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ブラジルのスイカ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、ブラジルのスイカ生産量は過去数十年で大きな変化を遂げました。1961年の生産量は約24万トンでしたが、その後、長期的に上昇し、2007年の約209万トンをピークに成長を遂げました。しかし、近年では減少傾向が顕著で、2023年には約178万トンと直近のピークから減少しています。この推移からは、生産拡大の時代を経て、最近の環境的・経済的課題による停滞が見えてきます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,781,971
-6.84% ↓
2022年 1,912,909
-10.69% ↓
2021年 2,141,970
-1.92% ↓
2020年 2,183,918
-4.72% ↓
2019年 2,292,141
2.15% ↑
2018年 2,244,001
-2.98% ↓
2017年 2,312,993
10.77% ↑
2016年 2,088,048
-1.49% ↓
2015年 2,119,559
-2.39% ↓
2014年 2,171,448
0.37% ↑
2013年 2,163,501
4.04% ↑
2012年 2,079,547
-5.42% ↓
2011年 2,198,624
7.1% ↑
2010年 2,052,928
-0.59% ↓
2009年 2,065,167
3.51% ↑
2008年 1,995,206
-4.66% ↓
2007年 2,092,628
7.48% ↑
2006年 1,946,912
18.9% ↑
2005年 1,637,428
-4.77% ↓
2004年 1,719,392
-9.78% ↓
2003年 1,905,800
27.81% ↑
2002年 1,491,137
2.81% ↑
2001年 1,450,324
113.17% ↑
2000年 680,364
3.55% ↑
1999年 657,060
9.77% ↑
1998年 598,587
-4.18% ↓
1997年 624,687
15.31% ↑
1996年 541,758
-29.02% ↓
1995年 763,236
70.38% ↑
1994年 447,963
1.47% ↑
1993年 441,477
11.36% ↑
1992年 396,429
-8.33% ↓
1991年 432,435
-1.09% ↓
1990年 437,202
-2.73% ↓
1989年 449,478
-4.04% ↓
1988年 468,411
12.78% ↑
1987年 415,332
20.78% ↑
1986年 343,872
2.68% ↑
1985年 334,911
-5.52% ↓
1984年 354,462
7.25% ↑
1983年 330,504
-2.69% ↓
1982年 339,630
19.39% ↑
1981年 284,478
-3.5% ↓
1980年 294,810
3.68% ↑
1979年 284,355
1.85% ↑
1978年 279,201
17.79% ↑
1977年 237,027
6.83% ↑
1976年 221,883
-18.83% ↓
1975年 273,354
3.27% ↑
1974年 264,696
-7.68% ↓
1973年 286,701
0.55% ↑
1972年 285,120
-5.14% ↓
1971年 300,564
21.52% ↑
1970年 247,347
-14.98% ↓
1969年 290,919
-6.79% ↓
1968年 312,120
9.17% ↑
1967年 285,891
14.63% ↑
1966年 249,399
5.31% ↑
1965年 236,823
-4.02% ↓
1964年 246,741
4.19% ↑
1963年 236,817
-1.39% ↓
1962年 240,150
-0.5% ↓
1961年 241,353 -

ブラジルのスイカ生産量は、1960年代初頭の約24万トンから始まり、1980年代中盤には30万~40万トン台に安定する時期を迎えました。その後、1995年には約76万トンに急増し、21世紀の始まりとともに生産量が飛躍的に伸びています。2003年から2007年にかけては200万トンを超え、最盛期を迎えたと言えるでしょう。この急激な成長は、国内需要の増加に加えて、農業技術の向上と灌漑設備の整備によるものと考えられます。

しかし、最近数年は減少傾向を示しており、例えば2017年に231万トンを記録した後、2023年にはその水準から約22%減の178万トンとなっています。この減少の背景には、さまざまな要因が影響しています。例えば、気候変動による干ばつや洪水などの気象リスクは、スイカ栽培に特に大きな影響を与える可能性があります。また、土地の肥沃度低下や、他の作物(サトウキビや大豆)の利益追求に伴う作付面積の減少も要因として挙げられます。さらに、ブラジル特有の経済的不安定さやインフラの問題が農業全体の効率性を低下させている可能性があります。

他国と比較すると、中国のスイカ生産量は世界のトップで、ブラジルの十倍以上にも達しています。一方、アメリカやフランスなどは生産量こそブラジルより少ないものの、品質や効率性を重視した生産モデルを採用しています。このような点で、ブラジルのスイカ生産は効率性や品質向上という面で課題を抱えていると言えます。

地政学的には、ブラジルが他の作物の輸出に注力する傾向が強まる中、スイカの国際市場での競争力を維持することが重要です。特に、農業用水不足や森林伐採を伴う土地利用の課題は、国際社会からの批判を受ける懸念があります。将来的にこれらのリスクが解消されなければ、ブラジルの農業分野全体に悪影響を及ぼす可能性が高まります。

この状況を乗り越えるためには、持続可能な農業技術の導入、灌漑システムのさらなる整備、そして気候変動に対応した作物生産計画の策定が必要です。また、スイカの品質向上を図りつつ、新たな輸出市場を開拓することで、国内外での競争力を高める対策が求められます。例えば、輸出用スイカのブランド化や、加工食品(ジュースやスイーツなど)への展開が考えられます。さらに、スイカ以外の作物との複合栽培を推進し、農家の収益を多角的に向上させる政策も効果的でしょう。

結論として、ブラジルはスイカという豊富な農産資源を最大限に活用することで、国内の需要に応えるだけでなく、国際的な市場でもその地位を築ける潜在力を持っています。そのためには、従来の生産量拡大のみに頼るのではなく、環境保護や経済効率性とも両立する持続可能なアプローチを採用することが鍵となるでしょう。