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ブラジルの茶葉生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ブラジルの茶葉生産量は1961年に5,000トンでスタートし、1980年代後半にピークを迎えた後、複数の要因から減少傾向に転じました。1991年と1993年には特異的な生産量の増加(それぞれ44,683トン、45,534トン)が見られましたが、2020年代は年間2,000トン規模にまで縮小しています。この推移からは、長期的な生産減少傾向が明確に示されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,011
-0.1% ↓
2022年 2,013
-0.3% ↓
2021年 2,019
0.45% ↑
2020年 2,010
-1.66% ↓
2019年 2,044
-1.68% ↓
2018年 2,079
5.32% ↑
2017年 1,974 -
2016年 1,974
-27.53% ↓
2015年 2,724
-55.43% ↓
2014年 6,112
86.23% ↑
2013年 3,282
-49% ↓
2012年 6,435
-57.5% ↓
2011年 15,140
-17.72% ↓
2010年 18,400
-8.7% ↓
2009年 20,153
-1.39% ↓
2008年 20,437
338.66% ↑
2007年 4,659
-73.27% ↓
2006年 17,430
-9.41% ↓
2005年 19,240
-16.34% ↓
2004年 22,997
-3.81% ↓
2003年 23,909
-36.01% ↓
2002年 37,364
4.19% ↑
2001年 35,860
-0.75% ↓
2000年 36,131
19.67% ↑
1999年 30,192
20.88% ↑
1998年 24,977
-5.67% ↓
1997年 26,477
-0.41% ↓
1996年 26,585
-28.19% ↓
1995年 37,019
-12.24% ↓
1994年 42,182
-7.36% ↓
1993年 45,534
75.87% ↑
1992年 25,890
-42.06% ↓
1991年 44,683
355.34% ↑
1990年 9,813
-0.25% ↓
1989年 9,838
3.33% ↑
1988年 9,521
-21.75% ↓
1987年 12,168
0.31% ↑
1986年 12,130
12.08% ↑
1985年 10,823
1.12% ↑
1984年 10,703
16.39% ↑
1983年 9,196
-18.42% ↓
1982年 11,272
11.81% ↑
1981年 10,081
3.85% ↑
1980年 9,707
3.29% ↑
1979年 9,398
2.2% ↑
1978年 9,196
18.8% ↑
1977年 7,741
-1.01% ↓
1976年 7,820
1.81% ↑
1975年 7,681
19.18% ↑
1974年 6,445
-0.4% ↓
1973年 6,471
-1.48% ↓
1972年 6,568
0.32% ↑
1971年 6,547
11.95% ↑
1970年 5,848
27.52% ↑
1969年 4,586
18.99% ↑
1968年 3,854
9.74% ↑
1967年 3,512
4.37% ↑
1966年 3,365
-45.97% ↓
1965年 6,228
-0.05% ↓
1964年 6,231
1.6% ↑
1963年 6,133
21.59% ↑
1962年 5,044
0.88% ↑
1961年 5,000 -

ブラジルの茶葉生産量は、1960年代には年間5,000トン前後で緩やかに増加し、1970年代後半以降は徐々に生産規模を拡大していきました。1980年代には10,000トンを超える水準に安定し、1990年代初頭には突如として生産量が飛躍的に増加する特異的な動きも確認されています。特に1991年の44,683トンと1993年の45,534トンは、その前後の生産量と比較して異例の数字です。しかし、その後まもなく生産量が減少し始め、2000年代には一部の年を除いて再び減少基調をたどります。特に2010年代以降、生産量は劇的に縮小し、2020年代には年間2,000トン前後で停滞している状況です。

この長期にわたる生産減少には、いくつかの背景と要因が存在します。まず、地政学的背景や気候変動の影響が挙げられます。ブラジルの主要農業地域では、干ばつや異常気象が頻繁に発生しており、特に茶葉のような高い栽培条件を要求する作物の生産には不利に働いています。また、土地の使用目的がより利益性の高い作物にシフトしている点も無視できません。例えば、ブラジルは世界有数の大豆やコーヒーの生産国として知られており、これら作物の栽培が茶葉の生産地域を圧迫していると考えられます。

さらに、ブラジル国内および国際市場における茶の需要変化も重要な要因です。日本、中国、インドといった大型の茶生産国や消費国が存在する中で、ブラジル産の茶葉が市場で競争力を持つのは困難と言えます。特に中国は茶葉の最大の生産・輸出国であり、その供給力と品質基準はブラジルを含む他国にプレッシャーを与えています。これにより、ブラジルは茶葉生産に対する優先度を下げ、他の農業産品に注力する動きが見られるのです。

このような生産量の減少には課題も多いですが、可能性も秘められています。例えば、低迷している茶葉生産量を改善するためには、気候変動に強い新品種の導入や、効率的な灌漑システムの採用といった技術革新が必要です。また、茶葉のブランド化や有機栽培など、付加価値の高い製品での展開がブラジル茶産業の復活に寄与する可能性があります。特に、近年の国際市場では健康志向の高まりが顕著であり、有機茶や特定の効能を持つ茶葉への需要が拡大しています。このトレンドに乗ることで、ブラジル産茶葉の競争力を回復させる余地があります。

さらに、地域間連携の枠組みづくりも有効です。例えば南米の他国と協力して、生産と流通の効率化を目指すことができます。また、国際的なマーケティング戦略を共に立案することで、ブラジルが得意とする多様な食文化を背景に、茶葉の独自性をアピールすることも考えられます。

結論として、ブラジルの茶葉生産は現在停滞しているものの、対応次第では新たな発展の道を切り開ける可能性があります。そのためには、国際市場を視野に入れた戦略的な施策や、国内農業政策との連携が重要です。また、国際機関や貿易パートナーとも協力し、ブラジルらしい革新的かつ持続可能な生産体制を構築することが求められます。