53% ↓
1985年 166,158
46.36% ↑
1984年 113,529
22.31% ↑
1983年 92,824
51.01% ↑
1982年 61,469
-37.58% ↓
1981年 98,475
30.24% ↑
1980年 75,609
31.35% ↑
1979年 57,564
6.7% ↑
1978年 53,947
44.13% ↑
1977年 37,430
-3.93% ↓
1976年 38,962
-6.33% ↓
1975年 41,593
23.31% ↑
1974年 33,731
-11.08% ↓
1973年 37,934
51.27% ↑
1972年 25,077
-13.23% ↓
1971年 28,899
8.02% ↑
1970年 26,754
3.6% ↑
1969年 25,824
0.92% ↑
1968年 25,589
20.28% ↑
1967年 21,274
-8.45% ↓
1966年 23,238
0.89% ↑
1965年 23,033
19.5% ↑
1964年 19,274
6.06% ↑
1963年 18,173
-8.94% ↓
1962年 19,957
-3.88% ↓
1961年 20,762 -

ブラジルのオート麦生産量は、1961年以降、緩やかな増加から始まり、その後1970年代後半から明確な上昇トレンドを示しています。この上昇の背景には、農業技術の向上や新たな栽培地の開拓がありました。1985年には166,158トンに達し、さらに1990年代には増産が加速しました。特に2000年代以降、ブラジル国内外の需要増加を受け、生産力を高める取り組みが進みました。

注目すべきは近年の増加量です。2016年には872,830トンと過去最高を記録し、その後多少の変動が見られるものの、2022年には1,296,345トンという最高値を記録しました。そして2023年には一転して907,046トンと減少に転じましたが、依然として歴史的な水準と比較すると高い生産量を維持しています。

こうした生産量の変動には、気候条件、国内外市場の需給動向、政府の農業政策が影響を与えています。ブラジルはオート麦の輸出国としてだけでなく、国内でもパンや菓子類、動物飼料の原材料として消費量が増加しており、世界的な需要の高まりにも対応してきました。他国と比較すると、ブラジルの生産量はアメリカやカナダなど主要なオート麦生産国と肩を並べる水準に近づいており、国際市場における競争力を高めつつあります。

ただし、近年の増加には課題も顕在化しています。一つは、安定的な生産を支えるインフラ整備と気候変動への対応です。2023年の減少は、干ばつや洪水といった異常気象が原因とみられ、今後もそのようなリスクが懸念されます。また、農業技術や資材への依存が高まる中、小規模農家が自立的に生産を続けるための仕組み作りも重要な課題となります。

これを受け、ブラジル政府および国際機関は、以下のような対策を検討すべきです。一つは、気候変動に対応した作物の開発と普及です。耐久性の高い品種を普及させ、異常気象の中でも安定的に収穫できるようにするべきです。また、農業生産に利用する灌漑設備や輸送インフラの最新版化によって、生産効率を高めると同時に物流の安定性を向上させる必要があります。さらに、地元の小規模農家が技術革新を活用できるよう、金融支援や教育プログラムも欠かせません。

地政学的背景の観点からも、ブラジルのオート麦生産は今後非常に重要となるでしょう。ウクライナとロシアの紛争により世界的な穀物価格が不安定な現在、ブラジルの安定的な供給能力は、世界の食糧安全保障に寄与する大きな可能性を秘めています。したがって、持続可能な農業政策と輸出の多様化は、グローバル市場での地位を強化するために必須です。

結論として、ブラジルのオート麦生産は着実に成長しており、世界の穀物市場における重要なプレイヤーとなっています。しかし、気候変動や市場の不確実性への備えを強化することが急務です。国際協力を深めつつ、国内の構造改革や技術革新を進めることで、ブラジルは安定した生産体制を維持しつつ、さらなる成長を遂げることが期待されます。