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ブラジルのクルミ(胡桃)生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、2023年のブラジルにおけるクルミ生産量は7,194トンとなり、前年の6,127トンから増加しています。長期的な推移を見ると、1960年代から1980年代にかけて生産量が非常にゆっくりと増加し始め、1990年代には大幅な増加が観察されました。その後、2009年以降はさらに急速な成長期に入りましたが、年ごとの変動が大きいのが特徴です。過去数十年間のデータからは、天候や市場需要の変動、技術革新の進展が生産量に与える影響が伺えます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 7,194
17.41% ↑
2022年 6,127
-1.42% ↓
2021年 6,215
48.61% ↑
2020年 4,182
-17.86% ↓
2019年 5,091
-29.33% ↓
2018年 7,204
-8.89% ↓
2017年 7,907
43.74% ↑
2016年 5,501
5.77% ↑
2015年 5,201
-4.09% ↓
2014年 5,423
3.73% ↑
2013年 5,228
-10.13% ↓
2012年 5,817
1.54% ↑
2011年 5,729
7.71% ↑
2010年 5,319
16.36% ↑
2009年 4,571
97.54% ↑
2008年 2,314
4% ↑
2007年 2,225
0.23% ↑
2006年 2,220
2.02% ↑
2005年 2,176
1.4% ↑
2004年 2,146
26.31% ↑
2003年 1,699
-11% ↓
2002年 1,909
-19.01% ↓
2001年 2,357
-9.83% ↓
2000年 2,614
5.53% ↑
1999年 2,477
7.6% ↑
1998年 2,302
1.28% ↑
1997年 2,273
11.7% ↑
1996年 2,035
-30.92% ↓
1995年 2,946
5.52% ↑
1994年 2,792
-21.77% ↓
1993年 3,569
9.04% ↑
1992年 3,273
-7.15% ↓
1991年 3,525
23.47% ↑
1990年 2,855
46.79% ↑
1989年 1,945
4.29% ↑
1988年 1,865
16.64% ↑
1987年 1,599
-10.42% ↓
1986年 1,785
13.77% ↑
1985年 1,569
10.18% ↑
1984年 1,424
8.04% ↑
1983年 1,318
-12.89% ↓
1982年 1,513
5.8% ↑
1981年 1,430
29.18% ↑
1980年 1,107
9.39% ↑
1979年 1,012
14.87% ↑
1978年 881
-5.78% ↓
1977年 935
9.87% ↑
1976年 851
29.14% ↑
1975年 659
11.51% ↑
1974年 591
-65.68% ↓
1973年 1,722
176.85% ↑
1972年 622
9.12% ↑
1971年 570
19.75% ↑
1970年 476
10.44% ↑
1969年 431
1.65% ↑
1968年 424
-20.6% ↓
1967年 534
-11.59% ↓
1966年 604
34.82% ↑
1965年 448
50.84% ↑
1964年 297
-36.54% ↓
1963年 468
50% ↑
1962年 312
-2.19% ↓
1961年 319 -

ブラジルのクルミ(胡桃)生産量は、国際市場における需要の高まりや農業生産手法の発展を受けて、長期間にわたる成長を遂げてきました。1961年の319トンという modest なスタートから、2023年には7,194トンに到達しました。この大幅な増加は、ブラジル国内でのクルミ需要の拡大や国際輸出市場でのブラジル産ナッツの人気が寄与していると考えられます。

データを見ると、1990年代以降、特に1990年から1991年にかけての急激な増加が目を引きます。この時期における急成長は、新しい農業技術の導入、農地面積の拡大、そしてクルミを取り巻くサプライチェーンの整備が功を奏した結果だと言われています。また、2009年から2012年にかけて再び大きく生産量が拡大した背景には、国内外での健康志向食品としてのナッツ需要の増加が影響したと推測されます。

一方で、生産量の年ごとの変動が大きいことも問題として挙げられています。特に、2019年から2020年にかけて生産量が5,091トンから4,182トンに減少したことは注目すべきであり、この背景として想定される要因には、気候変動の影響やブラジル国内の経済情勢の変化が挙げられます。ブラジルは気候リスクの高い地域であり、干ばつや豪雨などが農業生産に深刻な影響を与える可能性があります。加えて、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックも2020年における農産物の供給チェーンに混乱をもたらし、生産と輸出の停滞を引き起こした要因であると考えられます。

また、1990年代後半や2000年代初頭には2,000トン前後の生産量に停滞する時期も見られます。この時期の停滞は、農業インフラの未整備、経済的な不安定さ、また商品価格の変動による農家への影響が関連していると分析されます。

現在、ブラジルは経済競争力を強化するため、多角的な努力を続けていますが、気候変動は最大の課題と言えます。収量を安定させて増加させるためには、耐気候性品種の開発や農地の灌漑設備の拡充、そして農家への技術支援が必要です。また、国際市場の需要を安定的に取り込むため、生産地からの輸送や保管の効率化、買い手に対するマーケティングの強化も重要な施策となります。さらに、気候変動の影響が強まる現代においては、国際的な協力や政策フレームワークの中で持続可能な農業実践を実現することが不可欠です。

地政学的な観点では、ブラジルは世界でも有数のナッツ輸出国として、中国やアメリカ、ヨーロッパ諸国に製品を輸出しています。ただし、貿易摩擦や地政治的リスクが増加する中で、安定的な輸出ルートの確保が課題となっています。特に、主要輸出相手国の政策変更や保護主義的な動きに敏感に対応することが求められます。

今後、ブラジルが持続的にクルミ生産量を増やし、輸出を拡大するには、まず国内の農業政策を強化するとともに、気候変動への適応力を高める必要があります。また、有機農業やサステナビリティに焦点を当てた生産手法への転換も新しい市場機会として考えられます。このように、多面的な取り組みがブラジルのクルミ生産量をさらに向上させ、世界市場での存在感をより一層強化するための鍵となるでしょう。