国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、2022年、ブラジルのトウモロコシ生産量は約1億940万トンに達し、長期的な増加傾向を維持しています。注目すべきは、2000年代以降の収穫量の急激な増大で、特に2012年以降、技術革新と農業政策の強化により生産量が倍増しています。一方で、天候や地政学的な影響により一部の年度で生産量が変動している現状も見られます。
ブラジルのトウモロコシ生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 109,420,717 |
2021年 | 88,272,116 |
2020年 | 103,990,935 |
2019年 | 101,126,409 |
2018年 | 82,366,531 |
2017年 | 97,910,658 |
2016年 | 64,188,314 |
2015年 | 85,283,074 |
2014年 | 79,881,614 |
2013年 | 80,273,172 |
2012年 | 71,072,810 |
2011年 | 55,660,235 |
2010年 | 55,364,271 |
2009年 | 50,719,822 |
2008年 | 58,933,347 |
2007年 | 52,112,217 |
2006年 | 42,661,677 |
2005年 | 35,113,312 |
2004年 | 41,787,558 |
2003年 | 48,327,323 |
2002年 | 35,940,832 |
2001年 | 41,962,475 |
2000年 | 32,321,000 |
1999年 | 32,239,479 |
1998年 | 29,601,753 |
1997年 | 32,948,044 |
1996年 | 29,652,791 |
1995年 | 36,266,951 |
1994年 | 32,487,625 |
1993年 | 30,055,633 |
1992年 | 30,506,127 |
1991年 | 23,624,340 |
1990年 | 21,347,770 |
1989年 | 26,589,870 |
1988年 | 24,749,550 |
1987年 | 26,786,650 |
1986年 | 20,541,230 |
1985年 | 22,018,176 |
1984年 | 21,164,144 |
1983年 | 18,731,216 |
1982年 | 21,842,480 |
1981年 | 21,116,912 |
1980年 | 20,372,080 |
1979年 | 16,306,380 |
1978年 | 13,569,401 |
1977年 | 19,255,936 |
1976年 | 17,751,072 |
1975年 | 16,334,516 |
1974年 | 16,273,227 |
1973年 | 14,185,877 |
1972年 | 14,891,444 |
1971年 | 14,129,749 |
1970年 | 14,216,009 |
1969年 | 12,693,435 |
1968年 | 12,813,638 |
1967年 | 12,824,380 |
1966年 | 11,371,455 |
1965年 | 12,111,921 |
1964年 | 9,408,043 |
1963年 | 10,418,267 |
1962年 | 9,587,285 |
1961年 | 9,036,237 |
ブラジルのトウモロコシ生産量は、1961年に約900万トンと控えめな数字からスタートしましたが、その後の60年間で目覚ましい成長を遂げています。特に2000年代以降のトウモロコシ生産量の増加は顕著で、2022年には約1億940万トンに達しました。この増加の背景には、灌漑技術の進化、耐乾性品種の導入、そして農業従事者への支援政策が挙げられます。
2000年代中頃の約3500万トン規模から、2012年には7000万トンを超えるほどの生産量増加が見られました。この結果は、政府が進めた農業技術支援や商業環境の整備が実を結んだものと考えられます。また、2010年代には中国やインドといった人口の多い新興市場への輸出拡大も、生産規模拡大の引き金となりました。2022年時点で1億トンを超える水準まで成長したことは、ブラジルがアメリカに次ぐ世界第2位のトウモロコシ輸出国としての地位を確固たるものにした証拠です。
しかし、トウモロコシ生産を巡る課題も存在します。一例として、気象条件への依存度が高いことが挙げられます。たとえば、2016年と2021年には干ばつが影響し、収穫量が一時的に減少しました。このような気候リスクは、規模の拡大にともなって一層顕著になります。さらに、地政学的な側面として、中国やロシアとの貿易関係や輸入国での政治的情勢が重要な影響を与えています。近年はウクライナ危機が世界的な穀物市場に影響を及ぼし、ブラジルの輸出機会が増加した一方で、こうした不安定な状況への対応が求められます。
今後の課題として、気候変動に伴う天候リスクへの対応と、持続可能な農業の実現が挙げられます。具体的には、高温や干ばつにも耐えうるトウモロコシの品種開発を強化するとともに、灌漑システムのさらなる整備が急務です。また、農地拡大による森林伐採が環境問題として国際的な批判を受ける可能性が高まっているため、国内外の環境保護基準を満たした効率的な農業政策が求められます。
さらに、EUや中国など主要貿易相手国の輸入規制の影響を抑えるため、輸出相手先の多様化や、国内での穀物加工技術による付加価値向上も推進されるべきです。特に急速な見通しとして、気象変動リスクを軽減するための国際協力や、日本を含む他国と気候政策・農業技術の情報共有を進める枠組みが必要とされます。
総じて、ブラジルのトウモロコシ生産はその規模と成長の速度から見て、世界的な食糧需給における重要な柱といえます。しかし、この成長を持続可能な形で保つためには、気候変動や地政学的リスクに向き合う努力が不可欠です。国際連携と技術革新による対応策を講じていくことで、ブラジルは世界的な食糧安定供給のリーダーシップを確立することが期待されます。