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ブラジルのコーヒー豆生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ブラジルのコーヒー豆生産量は2020年に3,705,719トンに達し、近年の最高記録を更新しました。1961年からの長期データを見ると、生産量には大きな変動が見られ、特に1970年代から1980年代初頭には低迷の時期がありました。その後、2000年以降は傾向として生産量が増加しており、2018年以降も比較的高い生産量を維持しています。この変動には、気候変動、農業技術の進化、国際的な需要の変化などが関連しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 3,405,267
7.33% ↑
2022年 3,172,562
6.26% ↑
2021年 2,985,581
-19.43% ↓
2020年 3,705,719
23.04% ↑
2019年 3,011,745
-15.23% ↓
2018年 3,552,729
32.34% ↑
2017年 2,684,508
-11.24% ↓
2016年 3,024,466
14.24% ↑
2015年 2,647,504
-5.58% ↓
2014年 2,804,070
-5.41% ↓
2013年 2,964,538
-2.4% ↓
2012年 3,037,534
12.48% ↑
2011年 2,700,540
-7.11% ↓
2010年 2,907,265
19.15% ↑
2009年 2,440,056
-12.76% ↓
2008年 2,796,927
24.36% ↑
2007年 2,249,011
-12.6% ↓
2006年 2,573,368
20.24% ↑
2005年 2,140,169
-13.2% ↓
2004年 2,465,710
24.09% ↑
2003年 1,987,074
-23.88% ↓
2002年 2,610,524
43.47% ↑
2001年 1,819,569
-4.41% ↓
2000年 1,903,562
16.65% ↑
1999年 1,631,852
-3.4% ↓
1998年 1,689,366
37.51% ↑
1997年 1,228,513
-10.27% ↓
1996年 1,369,196
47.2% ↑
1995年 930,135
-28.85% ↓
1994年 1,307,289
2.23% ↑
1993年 1,278,759
-1.21% ↓
1992年 1,294,373
-14.87% ↓
1991年 1,520,382
3.79% ↑
1990年 1,464,856
-4.4% ↓
1989年 1,532,335
13.67% ↑
1988年 1,348,014
-38.8% ↓
1987年 2,202,708
111.51% ↑
1986年 1,041,406
-45.49% ↓
1985年 1,910,646
34.53% ↑
1984年 1,420,281
-15.03% ↓
1983年 1,671,588
74.5% ↑
1982年 957,931
-52.86% ↓
1981年 2,032,210
91.5% ↑
1980年 1,061,195
-20.38% ↓
1979年 1,332,772
5.14% ↑
1978年 1,267,661
29.97% ↑
1977年 975,385
159.42% ↑
1976年 375,985
-70.45% ↓
1975年 1,272,298
-21.24% ↓
1974年 1,615,309
85.05% ↑
1973年 872,897
-41.64% ↓
1972年 1,495,705
-3.59% ↓
1971年 1,551,462
105.55% ↑
1970年 754,800
-41.19% ↓
1969年 1,283,500
21.35% ↑
1968年 1,057,700
-29.84% ↓
1967年 1,507,500
25.33% ↑
1966年 1,202,868
-47.57% ↓
1965年 2,294,047
120.16% ↑
1964年 1,042,013
-36.87% ↓
1963年 1,650,527
-24.64% ↓
1962年 2,190,303
-1.72% ↓
1961年 2,228,704 -

ブラジルは世界最大のコーヒー生産国として、長きにわたりコーヒー市場をリードしてきました。1961年時点の生産量は2,228,704トンでしたが、その後は気候要因や経済状況によって生産量が大きく上下しています。特に1960年代後半から1970年代にかけての深刻な生産低下が目立ち、1970年には754,800トンまで減少しました。これは、主に霜害や市場価格の下落が影響したと推測されます。

1980年代に入ると生産量は回復し、1990年代には1,500,000トン前後で推移しましたが、大規模な回復傾向が見えたのは2000年代以降です。ここで注目すべきは、2002年に初めて2,600,000トンを超えたことです。この時期には、農業技術の進化により作物の病害耐性が強化される一方、輸出市場の拡大も進んだことが背景にあります。

2010年以降はほぼ毎年2,500,000トン以上を維持し、2018年には3,552,729トンと過去最高記録を更新しました。その後も2020年には3,705,719トンを達成し、今世紀に入ってからブラジルのコーヒー生産は安定的な増加を示しています。ただし、2021年には2,985,581トンに減少しており、大規模生産を維持する難しさも浮き彫りとなっています。一方で、最新の2022年データでは3,172,562トンまで持ち直しており、気候変動や生産効率の改善を含めた対策が奏功していることがうかがえます。

長期的にみれば、ブラジルのコーヒー豆生産量の動向にはいくつかの課題が浮き彫りになります。まず、気候変動の影響による高温化や降水量の変動が生産に及ぼすリスクについてです。特に霜害や干ばつはコーヒープランテーションに大きな打撃を与える可能性があります。そのため、耐候性ある品種の育成や、水不足対策を含む農業インフラの整備が必要とされます。

さらに、国際需要の変化も重要な要素です。特に、ブラジル以外の生産国であるベトナムやエチオピアがコーヒー輸出の競争力を高めており、品質や価格における競争が激化しています。これを受け、ブラジルでは高品質と持続可能性を前面に打ち出す製品の開発やブランド価値向上が求められています。

また、農業従事者の高齢化や人口流出の問題も生産量の安定化における懸念要因です。農業における人材育成プログラムや自動化・デジタル化の導入を進めることで、長期的に生産体制の改善が期待されます。

これらの課題解決には、国内外のパートナーシップや政策支援が重要です。具体的には、国際機関主導の農業技術研究プロジェクトや、周辺諸国との気候データ共有を通じた災害予測システムの構築などが挙げられます。さらに、先進的なマーケティング戦略を取り入れ、ブランド価値の向上を目指すべきでしょう。

結論として、ブラジルのコーヒー豆生産量は全般的に増加傾向にありますが、気候変動や競争激化といったリスクへの対応が必要不可欠です。これらに適切に対処し、高品質で持続可能な生産を目指すことで、ブラジルは今後も世界のコーヒー市場において中心的な役割を果たしていくと考えられます。