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ブラジルの大麦生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、2023年のブラジルの大麦生産量は375,423トンで、前年の521,996トンから急減しました。特に1960年代初頭の数万トン規模から、2020年代には40万から50万トン規模へと変動しながらも増加傾向にあります。近年の生産量の増加は技術革新や農業インフラ改善の影響が見られますが、2023年の急減は気候危機や経済的課題など多くの要因を反映していると推測されます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 375,423
-28.08% ↓
2022年 521,996
15.27% ↑
2021年 452,827
16.97% ↑
2020年 387,146
-4.55% ↓
2019年 405,615
22.77% ↑
2018年 330,374
9.13% ↑
2017年 302,731
-20.27% ↓
2016年 379,687
103.82% ↑
2015年 186,285
-25.94% ↓
2014年 251,539
-23.93% ↓
2013年 330,682
24.77% ↑
2012年 265,025
-12.78% ↓
2011年 303,872
9.09% ↑
2010年 278,558
38.41% ↑
2009年 201,249
-15.05% ↓
2008年 236,912
0.57% ↑
2007年 235,577
16.08% ↑
2006年 202,940
-37.8% ↓
2005年 326,251
-17.85% ↓
2004年 397,160
15.01% ↑
2003年 345,320
41.18% ↑
2002年 244,600
-17.87% ↓
2001年 297,824
5.3% ↑
2000年 282,826
-12.11% ↓
1999年 321,789
7.12% ↑
1998年 300,389
16.05% ↑
1997年 258,847
23.72% ↑
1996年 209,215
99.95% ↑
1995年 104,634
15.47% ↑
1994年 90,614
-17.59% ↓
1993年 109,952
-12.19% ↓
1992年 125,219
12.15% ↑
1991年 111,650
-29.04% ↓
1990年 157,353
-36.42% ↓
1989年 247,502
97.16% ↑
1988年 125,533
-35.46% ↓
1987年 194,514
4.93% ↑
1986年 185,376
8.65% ↑
1985年 170,618
120.1% ↑
1984年 77,517
-37.95% ↓
1983年 124,931
26.8% ↑
1982年 98,524
-10.33% ↓
1981年 109,877
47.13% ↑
1980年 74,680
-23.89% ↓
1979年 98,125
-31.82% ↓
1978年 143,917
51.07% ↑
1977年 95,266
54.78% ↑
1976年 61,550
141.72% ↑
1975年 25,463
111.17% ↑
1974年 12,058
-6.2% ↓
1973年 12,855
-16.75% ↓
1972年 15,442
-21.4% ↓
1971年 19,647
-26.51% ↓
1970年 26,735
-12.69% ↓
1969年 30,620
5.63% ↑
1968年 28,988
-5.52% ↓
1967年 30,682
-11.59% ↓
1966年 34,705
26.43% ↑
1965年 27,451
-4.25% ↓
1964年 28,668
39.95% ↑
1963年 20,484
-25.88% ↓
1962年 27,637
13.69% ↑
1961年 24,310 -

ブラジルの大麦生産量は1961年の24,310トンから始まり、1980年代に10万~20万トン規模に成長しました。そして1998年には初めて30万トンを超え、2000年代後半には年間40万トン規模に到達しました。この成長は主に、ブラジルの農業技術の進歩に加え、国内外での大麦需要の高まりによるものです。アルコール飲料や飼料産業に不可欠な大麦は、ブラジル国内での需要増加だけでなく輸出品目としても注目されています。

それでも、この期間には生産量の大幅な変動がたびたび見られます。たとえば、1976年から1980年の間に生産量が急激に増加した一方で、1990年代中期には一時的に低迷しました。また2019年から2021年には着実な成長を記録し、2022年には521,996トンまで上昇しましたが、2023年には375,423トンに減少しました。この急激な減少は、気候変動による旱魃や洪水の影響、地政学的な経済課題、新型コロナウイルスのパンデミックからの回復過程といった外的要因が絡み合っていると考えられます。これらの要因は収穫量の不確実性を高め、国内農家の収益安定にも影響を及ぼしています。

地域ごとには、大麦の生産は主に南部のリオグランデ・ド・スル州やサンタカタリーナ州など冷涼な気候を持つ地域に集中しており、これらの地域では年間生産量の大部分が確保されています。しかし最近の気象パターンの変化がこうした地域経済にも影響を及ぼしています。特に旱魃の影響を受ける地域では種子改良プロジェクトや灌漑インフラ拡充の緊急性が叫ばれています。

国際的な視点で見ると、ブラジルはヨーロッパやオーストラリアなどの大麦大生産国と比べると依然生産規模では劣ります。ただ、大麦の加工品への需要が増大するアジア市場へのアクセスを考慮すると、ブラジルの生産量と品質を向上させる重要性が高まっています。また、中国や日本といった主要輸出相手国のニーズに応えるためには、品質基準を向上させるとともに、安定して供給が可能な貿易体制の構築が求められます。

将来を見据えた対策としては、まず気候変動に適応するための耐乾燥性品種を開発する努力が鍵となります。また、政府主導で農業インフラを整備し、灌漑技術や農業機械の導入を支援することも重要です。さらに国際市場で競争力を強化するため、農地管理の効率化や環境対応型農業への移行も促進する必要があります。

結論として、ブラジルの大麦生産は長期的に成長してきましたが、生産量の変動や外的要因によって課題も増大しています。それぞれの課題に対して具体的な解決策を講じることで、国内だけでなく輸出市場でもブラジルの競争力を高めることが可能となるでしょう。そして、持続可能な農業の実現がブラジル農業全体の発展にとって重要な鍵となるといえます。