1984年における世界の大豆生産量ランキングは、アメリカ合衆国が突出した生産量50,648,000トンで1位を獲得し、次いでブラジル(15,540,792トン)、中国(9,695,000トン)が続いています。このデータは、国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したもので、世界的な大豆需要の背景や主要生産地域の動向を理解する上で重要な指標です。他の主要国では、日本は238,000トンで順位は14位でしたが、上位諸国と比べるとその生産量はかなり低い状況にありました。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
北アメリカ | 50,648,000 |
| 2 |
|
南アメリカ | 15,540,792 |
| 3 |
|
アジア | 9,695,000 |
| 4 |
|
南アメリカ | 7,000,000 |
| 5 |
|
南アメリカ | 975,404 |
| 6 |
|
アジア | 954,800 |
| 7 |
|
北アメリカ | 917,000 |
| 8 |
|
アジア | 769,384 |
| 9 |
|
南アメリカ | 684,921 |
| 10 |
|
アジア | 440,000 |
| 11 |
|
ヨーロッパ | 406,500 |
| 12 |
|
アジア | 253,527 |
| 13 |
|
アジア | 246,448 |
| 14 |
|
アジア | 238,000 |
| 15 |
|
アフリカ | 143,000 |
| 16 |
|
アジア | 110,000 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 109,700 |
| 18 |
|
南アメリカ | 94,163 |
| 19 |
|
アフリカ | 89,733 |
| 20 |
|
オセアニア | 88,635 |
| 21 |
|
南アメリカ | 77,860 |
| 22 |
|
ヨーロッパ | 71,515 |
| 23 |
|
アジア | 69,200 |
| 24 |
|
アジア | 60,000 |
| 25 |
|
ヨーロッパ | 49,868 |
| 26 |
|
南アメリカ | 47,479 |
| 27 |
|
ヨーロッパ | 45,700 |
| 28 |
|
アフリカ | 43,000 |
| 29 |
|
アフリカ | 38,900 |
| 30 |
|
アジア | 22,070 |
| 31 |
|
アフリカ | 13,153 |
| 32 |
|
南アメリカ | 10,924 |
| 33 |
|
アジア | 9,545 |
| 34 |
|
アフリカ | 8,000 |
| 35 |
|
アジア | 7,982 |
| 36 |
|
アジア | 7,618 |
| 37 |
|
ヨーロッパ | 7,500 |
| 38 |
|
アジア | 6,200 |
| 39 |
|
南アメリカ | 6,000 |
| 40 |
|
アフリカ | 5,169 |
| 41 |
|
ヨーロッパ | 4,655 |
| 42 |
|
アフリカ | 4,600 |
| 43 |
|
アジア | 3,626 |
| 44 |
|
南アメリカ | 3,000 |
| 45 |
|
アジア | 3,000 |
| 46 |
|
アジア | 2,795 |
| 47 |
|
アフリカ | 2,200 |
| 48 |
|
アフリカ | 2,000 |
| 49 |
|
南アメリカ | 1,826 |
| 50 |
|
南アメリカ | 1,826 |
| 51 |
|
アジア | 1,571 |
| 52 |
|
アジア | 1,500 |
| 53 |
|
アジア | 1,000 |
| 54 |
|
アフリカ | 1,000 |
| 55 |
|
アフリカ | 800 |
| 56 |
|
アフリカ | 800 |
| 57 |
|
アフリカ | 800 |
| 58 |
|
南アメリカ | 700 |
| 59 |
|
アフリカ | 300 |
| 60 |
|
アフリカ | 200 |
| 61 |
|
オセアニア | 140 |
| 62 |
|
アフリカ | 122 |
| 63 |
|
アフリカ | 60 |
| 64 |
|
南アメリカ | 26 |
| 65 |
|
アジア | 9 |
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1984年の世界大豆生産量は、アメリカ合衆国が圧倒的な生産量を誇り、世界の大豆需給市場をリードしていることが明確に示されています。同国の生産量(50,648,000トン)は2位のブラジルの約3倍以上にもなり、この優位性はアメリカの広大な農地や高度な農業技術、さらには大豆を重要な輸出品として位置付ける政策的背景に支えられています。ブラジルは、この時点ではアメリカに比べかなり控えめな生産量ですが、後にその基盤を活かして急速に生産能力を拡大させる潜在力を秘めています。
3位の中国(9,695,000トン)は、国内の需要が多いため生産量の大半が国内消費に回される状況にありました。また、アルゼンチン(7,000,000トン)はラテンアメリカ地域で次に重要な生産者として、南米における大豆生産のさらなる増加を予見させる位置にあります。他の国々を見てみると、上位5カ国とそれ以下の国との間には顕著な差が見られます。5位のパラグアイの生産量はわずか975,404トンで、上位国と比較すると生産規模の小ささが浮き彫りになります。
一方で、日本は14位(238,000トン)に位置しており、上位国と比較するとその生産量は微々たるものです。当時における日本では、大豆の需要は味噌や醤油といった伝統食品に関連して非常に高かった一方で、農地面積や生産効率の制約により、国内生産は需要をまかなうには不十分な状態でした。このため、日本の食料政策では輸入への依存度が高く、大豆輸入国としての立場を確固としたものでした。
このデータが示す課題として、世界の大豆生産は特定の国に集中しており、需給バランスの不安定さや地政学的リスクが存在している点が挙げられます。特に、アメリカやブラジルといった輸出大国に依存する構造は、天候不順や貿易摩擦、地域的な紛争が発生した場合に、輸入国に深刻な影響を与える可能性があります。また、大豆の生産は肥沃な土地、水資源、温暖な気候が必要ですが、これらの条件を満たす地域は限られているため、長期的な視点での生産地開拓が必要です。
未来に向けて、いくつかの具体的な提案が考えられます。生産地多角化の重要性が第一に挙げられ、大豆の大規模輸入国である日本やヨーロッパ諸国では、国内生産を増強するか、もしくは他の気候条件に適した国々との協力関係を強化して「地域間協力」を促進することが求められます。加えて、遺伝子組み換え大豆や乾燥耐性品種の開発など、農業技術の向上も解決策のひとつです。その際には、消費者の需要や安全性に十分配慮しつつ、国際的な基準と協調を取る必要があります。
地政学的な観点から見ても、大豆は今後、食糧だけでなくバイオ燃料や家畜飼料の重要な資源ともなり得ることから、資源争奪や輸出制限といったリスクを念頭に置いた政策設計が鍵を握るでしょう。特に、気候変動が農地に与える悪影響を想定しながら、各国政府は持続可能な農業政策の構築に努めるべきです。
このデータで示される大豆生産の集中化は、食糧安全保障や国際的な持続可能性における課題と捉えるべきです。今後、国際機関や各国が協調し、共有された課題に対処していく中で、技術革新や農業貿易政策を活かした持続可能な道筋を見出すことが急務と言えます。