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ブラジルのサトウキビ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年に更新したデータによると、ブラジルのサトウキビ生産量は1961年に59,377,392トンで、2023年にはその約13倍に達する782,585,836トンに増加しました。この期間には生産量の大幅な増加傾向が見られるものの、一部の期間では減少や横ばい傾向も確認されています。近年、2021年にはやや減少しましたが、2023年には再び増加し過去最高を記録しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 782,585,836
8.03% ↑
2022年 724,428,135
1.22% ↑
2021年 715,679,276
-5.34% ↓
2020年 756,070,576
0.35% ↑
2019年 753,470,465
0.79% ↑
2018年 747,556,774
-1.46% ↓
2017年 758,646,205
-1.29% ↓
2016年 768,594,154
2.44% ↑
2015年 750,290,277
1.93% ↑
2014年 736,108,487
-4.16% ↓
2013年 768,090,444
6.52% ↑
2012年 721,077,287
-1.76% ↓
2011年 734,006,059
2.31% ↑
2010年 717,463,793
3.74% ↑
2009年 691,606,147
7.18% ↑
2008年 645,300,182
17.39% ↑
2007年 549,707,314
15.14% ↑
2006年 477,410,656
12.87% ↑
2005年 422,956,646
1.87% ↑
2004年 415,205,835
4.85% ↑
2003年 396,012,158
8.68% ↑
2002年 364,389,416
5.84% ↑
2001年 344,292,922
5.57% ↑
2000年 326,121,011
-2.31% ↓
1999年 333,847,720
-3.3% ↓
1998年 345,254,972
4.11% ↑
1997年 331,612,687
4.57% ↑
1996年 317,105,981
4.41% ↑
1995年 303,699,497
3.97% ↑
1994年 292,101,835
19.45% ↑
1993年 244,530,708
-9.93% ↓
1992年 271,474,875
4.06% ↑
1991年 260,887,893
-0.68% ↓
1990年 262,674,144
4.12% ↑
1989年 252,290,000
-2.32% ↓
1988年 258,294,000
-3.8% ↓
1987年 268,504,000
12.61% ↑
1986年 238,443,008
-3.54% ↓
1985年 247,199,472
11.19% ↑
1984年 222,317,840
2.91% ↑
1983年 216,036,960
15.75% ↑
1982年 186,646,608
19.7% ↑
1981年 155,924,112
4.89% ↑
1980年 148,650,560
7.02% ↑
1979年 138,898,880
7.55% ↑
1978年 129,144,944
7.55% ↑
1977年 120,081,696
16.39% ↑
1976年 103,173,456
12.73% ↑
1975年 91,524,560
-4.29% ↓
1974年 95,623,680
3.95% ↑
1973年 91,994,032
8.09% ↑
1972年 85,106,224
5.88% ↑
1971年 80,380,400
0.79% ↑
1970年 79,752,944
5.99% ↑
1969年 75,247,088
-1.78% ↓
1968年 76,610,496
-0.62% ↓
1967年 77,086,528
1.71% ↑
1966年 75,787,520
-0.09% ↓
1965年 75,852,864
14.24% ↑
1964年 66,398,976
4.2% ↑
1963年 63,722,896
1.9% ↑
1962年 62,534,512
5.32% ↑
1961年 59,377,392 -

ブラジルのサトウキビ生産量は、1961年から2023年にかけて大幅な成長を遂げました。この成長は、ブラジルが長年にわたってサトウキビを重要な農産物と位置づけ、輸出やエネルギー利用などの分野で活用してきた結果といえます。その中でも特筆すべきは、1975年の後、特に1980年代から2000年代にかけての急激な生産量の増加で、これはバイオエタノール生産を推進した「プロアルコール計画」の影響が大きいと考えられます。この計画は、ブラジル政府が石油輸入依存を抑え、再生可能エネルギー利用を促進するための政策であり、サトウキビから得られるエタノールが国内外でのエネルギー需要を支える重要な資源となりました。

一方で、データには生産量の減少を示す年も散見されます。1968年から1969年、1985年から1986年、そして2011年から2013年を含む一部の期間では、生産量の伸びが鈍化または減少しています。これらの要因として、天候要因をはじめとする自然環境の影響、土地利用の変化、病害の発生、生産どころでの社会的または経済的環境要因等が複合的に関与している可能性が考えられます。

特に、2021年から2022年にかけては、生産量がやや減少しました。この影響の背景として、近年の極端な天候パターンや干ばつの影響が挙げられます。例えば、地球温暖化に伴う気候変動リスクが生産効率に影響を及ぼし、生産量の増減を繰り返す要因となっていることが指摘されています。

2023年には782,585,836トンと過去最高の生産量が記録され、これはブラジルがサトウキビ生産の中心的役割を果たしていることを裏付けています。しかし、この記録的な生産量にもかかわらず、持続可能性の観点からは多くの課題が存在します。サトウキビ生産には広大な土地の利用が必要であり、森林伐採や生物多様性の喪失、さらには土壌劣化のリスクが伴います。また、労働環境や公平性の視点からは、収穫作業に従事する労働者の権利保護が十分に行われていない地域も存在すると報じられています。

これらの課題を克服するために、公平で持続可能な生産体制の確立が急務です。例えば、ブラジル国内および国際社会において、持続可能な農業認証制度を導入し、厳格な基準を設けることが有効です。また、再生可能エネルギーへの転換を背景に、効率的な収穫技術や気候変動に強い品種開発への投資を拡大する必要があります。他国、たとえばインドや中国などでも甘蔗(サトウキビ)の生産が行われていますが、これらの国と技術や研究分野で協力し合うことでより効率的な生産が可能になると期待されます。

さらに、ブラジルが直面している地政学的リスクや災害対策についても対策を講じる必要があります。例えば、干ばつだけでなく洪水や農作物病害のリスクに備えるため、農業への保険制度を整備するとともに、国際的な気候変動対策にも積極的に取り組むことが重要です。これらの努力は、単に生産量の安定化だけでなく、世界のエネルギー市場や食料安全保障にも大きく貢献すると考えられます。

結論として、ブラジルのサトウキビ生産量推移は、同国の経済、エネルギー、環境、そして国際貿易にとって極めて重要な指標です。国際的な協力や政策対応を通じて、社会的公平性と環境的持続可能性の両立を図るべきなのは明らかであり、それが今後の安定的な供給の鍵となるでしょう。