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ブラジルのヤギ肉生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が2024年7月に更新した最新データによると、ブラジルのヤギ肉生産量は、1961年の17,608トンから2023年の39,201トンにかけておおむね上昇傾向を示しています。特に1990年代以降は顕著な伸びが見られ、近年も継続的に増加しています。ただし、1996年や2008年のように急激な減少を記録した年もあり、長期的には一定の波動が見られます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 39,201
-1.73% ↓
2022年 39,891
4.44% ↑
2021年 38,196
-1.23% ↓
2020年 38,671
4.42% ↑
2019年 37,033
6.63% ↑
2018年 34,730
8.14% ↑
2017年 32,115
4.26% ↑
2016年 30,804
-1.16% ↓
2015年 31,167
2.94% ↑
2014年 30,278
1.27% ↑
2013年 29,900
1.36% ↑
2012年 29,500
1.2% ↑
2011年 29,150
0.87% ↑
2010年 28,900
1.58% ↑
2009年 28,450
-2.07% ↓
2008年 29,050
-1.32% ↓
2007年 29,440
0.14% ↑
2006年 29,400 -
2005年 29,400 -
2004年 29,400 -
2003年 29,400
-3.61% ↓
2002年 30,500
3.04% ↑
2001年 29,600
1.02% ↑
2000年 29,300 -
1999年 29,300
3.9% ↑
1998年 28,200
2.55% ↑
1997年 27,500
7% ↑
1996年 25,700
-46.79% ↓
1995年 48,300
34.17% ↑
1994年 36,000
-2.7% ↓
1993年 37,000
4.7% ↑
1992年 35,340
0.97% ↑
1991年 35,000
2.34% ↑
1990年 34,200
6.88% ↑
1989年 32,000
5.54% ↑
1988年 30,320
13.18% ↑
1987年 26,790
9.35% ↑
1986年 24,500
-4.93% ↓
1985年 25,770
13.03% ↑
1984年 22,800 -
1983年 22,800 -
1982年 22,800 -
1981年 22,800 -
1980年 22,800 -
1979年 22,800
2.7% ↑
1978年 22,200
2.3% ↑
1977年 21,700
3.33% ↑
1976年 21,000
2.44% ↑
1975年 20,500 -
1974年 20,500
-2.84% ↓
1973年 21,100
-0.97% ↓
1972年 21,306
-3.69% ↓
1971年 22,123
0.71% ↑
1970年 21,968
0.09% ↑
1969年 21,948
2.95% ↑
1968年 21,320
0.96% ↑
1967年 21,118
-2.63% ↓
1966年 21,688
2.9% ↑
1965年 21,077
2.08% ↑
1964年 20,648
3.65% ↑
1963年 19,921
6.01% ↑
1962年 18,791
6.72% ↑
1961年 17,608 -

ブラジルにおけるヤギ肉の生産量推移を見ると、1960年代から2020年代にかけて一貫した増加基調が見られます。初期の1960年代では年間生産量が2万トン以下に留まっていましたが、その後、緩やかな増加を経て、1980年代後半には3万トン台に到達しました。注目すべきは、1990年代に生産量が急伸し、1995年には48,300トンという急激なピークを記録した点です。ただし、この増加は一時的で、その直後の1996年には25,700トンと大幅な減少が見られました。

1990年代後半から2000年代にかけて、年間生産量は3万トン前後で安定する傾向が見られました。生産量が再び顕著に増加し始めるのは2010年代以降で、2018年の34,730トンから2022年の39,891トンに至るまで、継続的な上昇が確認されます。2023年にはやや減少して39,201トンとなったものの、全体としては増加基調が形成されています。

この生産量の動向を理解するには、複数の要因が関与していると考えられます。まず、ヤギはブラジルの北東部など乾燥地帯で飼育されており、気候変動や干ばつの影響を大きく受けます。このため、特に1990年代後半のような生産量の急減は、天候条件の悪化や市場要因が主な原因として考えられます。また、ヤギ肉の需要増加も生産量に影響を与える要素です。食の多様化や高タンパク低脂肪食品への需要の高まりが、ブラジル国内および輸出市場でのヤギ肉需要を後押ししていると推測されます。

一方で、長期的な課題も見えてきます。大規模な干ばつや地政学的リスク(例:地域間の紛争や資源確保競争)は、生産インフラに負の影響を与える可能性があります。また、ヤギ肉の生産が一部地域に集中しているため、生産効率の向上や流通網の強化が求められています。さらには、新型コロナウイルス感染症が世界のサプライチェーンに影響を与えたことも、短期的には生産動態に波及したと考えられます。

今後、具体的な対策として、次のような取り組みが重要です。まず、乾燥地域向けの気候適応型農業技術を導入し、長期的な気候変動の影響を緩和する努力が必要です。さらに、地域のインフラと物流網を整備して、生産されたヤギ肉を迅速かつ効率的に市場へ供給できる仕組みを整えることが求められます。また、国内外での需要分析を継続的に行い、マーケティング戦略を調整することで、需要の変化に俊敏に対応することが可能となるでしょう。

結論として、ブラジルのヤギ肉生産量は過去数十年で着実に成長してきましたが、その背景には気候、需要、市場動向といった多面的な要因が関与しています。この生産量をさらに拡大し、持続可能な形で維持するためには、技術革新、政策支援、国際的な協力が鍵となるといえます。国際機関や近隣国との連携を深め、ブラジルの多面的な農業資源を活用することにより、ヤギ肉市場の発展に向けた新たな可能性が広がると期待されます。