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ブラジルの桃(モモ)・ネクタリン生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、ブラジルにおける1961年から2023年までの桃(モモ)・ネクタリン生産量は、大きな変動を経ながらもおおむね増加傾向にあります。初期の1961年には約53,739トンであった生産量は、2000年代初頭には急速に増加し、2008年には239,149トンとピークを迎えました。その後は減少と回復を繰り返す動きが見られますが、2023年には200,710トンと再び落ち着いた数値を記録しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 200,710
-3.89% ↓
2022年 208,823
4.93% ↑
2021年 199,010
-1.41% ↓
2020年 201,856
10.48% ↑
2019年 182,704
-16.8% ↓
2018年 219,603
-12.32% ↓
2017年 250,449
29.44% ↑
2016年 193,480
-10.53% ↓
2015年 216,241
2.43% ↑
2014年 211,109
-3.03% ↓
2013年 217,706
-6.56% ↓
2012年 232,987
4.86% ↑
2011年 222,180
-0.1% ↓
2010年 222,402
2.85% ↑
2009年 216,236
-9.58% ↓
2008年 239,149
28.6% ↑
2007年 185,959
-6.89% ↓
2006年 199,719
-15.18% ↓
2005年 235,471
-0.11% ↓
2004年 235,720
6.97% ↑
2003年 220,364
0.95% ↑
2002年 218,292
-1.95% ↓
2001年 222,636
22.02% ↑
2000年 182,460
38.96% ↑
1999年 131,300
-6.25% ↓
1998年 140,047
9.17% ↑
1997年 128,281
23.85% ↑
1996年 103,577
-30.89% ↓
1995年 149,867
10.05% ↑
1994年 136,187
6.96% ↑
1993年 127,321
9.18% ↑
1992年 116,612
20.63% ↑
1991年 96,672
-5.95% ↓
1990年 102,791
17.95% ↑
1989年 87,151
-20.99% ↓
1988年 110,307
2.24% ↑
1987年 107,893
1.4% ↑
1986年 106,405
7.35% ↑
1985年 99,122
-11.17% ↓
1984年 111,591
0.74% ↑
1983年 110,772
7.67% ↑
1982年 102,879
-0.66% ↓
1981年 103,559
-9.45% ↓
1980年 114,367
7.27% ↑
1979年 106,614
0.67% ↑
1978年 105,903
1.42% ↑
1977年 104,419
-26.33% ↓
1976年 141,730
-1.72% ↓
1975年 144,204 -
1974年 144,209
3.34% ↑
1973年 139,542
17.69% ↑
1972年 118,566
1.98% ↑
1971年 116,263
-2.9% ↓
1970年 119,736
22.89% ↑
1969年 97,434
7.64% ↑
1968年 90,518
-21.98% ↓
1967年 116,021
53.29% ↑
1966年 75,685
-20.01% ↓
1965年 94,613
32% ↑
1964年 71,674
-10.21% ↓
1963年 79,826
42.12% ↑
1962年 56,168
4.52% ↑
1961年 53,739 -

ブラジルの桃・ネクタリンの生産量は、1961年の53,739トンから2023年の200,710トンまで、長期的に見れば大幅な増加を遂げています。しかし、その過程にはいくつもの変動があり、その背景を分析することでいくつかの課題や要因が明確になっています。たとえば、1970年代から1980年代にかけて一時的な増加が認められる一方で、1989年には87,151トンまで生産量が落ち込んでいます。この時期には、農業技術の遅れや天候不順などが影響した可能性があります。一方で、2000年代初頭には生産量が著しく増加し、2008年に239,149トンという最高値を記録しました。この急増には、ブラジルの農業技術の進展や市場需要の高まりが背景として挙げられます。

その後、2010年代後半には再び低迷がみられ、特に2020年以降は200,000トンを下回る年が続いています。これには気候変動の影響が無視できない要因として挙げられます。また、新型コロナウイルスのパンデミックにより、労働力やサプライチェーンに問題が生じたことも生産量に影響を与えた可能性があります。一方で、2022年には208,823トンと若干回復を見せていますが、以前の勢いには戻り切れていません。

国際的に見ると、桃・ネクタリンの生産では中国が最大の生産国として圧倒的なシェアを保持しています。それに続くのがイタリアやスペインなどのヨーロッパ諸国です。これらの国々と比較すると、ブラジルの生産量は決して上位とは言えません。しかし、同国内での市場需要を満たすだけでなく、将来的な輸出拡大の可能性を秘めています。

ブラジルの桃・ネクタリンに関する最大の課題は、気候変動に伴う影響です。桃やネクタリンは気候条件に敏感な作物であり、特に適切な温度や降水量が不可欠です。そのため、旱魃や洪水といった極端な気候現象は生産に大きな打撃を与えます。また、農業技術の更新や効率化の遅れも生産量の停滞を招いています。このような状況下で、ブラジルが競争力を維持するためには、効率性の高い農法の導入や気候リスクに対応した新たな技術の開発が求められるでしょう。

さらに、地域的な格差を考慮した政策が重要です。ブラジル国内では農業の中心地である南部地域に生産が集中しており、他地域の発展が遅れがちです。これを是正するためには、農村地域へのインフラ投資を増やし、農家への技術支援を強化する必要があります。また、国内市場だけでなく、近隣諸国や他地域への輸出拡大に向けた物流インフラの改善も欠かせません。

地政学的には、ブラジルの農業セクターは国際的な競争の中で多くの機会と課題を抱えています。一例として、欧米やアジアの国々との貿易協定を強化し、安定的な輸出ルートを確保することが重要です。同時に農産物価格の変動リスクを抑えるため、生産者への補助金や保険制度の整備も検討すべきでしょう。

結論として、ブラジルの桃・ネクタリン生産は過去数十年で劇的に成長しましたが、現在の生産低迷を克服し、将来的な持続可能性を確保するためには、気候変動に対応した政策支援や技術革新が不可欠です。また、輸出市場の拡大と国内市場の需要充足のバランスを取ることが、ブラジルの農業のさらなる発展につながるでしょう。明確な政策目標と計画的な投資があれば、ブラジルの桃・ネクタリン生産の競争力をより一層高めることができるはずです。