国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した1991年度の大豆生産量ランキングによると、アメリカ合衆国が圧倒的な生産量で1位(54,064,730トン)、続いてブラジルが2位(14,937,806トン)、アルゼンチンが3位(10,862,000トン)となり、これらの国が世界の大豆生産をリードしています。日本はランキングの14位で、生産量は197,300トンにとどまりました。全体として、上位3カ国が大豆全体の生産量の約73%を占めており、明確な集中傾向が見られます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
北アメリカ | 54,064,730 |
| 2 |
|
南アメリカ | 14,937,806 |
| 3 |
|
南アメリカ | 10,862,000 |
| 4 |
|
アジア | 9,713,000 |
| 5 |
|
アジア | 2,492,000 |
| 6 |
|
アジア | 1,555,453 |
| 7 |
|
北アメリカ | 1,460,000 |
| 8 |
|
ヨーロッパ | 1,402,000 |
| 9 |
|
南アメリカ | 1,032,676 |
| 10 |
|
南アメリカ | 724,969 |
| 11 |
|
アジア | 440,000 |
| 12 |
|
アジア | 435,587 |
| 13 |
|
南アメリカ | 393,618 |
| 14 |
|
アジア | 197,300 |
| 15 |
|
南アメリカ | 193,598 |
| 16 |
|
アジア | 183,171 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 178,593 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 161,179 |
| 19 |
|
アフリカ | 145,000 |
| 20 |
|
アフリカ | 126,000 |
| 21 |
|
アフリカ | 120,038 |
| 22 |
|
アフリカ | 111,464 |
| 23 |
|
アジア | 110,000 |
| 24 |
|
南アメリカ | 82,990 |
| 25 |
|
アジア | 80,000 |
| 26 |
|
アジア | 63,309 |
| 27 |
|
オセアニア | 62,016 |
| 28 |
|
アフリカ | 59,000 |
| 29 |
|
ヨーロッパ | 57,506 |
| 30 |
|
南アメリカ | 45,315 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 36,770 |
| 32 |
|
アジア | 35,000 |
| 33 |
|
アフリカ | 27,713 |
| 34 |
|
アジア | 26,500 |
| 35 |
|
ヨーロッパ | 19,819 |
| 36 |
|
アフリカ | 18,000 |
| 37 |
|
南アメリカ | 16,500 |
| 38 |
|
アフリカ | 15,000 |
| 39 |
|
アフリカ | 13,170 |
| 40 |
|
アジア | 12,730 |
| 41 |
|
ヨーロッパ | 11,800 |
| 42 |
|
ヨーロッパ | 11,000 |
| 43 |
|
南アメリカ | 9,107 |
| 44 |
|
南アメリカ | 8,979 |
| 45 |
|
アジア | 8,333 |
| 46 |
|
アジア | 5,804 |
| 47 |
|
アジア | 5,500 |
| 48 |
|
アフリカ | 3,700 |
| 49 |
|
ヨーロッパ | 3,621 |
| 50 |
|
アフリカ | 3,500 |
| 51 |
|
ヨーロッパ | 2,583 |
| 52 |
|
ヨーロッパ | 2,513 |
| 53 |
|
アフリカ | 2,287 |
| 54 |
|
アジア | 2,284 |
| 55 |
|
アフリカ | 2,100 |
| 56 |
|
アフリカ | 2,018 |
| 57 |
|
南アメリカ | 2,000 |
| 58 |
|
アジア | 2,000 |
| 59 |
|
アフリカ | 1,681 |
| 60 |
|
アジア | 1,500 |
| 61 |
|
アフリカ | 1,395 |
| 62 |
|
アジア | 946 |
| 63 |
|
アジア | 753 |
| 64 |
|
南アメリカ | 675 |
| 65 |
|
アフリカ | 600 |
| 66 |
|
アフリカ | 500 |
| 67 |
|
アフリカ | 396 |
| 68 |
|
南アメリカ | 275 |
| 69 |
|
アジア | 242 |
| 70 |
|
南アメリカ | 200 |
| 71 |
|
南アメリカ | 79 |
| 72 |
|
南アメリカ | 68 |
| 73 |
|
アフリカ | 44 |
| + すべての国を見る | |||
1991年度の大豆生産量データを見ると、アメリカ合衆国が世界で突出した生産量を誇っており、全体の約半分にも及ぶ54,064,730トンを生産しました。これは、広大な農地、先進的な農業技術、そして大豆を利用する産業(例:家畜用飼料や食用油の生産)の規模が大きいことなどによるものです。2位のブラジルと3位のアルゼンチンも南米特有の気候条件と豊富な農地により高い生産量を記録しています。この結果、アメリカ、ブラジル、アルゼンチンの3カ国が世界の大豆生産の大部分を担い、輸出市場においても支配的な立場に立っています。
アジアでは中国が4位に位置しており、その生産量(9,713,000トン)は世界的に見ても大きな規模といえます。ただし、同国の人口規模と大豆の需要量を考慮すると、充分な供給を行うには至っておらず、輸入にも依存しています。一方、インドは5位(2,492,000トン)でありながら、中国に比べて相対的に低い生産量に留まり、技術的な遅れや農業の効率性において課題があると考えられます。
日本は14位で生産量は197,300トンに過ぎません。日本の農地は地形的に限られており、国内生産だけでは大豆需要の大部分を賄えないため、輸入依存度が極めて高い状況にあります。これは単に農地の少なさだけではなく、農業技術の普及や土地利用の選択における優先順位といった政策的要因も影響しています。したがって、将来的には自給率向上のための取り組みが重要になるでしょう。
一方で、アフリカ諸国や中東地域では大豆生産が未発達であり、多くの国では年間生産量が1万トンを下回っています。これらの地域では、大豆の生産技術が浸透していないことや、適切な栽培環境が整っていないことが原因の一部と考えられます。しかし、大豆はたんぱく質の供給源としても優れているため、これらの地域において作物多様化を進める資源としての価値が高いとされています。
地政学的視点では、アメリカを中心とする大豆の輸出国と、多くの需要を抱えるアジア諸国との間で貿易の依存関係が強化されています。この関係性は、政策変更や紛争、あるいは自然災害による収穫への影響により、食品供給網に大きなリスクをもたらす可能性があります。例えば、輸出国が関税を引き上げたり、貿易制限を行った場合、輸入国側で食料価格が急上昇し、需要と供給に大きな不均衡をもたらす恐れがあります。
未来への提言としては、まずアジア諸国をはじめとする大豆輸入国が、自給可能な生産体制を部分的に整える必要があります。具体的には、栽培技術の向上、土地利用の効率化、および生産に適した品種の導入などを通じて国内生産の拡大を目指すべきです。さらに、アフリカや中東など生産量が少ない地域については、国際機関による技術支援や、持続可能な灌漑技術の普及が重要となります。
国際的な課題としては、生産の集中化による地政学的リスクを軽減するため、地域間協力を強化し、安定した供給網の構築を進めることが求められます。たとえば、輸出入を補完し合う互恵的な枠組みの策定や、貿易ルートの多様化を図ることは、将来の食糧危機を防ぐ上で非常に重要となるでしょう。
結論として、1991年度のデータは、大豆生産が特定の国に大きく集中していること、そして生産・消費国間の依存関係が深まっていることを示唆しています。国際社会全体での協力と技術開発の促進を通じて、これらの課題に対応することが非常に重要です。