Skip to main content

ブラジルの羊肉生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、ブラジルの羊肉生産量は2023年に109,974トンに達しました。このデータは1961年以降の推移を示しており、過去数十年で大きな成長を遂げています。特に2000年代以降の安定した増加が顕著です。一方で、特定の期間に生産量が停滞したり減少した時期が見られ、これらの背景にはブラジル特有の要因や国際的な影響があると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 109,974
2.68% ↑
2022年 107,100
4.94% ↑
2021年 102,060
-0.17% ↓
2020年 102,233
3.48% ↑
2019年 98,798
5.63% ↑
2018年 93,533
2.04% ↑
2017年 91,663
0.65% ↑
2016年 91,070
0.81% ↑
2015年 90,342
5.16% ↑
2014年 85,905
0.01% ↑
2013年 85,900
1.06% ↑
2012年 85,000
1.19% ↑
2011年 84,000
1.94% ↑
2010年 82,400
3% ↑
2009年 80,000
0.88% ↑
2008年 79,300
1.67% ↑
2007年 78,000
1.3% ↑
2006年 77,000
1.32% ↑
2005年 76,000 -
2004年 76,000
11.65% ↑
2003年 68,072
-0.73% ↓
2002年 68,576
-4.09% ↓
2001年 71,500 -
2000年 71,500
0.14% ↑
1999年 71,400
5.31% ↑
1998年 67,800
-3.28% ↓
1997年 70,100
0.29% ↑
1996年 69,900
-18.72% ↓
1995年 86,000
2.38% ↑
1994年 84,000
2.44% ↑
1993年 82,000
2.5% ↑
1992年 80,000
1.27% ↑
1991年 79,000
1.8% ↑
1990年 77,600
2.11% ↑
1989年 76,000
3.26% ↑
1988年 73,600
9.52% ↑
1987年 67,200
5% ↑
1986年 64,000
21.21% ↑
1985年 52,800
17.86% ↑
1984年 44,800
21.74% ↑
1983年 36,800
27.78% ↑
1982年 28,800 -
1981年 28,800 -
1980年 28,800 -
1979年 28,800
12.5% ↑
1978年 25,600
-27.27% ↓
1977年 35,200
-20.29% ↓
1976年 44,160
0.36% ↑
1975年 44,000
14.58% ↑
1974年 38,400
2.13% ↑
1973年 37,600
3.58% ↑
1972年 36,300
-5.84% ↓
1971年 38,550
9.54% ↑
1970年 35,192
3.87% ↑
1969年 33,881
-4.48% ↓
1968年 35,471
15.6% ↑
1967年 30,683
-9.53% ↓
1966年 33,914
0.27% ↑
1965年 33,821
13.37% ↑
1964年 29,832
9.29% ↑
1963年 27,296
2.34% ↑
1962年 26,671
7.44% ↑
1961年 24,824 -

ブラジルの羊肉生産量は、1961年には24,824トンから始まり、その後緩やかな増加を見せ、1975年には一時的に44,000トンに達しています。しかし、その後は1977年から1979年にかけて大幅な減少が見られ、生産量は25,600トンにまで落ち込みました。この減少は、1960年代から1970年代にかけてのブラジルにおける経済政策の変動や、羊肉生産の効率性低下などが関連している可能性があります。

1980年代に入ると生産量は徐々に回復し、特に1985年から1995年にかけて猛スピードで生産量が増加しました。この間、羊肉の需要が国内外で増加したことや、羊飼育における技術革新により効率的な生産体制が整えられたことが要因と考えられます。また、これに伴って輸出の割合も増加した可能性が高いです。

一方で、1996年から1999年にかけての生産量の低迷は注目すべきです。この時期にはブラジル全体で経済危機が発生し、国内の農業生産も影響を受けたことが考えられます。また、地政学的リスクとして、輸入関税や輸出競争力の低下がブラジルの畜産業に打撃を与えた可能性があります。

2000年以降、特に2010年代に入ってから生産量は再び堅調な上昇傾向を示し、2023年には過去最高値である109,974トンに到達しました。この増加傾向の背景には、ブラジル国内の消費の増加や、新興国市場への輸出拡大が挙げられます。また、近年では技術革新や農地改革、持続可能な農業政策が推進されており、それが羊肉生産の安定的な成長を可能にしていると見られます。

しかし、課題も残っています。まず第一に、地域ごとの経済格差が生産効率のばらつきにつながっている点です。北東部などの比較的農業資源の少ない地域では、生産設備の老朽化や自然災害の影響により、生産性が低下するリスクがあります。また、気候変動による草地の減少や水資源不足も、長期的には羊肉生産に影響を与える可能性があります。さらに、グローバル市場での競争が激化する中で、ブラジルの羊肉が持続的な競争優位性を維持するためには、さらに効率的で環境に配慮した生産モデルを採用する必要があります。

今後の対策としては、まず生産性の低い地域への技術支援やインフラ整備が挙げられます。例えば、連邦政府と地方政府が協力して灌漑システムや牧草地改良プロジェクトを推進することが考えられます。また、気候変動に対応した牧畜技術の研究開発を進めることも重要です。次に、国際市場における競争力を強化するため、品質管理やトレーサビリティ(食品がどのように生産され、流通したかの追跡可能性)の制度を強化し、ブラジル産羊肉のブランド価値を向上させるべきです。さらに、地域間の格差を減らすため、持続可能な畜産業を目指した金融支援や教育プログラムを活用するのも有効でしょう。

結論を述べると、ブラジルの羊肉生産は過去数十年にわたり着実に成長しており、その勢いは2020年代も続いています。ただし、生産量の増加を維持するには、農場レベルでの効率化、気候変動への対応、そして国際競争力を上げるための取り組みが不可欠です。国や国際機関がこれに適切に対応すれば、ブラジルはさらに成長し、世界的な羊肉市場の重要なプレーヤーとなるでしょう。