1980年度における世界の大豆生産量は国ごとに大きなばらつきがありました。アメリカ合衆国が約4,892万トンと圧倒的な生産量で1位を占め、2位のブラジル(約1,515万トン)を大きく引き離しています。これに続く中国は約794万トンで3位、続いてアルゼンチン(約350万トン)、カナダ(約69万トン)がトップ5にランクインしています。一方、日本は約17万トンで13位となり、国内需要の多くを国際市場からの輸入に依存している点が指摘されています。このデータは地域別の農業生産力や貿易依存度、地政学的リスクの影響、さらには経済的な課題を浮き彫りにしています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
北アメリカ | 48,921,904 |
| 2 |
|
南アメリカ | 15,155,804 |
| 3 |
|
アジア | 7,940,000 |
| 4 |
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南アメリカ | 3,500,000 |
| 5 |
|
北アメリカ | 690,000 |
| 6 |
|
アジア | 652,762 |
| 7 |
|
南アメリカ | 537,300 |
| 8 |
|
アジア | 442,000 |
| 9 |
|
ヨーロッパ | 434,800 |
| 10 |
|
アジア | 340,000 |
| 11 |
|
南アメリカ | 322,205 |
| 12 |
|
アジア | 216,318 |
| 13 |
|
アジア | 173,900 |
| 14 |
|
南アメリカ | 154,500 |
| 15 |
|
ヨーロッパ | 107,435 |
| 16 |
|
アジア | 100,022 |
| 17 |
|
アフリカ | 97,403 |
| 18 |
|
アフリカ | 92,377 |
| 19 |
|
オセアニア | 81,962 |
| 20 |
|
アフリカ | 75,000 |
| 21 |
|
南アメリカ | 49,193 |
| 22 |
|
アジア | 49,000 |
| 23 |
|
南アメリカ | 47,595 |
| 24 |
|
アフリカ | 39,900 |
| 25 |
|
ヨーロッパ | 37,232 |
| 26 |
|
南アメリカ | 33,549 |
| 27 |
|
アジア | 32,100 |
| 28 |
|
アジア | 25,934 |
| 29 |
|
ヨーロッパ | 18,000 |
| 30 |
|
アジア | 15,023 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 13,780 |
| 32 |
|
南アメリカ | 10,739 |
| 33 |
|
アジア | 9,395 |
| 34 |
|
アフリカ | 8,000 |
| 35 |
|
ヨーロッパ | 6,000 |
| 36 |
|
アフリカ | 5,300 |
| 37 |
|
アジア | 5,000 |
| 38 |
|
アジア | 3,298 |
| 39 |
|
アフリカ | 3,030 |
| 40 |
|
アフリカ | 3,000 |
| 41 |
|
アジア | 3,000 |
| 42 |
|
アジア | 2,300 |
| 43 |
|
アフリカ | 1,989 |
| 44 |
|
アフリカ | 1,800 |
| 45 |
|
アジア | 1,600 |
| 46 |
|
アジア | 1,326 |
| 47 |
|
南アメリカ | 1,320 |
| 48 |
|
アジア | 1,083 |
| 49 |
|
アジア | 1,000 |
| 50 |
|
南アメリカ | 1,000 |
| 51 |
|
南アメリカ | 1,000 |
| 52 |
|
アフリカ | 839 |
| 53 |
|
アフリカ | 800 |
| 54 |
|
アジア | 600 |
| 55 |
|
アフリカ | 370 |
| 56 |
|
ヨーロッパ | 330 |
| 57 |
|
アフリカ | 186 |
| 58 |
|
オセアニア | 150 |
| 59 |
|
アフリカ | 70 |
| 60 |
|
アジア | 40 |
| 61 |
|
南アメリカ | 30 |
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国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した1980年度の大豆生産量データによると、大豆の生産は主要な農業国で集中しており、特にアメリカ合衆国が世界全体の生産の約50%を占める結果となっています。アメリカは肥沃な土壌、広大な耕地面積、先進的な農業技術の導入によってこの非常に高い生産力を実現しており、大豆の輸出においても世界の市場をリードしていました。ブラジルとアルゼンチンもまた、南米大陸の気候条件の恩恵を受け、地球規模での大豆供給の中心的な役割を果たしています。
アジア地域では、中国が重要な生産国として浮かび上がります。約794万トンを生産しており、この地域の他国と比較しても圧倒的に高い数値を記録しています。一方、日本では約17万トンの生産にとどまり、国内消費の大部分を輸入に頼る状況が見受けられます。この背景には、農地の面積の限界や農業従事者の減少など、国内農業の抱える構造的な課題が影響していると考えられます。
また、インドやインドネシアなどの新興農業国は生産量が数十万トンと控えめであるものの、成長の潜在力を十分に持っています。特に、これらの国々の大豆生産の伸びは国内需要の拡大だけでなく、地域的な貿易にも貢献する可能性があります。しかしながら、こうした発展の一方で、中小規模農家の近代化や輸送インフラの整備、生産性の向上といった課題が残されています。
地政学的リスクや自然災害の観点から見ると、大豆の生産が減少した場合、国際的な食糧価格の上昇や世界の供給網に大きな混乱をもたらす恐れがあります。1970年代から1980年代にかけてのオイルショックや各地域での紛争、新たな気候変動の影響を踏まえると、大豆産業は非常に敏感な状況に置かれているといえます。特にアジアやアフリカの新興農業国では、大豆だけでなく多様な作物に対応する農業政策が求められます。
未来を見据えた場合、世界的な大豆生産を安定化させるためには、いくつかの戦略的な対策が必要です。第一に、主たる生産国であるアメリカやブラジル、中国などでは、持続可能な農業技術を採用することが欠かせません。土壌の劣化を防ぐための農地管理や、気候変動に適応できる作物の選定が課題となります。第二に、輸入依存度が高い日本やヨーロッパの国々では、国際的な協力を深化させ、輸出国との信頼関係を強化することが重要です。そして第三に、アジアやアフリカなどの新興地域においては、農業インフラの整備や小規模農家への支援を強化し、生産の多様化を進めることで、短期的および長期的な需要の双方に対応できる基盤を構築するべきです。
このように、1980年のデータを基にすると、大豆の安定的な供給体制を築くためには、生産国間の協調と技術移転、さらには地球規模での統一的な気候対応策が不可欠であることがわかります。各国および国際機関の役割は非常に重要であり、持続可能な農業の推進を強く支援する必要があります。日本を含む各国がこの課題に真摯に取り組むことで、世界の食糧安全保障がより強固なものとなっていくでしょう。